2012/03/14
宮城県気仙沼市を拠点に、環境教育・森づくり・環境保全の3分野で活動するCivic ForceのパートナーNPO「森は海の恋人」は、3月13日、気仙沼市でシンポジウム「海と共に生きる~震災復興と森は海の恋人運動~」(後援:Civic Forceほか)を開催しました。会場となった宮城県気仙沼市民会館には、市民らを中心に約150人が集まり、震災後の海岸海域の環境モニタリング調査や三陸の新たなまちづくりについて、情報を共有しました。
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「海は死んでいなかった。そのことを皆さんにお伝えしたい」――森は海の恋人の畠山重篤理事長は、シンポジウムの第1部「東日本大震災と復興へ向けた想いについて」の冒頭で、来場者に向けてこう語りかけました。長年、宮城県気仙沼市の唐桑町舞根地区で牡蠣の養殖を営んできた畠山重篤さんは、「1,000年に1度と言われる未曾有の大震災で海はどうなっていくのか」と不安をおぼえ、2011年4月から、全国の専門家約10人で構成されるボランティア調査チームとともに、海岸海域の環境モニタリング調査を続けてきました。
このシンポジウムは、そうした調査を通じて見えてきた海の中の変化を、地元の方々をはじめ全国の人々に報告し「三陸と共に生きる」気持ちを持ってもらうとともに、海外に向けて「歴史の証言」としての情報発信を目指して開催されました。
第二部では「生物環境調査報告」として、津波による海への影響について、4人の専門家が「水質・底質」「プランクトン」「魚類」など専門分野の調査結果を発表し、普段は目にすることのできない海中の様子やがれきの状態、生き物が津波から受けた影響、環境の回復状況や水産物の安全性について具体的な数字を交えながら解説しました。この中で「プランクトン」について説明した北里大学海洋生命科学部の山田雄一郎講師は、動物プランクトン群集に対する津波の影響について震災前と比較したところ、津波による影響は極めて少ないことが分かった。海中は陸上より復興する回転速度が速い」と話していました。
また、第三部では、2000年の火山の噴火の影響で甚大な被害を受けた三宅島(東京都)に詳しい専門家3人が登壇し、三宅島の災害復興の経緯や過疎地の限界集落の話などを交えながら、三陸の新たなまちづくりや森・里・海のつながり、環境教育などについて、会場の来場者と討論しました。
会場からは、気仙沼市民の漁師の方が「今回の津波で海の底に大量の金属などが沈み、それが今、魚たちのすみかになっている。5年も6年も撤去にかかってしまったのでは漁業ができなくなってしまう。一刻も早く、撤去する必要がある」という声もありました。
(海の現状について語る畠山重篤氏。畠山氏は、国連森林フォーラムが森林の育成や林業の健全な発展などに貢献した人物を表彰する「フォレスト・ヒーローズ」に選ばれました)
森は海の恋人シンポジウムは、昨年12月に仙台で開催されたのを皮切りに今回が2回目。4月3日は、東京・日経ホールでも開催される予定です。詳細は森は海の恋人ホームページをご覧ください。