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被災地を支援する

2018/08/05

【夢を応援プロジェクト】「豪雨被災地の子どもたちに東北の経験を」ー夏休み宿泊研修(2)

東日本大震災で被災した高校生・大学生のための奨学金プログラム「夢を応援プロジェクト」では、毎年夏に宿泊研修を実施しています。8月1〜6日、大分県日田市の被災地を訪れている奨学生たちは、地域の子どもたちにどんな影響を与えているのでしょうか。

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「私が大分に来た理由

6日間のプログラムの2日目、奨学生たちは大鶴地区にある小野公民館で、子どもたちに東日本大震災での被災経験を話すことになりました。

きっかけは、公民館の「子ども教室」を主催する工藤さんの「東北での経験を子どもたちに伝えてほしい」という一言でした。この日、公民館に来ていた子どもたちのほとんどは、被災した小野小学校に戻れず、今も最寄りの中学校を借りて勉強しています。

工藤さんは、「豪雨を経験した子どもたちにとって、東日本大震災という大きな災害を乗り越えてきた先輩と交流する機会はとても貴重です。何かを感じ取れる大切な時間になるはずです」と奨学生たちに語ってくれました。

東北学院大学4年の岩佐佳奈さんは、出身地・宮城県亘理町で起きた出来事や今回大分に来た理由について子どもたちに語りました。「余震が続き、『津波が来るぞ!』という警察官の声を聞いて逃げました。その後、数日間、食べ物も情報もなく停電が続き不安な夜を過ごしました。あの震災で友だちや知人を亡くしたり、とにかく本当に大変でした。でも、たくさんの物資が届き、中学生活もすべていただいたもので過ごしました。今回、これまでの恩返しがしたくて、ここに来ました」。

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また、岩手県山田町(下閉伊郡)出身・都留分科大学3年生の阿部祥子さんは、震災から4日後にやっと親と再会できたときの話から語り始めました。「体育館の硬い床でとても寒く、不安でたまりませんでした。周囲は家族と再会できてどんどん避難所からいなくなり、自分だけ取り残されていく気持ちになりました」。阿部さんは知人が津波で亡くなったことに大きなショックを受けましたが、「あのとき以来、他の地域でも災害があったと聞くと、被災した人は寒いだろうか、どんなにつらいだろうかと、考えるようになりました」と言います。

 

「人と触れ合いながら生きていきましょう」

7年前のことを思い出しながら語る2人の経験談を、子どもたちは真剣な表情で聞いていました。

そして、学生たちが話し終わった後、工藤さんが「地震があったとき、どうすればいいでしょうか」と語りかけました。「被害を受けて気持ちが落ち込んだら、どうしますか。まだ皆さんは学校に戻れないけれど、おうちの人と過ごすことができていますね。落ち込むこともあるかもしれないけれど、お姉さんたちの話を思い出し、人と触れ合いながら生きていきましょう」と語りかけました。

 

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人懐っこい子どもたちとすっかり打ち解けた奨学生たちは、翌3日目も4日目も子どもたちと一緒にたくさんの時間を過ごしました。平日午前中は、子ども向けの学習プログラムをサポートする形でプリントの丸つけなどを手伝いました。英文学科所属の岩佐さんが子どもたちの前で英語の発音のお手本を見せる場面もありました。


また、ランチは地元の竹や野菜を使って、そうめん流しやカレーづくりを楽しみました。午後は、学生たちが企画した伝言ゲームなどのレクリエーションや施設内の壁塗りの手伝い、花火をするなど終始元気いっぱいの子どもたちと一緒に過ごしました。

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