【大船渡山林火災】 発災4カ月 地元の高校生と連携協力!仮設住宅に広がる花の香りと交流の輪
平成以降、国内最大規模の被災となった岩手県大船渡市の山林火災は2025年6月26日で発災から4カ月が経ちました。
この火災で、市の面積の1割にあたる約3,370ヘクタールが延焼、1名が亡くなり住宅90棟を含む226棟の建物が被害を受けました(大船渡市発表)。
被災者らは最長で3カ月余りの避難所生活を余儀なくされ、その後、建設型応急仮設住宅が蛸ノ浦、綾里地区で完成し、現在、26世帯が入居しています。
Civic Forceでは、発災直後の2月28日からスタッフ1人が現地に入り、 避難所の環境改善などに取り組んできました。(過去の支援活動の様子はこちら)

蛸ノ浦仮設住宅では、入居から約一ヶ月が経過した6月22日に地元高校生によるボランティアグループ「気仙地区広域学生奉仕団」(※以下、奉仕団)とCivic Force(シビック フォース)等が連携をして、初めてのサロン「あおぞらお茶っこ」を開催しました。蛸ノ浦の仮設住宅は5月17日に供与が開始され、多くの住民は、入居から約1ヶ月が経過しましたが、集会所などがないため、サロンの活動等が行われず、住民同士の顔合わせの機会などもありませんでした。
今回のサロンは、集会所がない状況でも、なんとか住民同士の顔合わせや交流の機会がつくれないかと、奉仕団と、Civic Force、三陸防災・減災研究所、Open Japanが、工夫すればやれるのではないかと話し合い開催に至りました。


お茶っこ当日、「あおぞらお茶っこ」と銘打った通りの快晴になり、気温もみるみるうちに上昇。奉仕団の高校生達とCivic Forceを含む共催団体のメンバーは、暑さ対策のため仮設住宅の横スペースに準備した工業扇やタープなどを設営し、参加者を出迎えます。 開始時間の13時半頃からは、少しずつ入居者が出てきて計8名がお茶を飲みながら談笑、プランターに花を植える等して過ごしました。

初めてのサロンということで参加者からは、「火災前、近所でお茶を飲む機会はほとんどなかった。仮設に入ってから、誰れが住んでいるか顔も名前もわかっていても、こうしてみんなが集まって話すのは初めてだから嬉しいね」という声が聞こえてきます。
また、「仮設に住んで一ヶ月、不便に感じること」や、「火災で失ったものを、時間が経って生活をするなかで実感する」、「仮設の家からは海も見えないし、心地よい風も入ってこない。家を建てて戻りたい」と、外ではなかなか言えない本音もうかがえました。
参加者の中には、東日本大震災で実家が被災しそれでも大事なものは残ったけど今回の火災で写真や思い出の品も全て無くなったという方もいて、山林火災で暮らしぶりが変わった中での生活に戸惑いを見せていました。
参加した高校生達はサロン活動での交流は初めてで最初は戸惑っていましたが、すぐに打ち解け、参加者の話に真剣に耳を傾けていました。また、花植えをする際には入居者の方から、植物や畑の手入れの仕方との違いを教わりながら作業を行いました。 花を植え終わった後は、「やっぱお花があるといいね」、「水やりのことを考えると近い方がいいんじゃないか」、「ベンチの横に置いて座りながら眺めるのもいいんじゃない」と意見を出し合いながらプランターを設置し、蛸ノ浦仮設住宅にはお花の彩りが加わりました。


サロン終了後には、延焼区域の変化も視察に行きましたが、高校生2人は被害の甚大さを肌で感じていました。
今回の「あおぞらお茶っこin蛸ノ浦」は避難所から次のステージに暮らしが移りそこでの交流や生活環境の改善を目的に企画しましたが、こうした課題に対して地元の高校生たちがともに活動をすることに大きな意義があります。
被災地に限らず高齢化が進む地方では、若者がサロンに来ると元気をもらえるという声をよく耳にします。入居者と高校生との交流の様子を見ていて、ここでも同じなんだろうなと感じました。


今回の山林火災で被災した方々の住宅の再建、生活再建にはまだまだ長い時間がかかります。Civic Forceでは今後も地元の若い力と連携して、支援活動を継続していく予定です。
引き続き、被災した地で暮らす方々とのコミュニケーションを大切にしながら、 一人ひとりのニーズに合った支援を届けられるよう尽力します。
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