災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

HOME 活動報告 被災地を支援する 東日本大震災支援事業 その他 「ワカメの命のリレーをつなぎ、気仙沼湾のワカメ文化を守りたい」

活動報告

被災地を支援する

その他

2011/07/29

「ワカメの命のリレーをつなぎ、気仙沼湾のワカメ文化を守りたい」

宮城県、岩手県の三陸ワカメは、全国のワカメ生産量の8割近くを占める一大産地です。その中でも気仙沼湾は宮城県内でも有数の産地ですが、その養殖施設は津波でほぼ全滅しました。しかし、6月4日には、東日本大震災以降、宮城・岩手両県ではじめて養殖ワカメの採苗作業が行われました。

4月なかばに早々に養殖の再開を決意し、宮城県漁業協同組合の各地区の役員を筆頭に、ワカメの仕込みに動き出した結果でした。がれきの中からワカメの種苗となるメカブを救出。また、西のワカメの産地である徳島県からも種苗を分けてもらいました。そして7月中旬ごろに、ワカメの発芽が始まったことが確認されました。10月にはワカメの苗のついた種糸を短く切ったものを太い縄に差し込みます。その縄を海面に張り、光合成させることでワカメは育ち、年末年始ごろから収穫を始めることができる見込みです。

他の養殖業と同じように、ワカメも1年でも養殖が途絶えてしまうと、再開が難しくなる特性があります。「ワカメの命のリレーをつなぎ、気仙沼湾のワカメ文化を守りたい」。漁協のワカメ部会の方は語ります。

カキやホタテの養殖で成長に3年かかるのに対して、1年性のワカメはすぐに収穫できるため、養殖漁業復興の最初の一歩として取り組もうとしているとの声が各地から聞こえてきます。岩手県では、県沿岸部の全19漁協が、来春の収穫を目指してワカメ養殖を再開しています。多くが養殖施設や漁船を共同で利用したり、利益を配分するなどの協業体方式で経営する方針で動いています。海中のがれきの撤去や施設の復旧準備なども漁業者が連携して行っています。

気仙沼・階上支所では、従来の台風などの自然災害で受ける被害を最小限に抑えるため、約5年前から海上だけでなく、陸上での種苗栽培に取り組んでいました。しかし、今回の津波はそれらの陸上栽培施設までも襲いました。陸上栽培など独自の育苗技術で築き上げた「三陸ワカメ」ブランドの再開に、地域の期待が高まります。

IMAG01400.jpg

(仮設住宅のわきで、ワカメ養殖に必要な道具を作る漁師たち)

Civic Forceでは、水産業が関連する新しい地域づくりに取り組んでいます。唐桑地区における陸上と水上、水産業と観光業のハイブリッド型の事業について、追って報告させていただきます。