難しい土砂災害の捜索活動
「松末地区 孤立 30人以上」――7日早朝。福岡県朝倉市の災害対策本部のホワイトボードに書かれた文字を見て、レスキュー隊員たちの目の色が変わりました。命からがら避難したという60代の男性によれば、道路が寸断され、朝倉市杷木(はき)松末の集落で助けを待っている人たちがいるといいます。
チーム(A-PAD/Civic Force/PeaceWindsJapan)は7日、降り続く雨の中、水陸両用車2台に乗り込み、災害救助犬の夢之丞とハルクを率いて救助に向かいました。
周辺の川の流れは穏やかに戻りつつあったものの、雪崩のように押し寄せた土砂や屋根まで埋もれた家々から、あらゆるものが一気に濁流にさらわれたとわかります。
現地対策本部になっている松末小学校では、自衛隊と消防がすでに周辺地域への声かけを終え、その先に進もうとしていましたが、腰の高さほどまで増水した川が行く手を阻み、ロープなどを使っても渡ることができないと判断せざるをえませんでした。
松末小学校には、行方不明になっている義理の母親を探す男性(40)がい「行けるなら、いますぐ行きたい」と声を震わせていました。
隊員たちはその後ヘリで松末地区の上空付近を飛行して情報収集。隊員の田邊は「土砂災害の現場では陸路のリスクが高くなるため、上空からのアプローチが早い段階で必要。ただ今回のように悪天候が続く場合はそれも厳しくなる」と、土砂災害時の活動の難しさを再認識しました。
ハルクが行方不明者の捜索に貢献
被災地では今も安否不明の人たちがいるため、チームは8日も、朝からヘリを使って被災地上空から救助手段の模索。朝9時半頃には朝倉市杷木松末の中村集落の現場付近に着陸し、そこからさらに険しい道を歩き、中村集落での捜索を開始しました。
ワンワン、ワンワン!! トタン屋根や流木などが折り重なったガレキの山に救助犬のハルクを放つと、ハルクは間もなくして入り組んだところに自ら入り、中で吠えました。確認のため、付近を2、3度と捜索させたところ、いずれも同じ場所で吠えて生存者がいる可能性を伝える合図を示しました。
流木が折り重なっていて、人力ですぐに動かすことは難しい状況でしたが、自衛隊の小隊がちょうど現場に来たため、捜索の結果を説明。自衛隊に流木の撤去作業と行方不明者の捜索を引き継ぎ、次の現場に向かいました。