災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

活動報告

被災地を支援する

企業ボランティア派遣事業

2011/07/27

個人ボランティアが減少する中で・・・

7月、富士ゼロックスに今年度入社したばかりの新入社員全員(221人)が気仙沼市大島に降り立ちました。目的は、大島に依然として散乱するがれきの撤去です。新人研修の一環として来訪し、4泊5日の日程で、地元の方々から被災体験を聞くなどの座学を行ったほか、環境省の快水浴場百選に選ばれた小田の浜と田中浜に流れ着いたがれきの撤去を行いました。

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(小田の浜で流木などがれきを撤去する、富士ゼロックス新入社員たち)

CSR(企業の社会的責任)や社会貢献活動に従来から積極的な富士ゼロックスでは、震災発生直後からCivic Forceとの連携のもとで現地の視察や社員ボランティアの派遣についての可能性を協議・検討してきました。その過程において、全国各地の事業所からも被災地で必要とされる支援物資を集めるなどをしてきました。

被災地では地方公共団体主導の生活再建、復旧活動が進行しています。一方で、行政の支援の手が行き届かない私的な領域については、組織的な取り組みができていません。個人宅等の私的施設におけるがれきの撤去のほか、生活再建、復旧に向けたニーズは高まりつつも、継続的にボランティアを送り込む仕組みが、ニーズに対して圧倒的に不足しています。

東北最大級の有人離島・大島でも同じです。自発的に集まった個人ボランティアのほか、東京ボランティア市民活動センターが送り込む都民ボランティアによってがれきの撤去を行っていました。依頼のある個人宅の敷地内などは、個別に対応することができていましたが、公共の場である海岸や被害が広範にわたる田んぼや畑までは手が回っていませんでした。また、今後被災地への関心が薄れるにつれて個人ボランティアが減少し、復旧・復興の担い手が不足することが予測されていました。

そこでCivic Forceでは、富士ゼロックスなどを連携して、複数企業によって社員ボランティアを組織的に派遣できるプログラムを構築。7月から実施検証を始めていました。同じく7月には、化学品メーカーJSR株式会社が、4泊5日の日程で、約60人ずつ2グループが交代で、がれきの撤去に取り組みました。同社では、従業員のボランティア活動への参加を支援・奨励する目的で、有給の休暇を認めるボランティア休暇制度を東日本大震災が起きる前から展開してきました。今回は、ボランティアに参加しやすいよう、交通費と宿泊費を会社で負担し、グループ会社を含む全国から参加希望者を募集。参加者の中には、同制度の以前に個人で九州から駆けつけてボランティアを行った方もいました。

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(田んぼにも農機具など大小問わずがれきが堆積。暑い中、JSRの社員ボランティアが撤去に当たる)

8月には、富士ゼロックスが社員ボランティアを派遣して、検証しながら、9月からの実施に備える計画です。ボランティアの皆さんは、大島島内の宿泊施設に泊まっています。

社員ボランティアを受け入れてくれた大島災害対策本部やおばか隊によると、「やはり人手でしか解決できないこともある。おかげさまで浜も田んぼも見違えるほどキレイになった」といいます。

今後Civic Forceでは、連携する企業を増やすとともに、必要に応じて受け入れをする地域を拡大する意向を持っています。

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(おばか隊によるお見送り。普段は鳴らない汽笛が鳴った)