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活動報告

被災地を支援する

2017/12/17

【熊本地震】「障がい者スポーツに親しむ機会を」ーNPOパートナー協働事業

「熊本地震で障がい者への理解不足の問題が浮き彫りになった。まずは支援団体や関係者が集う機会をつくりたい」。2016年4月の熊本地震後、一般社団法人Arts and Sports for Everyone(ASE)メンバーの強い思いとともに始まったCivic ForceのNPOパートナー協働事業。その集大成となるイベント「障がい者スポーツフォーラム&ユニバーサルスポーツ体験会 in くまもと」が11月26日、熊本県立大学で開催されました。東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げる「東京2020参画プログラム」にも認定されたこのイベントには、100人以上が足を運び、障がい者スポーツへの理解を深めました。

DSCN2152.JPGのサムネール画像

 

「共生社会の実現につながる障がい者スポーツの可能性」

午前中に実施された基調講演では、知的障がい者らの支援に取り組む帝京科学大学の岩沼 聡一郎助教(SO世界大会日本選手団副団長)が、「障がい者スポーツの展望と課題」をテーマに講演。「障がい者スポーツに親しむ人が増えれば、互いに認め合う社会の実現につながる」と語り、障がい者スポーツ関連施設の増設など環境整備の必要性を訴えました。
 

また、「熊本に障がい者スポーツの風を吹かせよう」と題したパネルディスカッションでは、2020 年東京オリンピック・パラリンピック大会推進議員連盟の薬師寺みちよ氏、 日本車いすテニス協会事務局長の塚本直子氏、熊本県障害者スポーツ・文化協会の中尾直道氏など5人が登壇し、それぞれの経験や知見を紹介しつつ障がい者スポーツの可能性について話し合いました。視覚障害者水泳アスリートの富田宇宙氏は「熊本出身の私が東京パラリンピックで活躍することで、障がい者スポーツがここでもっと身近なものになり、2020年以降も日本が変わっていくきっかけにしたい」と期待を述べました。車いす陸上アスリートの中尾有沙氏も「ここ熊本で競技を続けることにこだわってきた。障がい者がスポーツを始めたいと思ったときに、気軽に参加できるクラブチームがあってもよい」と提案しました。

 

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誰もが楽しめる障がい者スポーツ体験会

午後からは、学内の複数の会場で障がい者スポーツの体験会を実施。車いすテニスや車いすバスケ、ボッチャ 、卓球バレー、スポーツ吹き矢、風船バレー、フライングディスク、ブラインドサッカー、ビームライフル、競技義足体験 、オセロなど、障がいのある人もない人も誰もが楽しめるスポーツを紹介し、来場者60人以上が体験しました。

卓球台を多数のメンバーで囲んで相手の打球を返す「卓球バレー」に参加した熊本大学の女子学生は「普段使わない筋肉を使い筋肉痛になりそう。障がいを持つ人はできないことが多い印象があったけれど、想像以上にたくさん体を動かしていて、体験して考えが変わった」と話していました。障がいを持つ息子とともに卓球バレーを体験した母親は、「ラリーを続ける楽しさを息子に何度も説明して理解できた様子」と、ゲームを通して新しいコミュニケーションの可能性を見つけたようです。「自宅の近くで卓球バレーのグループがあることを知り、改めて参加したい」という親子もいました。

また、義足体験にはCivic Forceスタッフの永田千代美も参加。「競技用の義足は立つだけでも大変で、アスリートの方々は大変な努力を重ねて競技者になっていると実感した」と言います。義肢装具士を目指しているというボランティアの学生の姿も印象的でした。

体験会にはスペシャルオリンピックスの日本代表選手も参加し、「他の競技を体験する良い機会になった。競技者が別のスポーツをすることで新しい才能を見つけられるかもしれない」と話していました。会場には、くまモンも登場し、ふうせんバレーと卓球バレーを体験。小野泰輔・熊本県副知事も参加し、「障がい者スポーツを幅広い方に知ってもらうすばらしいイベント。県が手伝えることがあれば相談してほしい」と語りました。

ASEの吉田祐一代表は、「たくさんの人に障がい者スポーツを身近に感じてもらう機会を提供できた。小さな活動から始めた私たちがこんなに大きなイベントを開催できたのは、企業や学生などたくさんのボランティアやCivic Forceの支援のおかげ。もう一度開催してほしいという声もあり、次につながる一歩になった」と話してくれました。

フォーラムの様子は、NHKニュースやKKTニュース、熊本日日新聞、読売新聞などで紹介されました。