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東日本大震災を振り返る

【Vol.03】ケンコーコム株式会社

INTERVIEW  2012/06/27

管理本部薬務部長 永冨千津子さん         (前リテール事業部マーケティング部部長)

管理本部薬務部長 永冨千津子さん         (前リテール事業部マーケティング部部長)
健康食品や医薬品、化粧品など日本最大級の品揃えを誇る健康関連商品の販売サイトを運営するケンコーコム株式会社。2011年3月11日の東日本大震災発生からわずか2カ月後、リスク分散のため、福岡に新しいオフィスをオープンし、緊急時にも顧客の要望に対応できる体制を整備しました。寄付や緊急物資の提供などを通じたCivic Forceとの連携は、「本業を生かした支援」を追及した先にありました。
Eコマースを活用し、人々の健康づくりをサポート――    本業を通じた支援を模索して
ケンコーコムは、2011年3月11日の震災から5日後に、「東北地方太平洋沖地震救済募金」の特設ページサイトを立ち上げ、募金活動を開始されました。ファンドレイジングサイトJust Giving Japanを通じたCivic Forceへの寄付や物資の提供など東北支援にあたって、社内でどのような判断がなされたのでしょうか
Civic Forceへの支援を決めた理由は、大きく分けて2つあります。

まず募金につながる前段として、震災直後に生活用品を中心とするものすごい数の生活用品のご注文を受けて、ケンコーコムは人々の「ライフライン」の一つになっていると実感したことがあります。震災から数週間、殺到するご注文に応えきれず、お客様の意向に沿った出荷ができずに不甲斐ない思いをしましたが、会社が掲げる「健康に関することは、ケンコーコムへ」のコンセプトを改めて体感し、本業を生かした被災地支援の方法を模索し始めました。

ケンコーコムは、2000年5月に健康メガショップ『ケンコーコム』を立ち上げ、インターネットを活用したEコマース事業に集中して取り組んできました。寄付ページの立ち上げは、ケンコーコムの得意分野でネットのなかで支援に携わる方法の一つとして生み出されました。得意分野でないところに足を踏み入れるのではなく、被災地で活動する支援はそれを本業とするCivic Forceさんに任せ、私たちは現場をサポートするために自分たちの力を最大限発揮できる形の支援が先決と考えたのです。

また、Civic Forceへの支援の一部は「Just Giving Japan」を通じて行いました。ネット上の特性を生かして双方向の関係を可能にするJust Giving Japanの仕組みに賛同したことが支援のきっかけとなりました。お金を銀行に振り込んで終わり、という一方通行の寄付支援ではなく、支援する側が支援したい理由や自分なりの“チャレンジ”を立て、メッセージを発信しながら寄付できるJust Giving Japanの仕組みは、お客様の「何かしたい」という気持ちとも合致すると思います。寄付先の選定など寄付支援の仕組みを社内ですべて構築するのは、われわれ中小企業にとってハードルが高いけれど、Just Giving Japanは現場で活動するNGO支援の仕組みを包括的にもっていたので、その仕組みを活用させてもらおう、ということになったのです。
「東北地方太平洋沖地震救済募金」の一環で、ミネラルウォーターを1本販売するごとに1円を寄付する「1本1円基金」を立ち上げられました。こうした寄付つき商品はどのようにして生まれたのでしょうか。
震災から数日が経った頃、まだ余震も続いていましたし、東京など被災地以外ではモノの買い占めが問題になりました。同時に、当たり前の消費行動に、なんとなく後ろめたさを感じる方が多かったと思います。

そうした中、今こそ皆が普通の消費行動を普通にできることが重要と考えたのが、1本1円基金を立ち上げたきっかけです。多くの人が「被災地に対して何かしたい」と考えるなか、ケンコーコムの商品を買うことでその思いを実現できるなら、とお客様も私たちも無理なく続けられるこの基金が生まれました。

基金の立ち上げ・運営に当たっては、一部の社員だけでなく社内の多くの人がかかわりました。弊社にはCSR専門の部署はありませんので、当時マーケティング部でお客様と接点がある私がハンドリングしつつ、広報がお問合せの窓口に、制作部がサイト内のページづくり、お金の管理は経理部、というように部署横断的に進めていきました。
震災後、会社のリスクマネジメントなどの面で何か変わった点はありましたか?
震災から数週間後の3月末に福岡への本社機能の一部移転が決まり、5月16日に福岡のオフィスをオープンさせました。福岡には以前から物流センターがあり、地の利がありましたが、震災をきっかけに、東京の1カ所のみに拠点を置くのではなく、複数に拠点を置きお客様にしっかりと商品を届ける体制を整えようと判断したのです。

「今変わらなければいつ変わるんだ」。それが当時の代表の口癖であり、たくさんのシステムが連携して成り立っているビジネスのリスクを一つ一つつぶしていくと同時に、それまでできていなかった社内のクラウド化を進め、中長期的コスト削減や業務の効率化につながっています。
東北支援だけでなく、団体の基盤そのものを支える賛助会員になっていただきました。
震災後、少し落ち着いたころにCivic Forceの方にお会いした際、東北支援と同時に次の災害に向けた準備をしている、という話を聞きました。「緊急支援のプロ」というのは、そういうことなのか、と感銘を受け、トップの一存で賛助会員としてCivic Forceの組織そのものを支える意義を見出しました。

私たちの強みの一つに、数千の企業と取り引きし、1年に一つしか売れないような商品でも提供できる仕組みを構築していることがあります。業界では“ロングテール”と呼ばれますが、今回の東北支援に当たっては、支援に向けて社内で専属チームをつくる余力がないなか、Civic Forceと連携することで負荷なく支援に参加できる実感を得ました。

災害は次にいつ来るか分かりません。緊急物資を迅速かつ的確に届けるための調整役であるCivic Forceとともに、本業の得意分野を生かして、今回よりさらに効果的な支援活動ができるよう備えます。
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