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活動報告

被災地を支援する

東日本大震災支援事業

2012/03/21

「酒の代わりにミルクを」――協働パートナー紹介

変わる被災地のニーズに対応するため、専門性を持つNPOや被災地で生まれた団体などと協力しながらさまざまな支援活動を続けてきたCivic Forceの「NPOパートナー協働事業」。今回は、2012年2月から新事業としてスタートした、災害時乳児救済ボランティア「ピースジャム」の活動について紹介します。

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2011年3月11日に発生した東日本大震災は、甚大な被害をもたらし、被災地内外の人々の人生を大きく変えました。

宮城県気仙沼市在住の佐藤賢さんもその一人です。佐藤さんは、それまで音楽活動と並行して気仙沼市内にあるブルースバー「ルードジャム」を経営し、町の人々が集い、音楽を聴きながら飲食を楽しめる憩いの場を提供してきました。しかしながら、未曾有の震災によって、大切に育ててきた店を失いました。

失意と混乱の中、佐藤さんが始めたのは、被災した赤ちゃんたちを救う活動です。モットーは「とにかく赤ちゃんのお腹を減らさない」。主に宮城県気仙沼市、本吉郡南三陸町、岩手県陸前高田市で、1 軒1 軒個別訪問してニーズ調査を行い、赤ちゃんとそのお母さんに粉ミルクや紙オムツなどのベビー用品を手渡す活動を続けてきました。

「家が残っている在宅被災者には物資支援が遅れがちで、佐藤さんから届けられる物資が命綱だった」「避難所にいたときは、人目を気にしながら授乳しなければならず粉ミルクをもらえて助かった」――赤ちゃんの母親たちは、佐藤さんの活動によって、大切な子どもを守ることができたと話しています。

「はじめは自腹を切って紙おむつやミルクを買っていた」という佐藤さん。自身も被災しているにもかかわらず、なぜこのような活動を始めたのでしょうか。佐藤さんは「そこにニーズがあったから」と言います。「私も2児の父親で、震災後の混乱の中、万が一、自分の子どもが餓死するようなことがあったら絶対に耐えられない。親の気持ちが痛いほど分かり、何とかしたいと動き始めたら、たくさんの人が協力してくれるようになった」と語ります。

必要な支援物資を必要な時に迅速に募集して配布するという乳幼児を救う取り組みは、メディアなどでも取り上げられ、被災地内外から注目されるようになりました。そして、気仙沼市在住の有志の賛同と参加を得て、災害時乳児救済ボランティア「ピースジャム」を設立。2012年3月現在、本部スタッフ5 人、愛知県や東京都などから遠隔で支援に当たる約10 人が、企画・運営・営業活動に当たっています。

「ピースジャム」の名前の由来は、佐藤さんが大事に育ててきたブルースバー「ルードジャム」にもつながっています。「ミュージシャンが集まって即興演奏する“ジャムセッション”は、一人では成立しない。たくさんの人が一緒になってこそできる、という意味を込めて“ピースジャム”と名づけました」。

震災前はバーでお客さんに酒や料理を振る舞っていた佐藤さん。「復興に向けて、震災後は酒ではなくミルクを配ってきた。被災した人々は、“何をしたら復興になるのか”と感じている人も多いと思いますが、将来の復興を支えるこの町の子どもたちを支えることが、自分自身の復興に向けた活動の一つだと思っている」とさわやかな笑顔で語ってくれました。

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「将来の子どもたちを支えることが復興に向けた自身の活動の一つ」と語る佐藤さん

 

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