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活動報告

被災地を支援する

2013/03/19

島内外をつなぐコーディネーターとして―NPOパートナー協働事業

 

中長期的な視点で地域の復興に貢献する被災地発の取り組みをサポートするCivic ForceのNPOパートナー協働事業・第4期前回に引き続き宮城県気仙沼市の有人離島「大島」で、ボランティアのコーディネートや島で暮らす人々の生活サポートなどを通じて、長期的なまちづくりを支援する「気仙沼大島まちづくりサポート」の活動について紹介します。

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頬にあたる風が冷たい2012年冬、大島の入り口「浦の浜港」から徒歩10分に位置する外畑地区のゆず農家で、2日間にわたって、社会人や学生など15人がゆずの収穫ボランティアを行いました。

このゆず農家は、震災当日、津波が自宅の天井まで押し寄せ、ゆず畑にまで波が上がってしまったそうです。震災後、多くのボランティアを受け入れてきたゆず農家の小山由紀子さんは、「これまでたくさんの人がめちゃくちゃになった家や畑をきれいにしてくれた。震災から時間が経った今も、人手が必要なゆずの収穫を手伝ってくれて本当に助かっている」と言います。

ゆず農家とボランティアとの仲介役となったのはCivic Forceのパートナー団体である気仙沼大島まちづくりサポート。理事長の簗瀬さんは、「もともとこの日は、ホタテの養殖の手伝いをしていただく予定でしたが、前日の天気予報で雨だったので中止し、急遽ゆず農家に来てもらいました」と言います。

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気仙沼大島まちづくりサポートは、「被災地や島のために何かしたい」というボランティアと、「復興のために手を貸してほしい」という島の人々とをつなぐ役割を果たしています。ボランティアの活動内容は、農家の手伝いだけでなく、がれきや家屋の片付け、ホタテや牡蠣の養殖といった漁業の手伝いなど、多岐にわたります。今年2月末からは、大島総合観光案内所の建物の一室を借りパネル展なども行っています。パネル展では、気仙沼大島の概要や東日本大震災の影響、観光スポットなど大島について紹介する内容となっています。

2年間にわたって大島にかかわってきた簗瀬さんは、「大島は『島』単位のコミュニティを持ちながら、縦割り社会であり、島全体のビジョンを住民自身が描きにくい状況。狭い社会なので島民同士だと言いにくいこともある。腰を据えた復興への取り組みが必要とされる中、“よそもの”である私が島民や支援者の間に入り、島内外の様々な組織が連携して本格的なまちづくりの動きにつながればと考えている」と言います。観光振興や特産品の流通促進、また震災の教訓を今後の防災に生かすことも視野に入れた活動を行っています。また、気仙沼大島には2018年には本土とつながる架橋が予定されています。待望された架橋実現ですが、観光業をはじめ島内の環境に大きな変化が予想されます。「特に観光業は衰退が予想される中、架橋後のまちづくりについて今から考え、住民自身がまちづくりへの政策提言を推進しなければ」と簗瀬さん。

長きにわたり日本全体の課題となってきた「地域活性化」。東北では、行政、企業にとどまらず、“よそもの”の個人が、地域の方々と築いてきたネットワークを生かして起業し、地域を支援する動きが出てきています。簗瀬さんの取り組みも、その一つ。

“よそもの”として地域に寄り添い続ける大島まちづくりサポートのような団体とともに、Civic Forceは、引き続き東北の復興をサポートしていきます。