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活動報告

アジアに展開する

2014/05/21

【アジアパシフィックアライアンス】国際シンポジウム「災害時の真のリーダーシップとは―東日本大震災・アジアの経験から」開催のご報告(後編)

前回に続き、国際シンポジウム「災害時の真のリーダーシップとは―東日本大震災・アジアの経験から」のセッションの様子を紹介します。

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3.セッション2:「災害対応のリーダーシップ」

■パネリスト:

-ファイザル・ジャラル アジアパシフィックアライアンス代表理事

-大西健丞 アジアパシフィックアライアンスCEO/シビックフォース代表理事

-ハリ・スサント アセアン防災人道支援調整センター研修生(インドネシア)

-下平(しもだいら)(たく)() 防衛省海上幕僚監部防衛部(米海軍大学連絡官兼インターナショナル・フェロー)

-(いずみ)貴子(たかこ) 東北大学特任教授

■モデレーター:村尾むらおのぶたか 関西学院大学大学院教授/NEWS ZEROメーンキャスター

村尾信尚 nobutaka murao.JPG冒頭、組織におけるリーダー像についてファイザル氏は「リーダーシップとはどのようにリードしていくか明確なビジョンを持ち、損失を最小限に抑えるためリスクマネジメントを徹底していることが重要です。実際に私はたくさんのリーダーを知っていますが、彼らはみな災害が起きる前から準備をしています」と語りました。

大西氏は政府、NGO、民間など誰もが参加しより迅速な支援を目指すアライアンスについて触れ、「常に最悪の状況を考え準備することが私たちには求められます。災害がいつ発生しても対応できるよう、協力関係を保持し、効果的な意思決定を行うことが大切です」と述べました。

IMG_0429.JPG研修生として参加しているハリ氏はAHAセンターの研修プログラムについて説明しました。ASEAN各国から集まり、様々なトレーニングを受けることで、将来ASEANの国々で災害に即応できるリーダーとなるため、日本での研修を含め様々なプログラムを通して学びを深めていることを紹介しました。「リーダーとはごく少数の人しかなることができないかと思います。このプログラムではそれぞれ個人が持つ特徴や違いを共有し、リーダーになれるよう日々努力しています」と力強く語りました。

次に下平氏は海上自衛隊とNGOの協働の実績や東日本大震災におけるアメリカ軍の「オペレーション・トモダチ」など、海上自衛隊の救援活動について説明しました。大規模災害時に迅速な支援活動を展開するためには平時の活動を強化することの必要性を強調しました。また「リーダーとは、知識と経験と協調に向けた行動が不可欠」と述べました。

泉氏は「1人のリーダーではすべてを行うことはできません。様々なタイプのリーダーが移り変わる各フェーズの中で必要となります」と語りました。また、自然災害が多発するアジア地域では、迅速な対応と早期回復に向けた事業の運営、リスクマネジメントなど多くの知識を有していること説明しました。「私たちは政府と民間とアライアンスとともに支援活動を展開することが可能です」と意義を強調しました。

「リーダーシップに高度な技術は必要ない」

IMG_0453.JPG              (写真右から)泉氏、下平氏、スサント氏、大西氏、ファイザル氏、村尾氏

ディスカッションでは村尾氏の司会のもと、NGOに求められるリーダー像、各組織との情報の共有、文化、環境など大きく異なる海外での活動などについて議論が交わされました。ファイサル氏は「被害は地域レベルで起こるので、私たちは災害リスクの軽減を図り、そのための準備、訓練を提供することが必要です。日本とは異なる環境でも、リーダーシップとマネンジメントは私たちにとって重要な役割であることに変わりはありません。リーダーシップには高度な技術は必要ないからです」と解説しました。その他、会場からは様々な質問やコメントが寄せられ、活発な議論が展開されました。

                   ウィン・オマール win ohnmar.JPG 茶野順子 junko chano.JPG IMG_0308.JPG

            オマールさん             茶野氏            ファイザル氏

総括では、ウィン・オマールさん(アセアン防災人道支援調整センター研修生、ミャンマー)が「震災後の対応や復興期の活動などについて理解することができました。学んだことを各国に共有したいと考えています」と感謝の言葉を述べました。また笹川平和財団の茶野順子常務理事は「アライアンスのパートナーであることを誇りに思います。たくさんの志を同じくする人々に囲まれていること、それがアライアンスの美しさです」と話していました。最後にファイザル氏より「今回のシンポジウムを通して得たものは、将来的に私たちに多くの利益をもたらすことができると思います」とのメッセージで締めくくられました。

今シンポジウムでは企業やNGO、行政、メディア関係者など50人以上の方にご参加いただきました。ご参加いただいた皆さま、関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。アジアパシフィックアライアンスでは、引き続き各国内においてパートナーシップを組み、災害支援に取り組む「ナショナル・プラットフォーム」の構築に努め、より迅速で効果的な支援を目指していきます。皆さまの応援をよろしくお願いいたします。

アジアパシフィック アライアンスのHPはこちら。http://apadm.org/

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