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活動報告

被災地を支援する

産業復興支援事業

2011/12/08

「元に戻るだけではだめ。新たな展開を切り拓いていかなければ」-日本初の共益投資型産業復興支援基金が正式始動!

Civic Forceが5月に構想して準備を重ねてきた基金の法人登記が完了し、正式に新法人として設立、始動しました。ここでは、Civic Forceと新基金が打ち出す日本初の投資コンセプト“共益投資”と、これまでの準備作業などについてご報告します。

 

「緊急支援は援助だが、復興局面では地場産業への投資が必要となる」(坂本)

Civic Forceでは、大規模災害に備える活動の一環として、3月11日以前から基金構想を関係者と協議・検討していました。「緊急支援の次に来る復興段階では、これまでとは異なる新しい資金の流れを創らなければ、効果的な支援ができない」との考えをともにしていたのが、地域金融・中小企業金融の新たな動きを創るシンクタンク代表の坂本忠弘さんです。

大規模震災後の事業再起には、設備等の物的資産が使えず、自社の資本金は小さくて頼れない上、融資を受けることもリスクが大きくてできない事業者が多数でることは想定されていました。行政の企業再生支援は、スピードときめ細やかさで課題があり、金融機関は預金を運用する性質上、融資を中心にした手堅い支援の枠組みしか用意できないことは、当時から想定をされ、今回、その傾向が顕著に表れています。

 

「顔の見える金融」-いくつもの“日本初”を実現する基金構想

そこで緊急支援フェーズと並行して、今年5月から調査活動等に基づく準備を開始しました。被災地の動向を見ながら、坂本さんを中心に10名を超す金融の専門家などと議論を重ね、復興期に必要とされる新しいタイプの資金循環のあり方を描きました。それが、今回の基金のコンセプト「共益投資」です。単一企業の復旧にとどまることなく、関係する取引先・従業者・地域社会に復興の動きが波及していくような「共益事業」に目を向け、資本としての資金を提供していくことで、機動力と柔軟性ある地域経済の復興を実現すると考えています。私たちは「共益事業者」を、生産連携先や取引先、顧客との縁をつなげて、生命力を復元し、高めていく源と考え、そこに対して資金とノウハウ等、「顔の見える」フルサポートを提供する計画です。

1)「共益投資」というコンセプト、2)寄付金を原資にNGOが基金を立ち上げること、さらには3)事業投資を行い、再起の実現とともに償還された資金を、震災支援を続ける東北地域のNPOなどに助成のかたちで再投資する二度の資金循環を目指すこと、はいずれも日本で初めての試みです。

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その道のプロ、による事業支援体制

皆で知恵を出し合い、このような新しいつながりの環をつくる基金、「東北共益投資基金」は、11月22日に評議員・理事会で設立が確認され、12月2日に仙台を本拠地とする法人登記が完了しました。5年に及ぶ長期にわたり、金融や流通等の専門性を投下するため、緊急即応を専門とするCivic Forceとは別に、独立性ある法人を設立しました。

最高意思決定機関である評議員には、地域経済・地域自治のあり方を考える第一人者で、構想日本の代表・加藤秀樹さんや、元日本オラクル社長で“ユニクロ”のファーストリテイリング社外取締役やNTTドコモアドバイザリーボードメンバー等を務める企業経営のプロ・新宅正明さんや、メディアの視点からは、NPO/NGOに詳しい日本経済新聞解説委員で明治学院大学教授の原田勝広さんに着任いただきました。日々の意思決定や支援先の選定や支援のあり方を決める理事には、坂本さんのほか、東北の地域経済事情に詳しい、元仙北信用組合理事長・若林洋一さんや、建築家でCivic Force理事の荒木洋さんが着任しました。

実際の支援先の選定や支援を担う専門家としては、仙台・東京を基点に企業経営や事業支援に関わる方から既に数名の参画の意向をいただき、ネットワークを広げているところです。また、支援先の選定等に客観的助言をする投資アドバイザーにも、その道のプロ4名ほどにご協力いただく体制を整えました。

Civic Forceは、寄付者の皆さまのご理解のもと、いただいた寄付金の中から2億円を基金に寄付し、早期に資金を必要とする共益事業者を支援します。基金からは、毎月報告を受けるほか、日々緊密に連絡を取り合い、相互に協力していきます。

 

「頑張ればできるということを見せたい。それができれば、雄勝硯だけでなく、地域もいい方向に向かっていくと思う」(澤村さん)

第一号案件として、雄勝硯生産販売協同組合(宮城県石巻市雄勝)とは、resize-ogatsu.jpg夏ごろから協議を続け、支援を開始しています。600年の歴史を持つ国内硯(すずり)の9割を供給する雄勝(おがつ)の硯(写真)も、今回の大震災で、大きな打撃を受けました。

「組合員が力を合わせ、できるだけ早く再建したい」「伝統産業の復活は、町の人たちの気持ちをもり立てることにつながる」という組合理事長・澤村文雄さんの想いを、基金は積極的に支援しています。

雄勝の硯については、次の活動報告で具体的にご紹介する予定です。

並行して、沿岸部の水産業地域では、地場の生産販売生態系といえるものの中で、鍵となる位置づけや役割をもつ事業者の存在に目を向け、協議を続けています。第二号以降の支援先も、1月~2月にかけてご案内できる計画で進めています。

 

 

                                          

 

「東北共益投資基金」にご注目ください。

http://kyoueki.jp/