災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

活動報告

被災地を支援する

手作り風呂設営・運営事業

2011/05/25

5月24日(火)地元のお風呂であり続けるために

Civic Forceでは、避難生活の環境改善の一環として、3月より手作りお風呂の設営と運営支援をしています。断水が続き1ヶ月以上お風呂に入ることができない方々がいる現状を改善すべく、宮城県南三陸町内に町役場の担当者と決めた6ヵ所にお風呂を設営してきました。地元の有志が、五右衛門風呂を何とか作ろうとする姿を目にしたことに端を発し、地元の大工さんや東京からの大工ボランティア隊のほか、多くの方のご協力で設営してきたものです。

これらお風呂の運営は、間もなくCivic Forceから地元に引き継がれる計画です。設営にあたっても、地元の皆さんと一緒に知恵を出し合い、汗を流しあい、試行錯誤をしながら作ってきました。しかし、そこは手に入る資材・機材を使ってスピード重視で構築したもの。多少の不具合や、使い勝手の悪さから、誰でも運営できるようにはなっていない反省もあります。お風呂に使う水の確保からお風呂を沸かす作業、水や沸かしたお湯を移し変える手間などが問題でした。

韮の浜地区のお風呂では、これまでドラム缶に水を張り、ガスバーナーで40分かけてお湯を沸かしてお風呂を準備してきました。荒砥地区では、軽トラックで1日400リットルの水を4~5回、近くの川へ汲みに行っていました。田の浦地区では井戸水が十分ではなく、お風呂利用者が各自40リットルの水を持参するルールになっています。歌津中学校と韮の浜では、自衛隊から給水を受けられるようCivic Forceが交渉し、その結果、韮の浜では3日に一度、歌津中では毎日、貯水用プールやお風呂に給水してもらっています。

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(韮の浜のお風呂では、左手に見えるドラム缶でお湯を沸かしてきました)

一方でお風呂ニーズは、まだまだ根強くあります。

南三陸町では、いまも上下水道がほぼ使えません。町では6月中の水道復旧を目指して日夜工事を進めていますが、地下のパイプが無事かどうかは一度水を通してみないと分からないのが実情です。また車で30分程度の内陸部にスーパー銭湯がありますが、有料でもあり、なかなか足が向きません。さらに、住宅が無事でも断水によってお風呂に入れない自宅避難をされている方々など、遠方から手作りお風呂を訪ねてくる人が後を絶ちません。たとえ水道が復旧したとしても、仮設住宅の入居を待ち避難所生活を続ける1000人以上の方々は、引き続きお風呂を必要とされています。(関連記事:5/9の活動報告

そこで、Civic Forceでは、運営の負担を軽減し、どなたでも地元の方がお風呂を使えるようにしていただく最後の仕上げに着手しました。水の調達に関しては、各お風呂の運営を担っていただく方々の大きな負担になっていました。Civic Forceでは、宮城県内で4トン給水車をレンタルし、地下水をくみ上げている志津川地区のポンプ場から取水して運搬する一括巡回型の給水体制を構築。5/24から稼動させました。荒砥、寄木、田の浦、つつじ苑などを巡回していく計画です。さらに、その運営に必要なスタッフとして、地元漁師さんなど3人を臨時雇用しました。町内掲示板などに貼り出した公募や口コミで応募いただいた方々です。町の水道が復旧するか、お風呂ニーズがなくなるまで、3人は交代で給水車を使って、お風呂を巡回する予定です。新たな体制によって、荒砥のお風呂では半日がかりだった給水作業が、わずか10分でできるようになりました。お風呂の運営をボランティアで協力いただいていた地元の皆さんからも「便利になった」とコメントいただいています。

あわせて、水を効率よく沸かすために給湯器のほか、オイルタンクや浅井戸ポンプ、貯水に使うローリータンクを調達しました。5/23頃までに機材が現地に到着し、さっそく24日に韮の浜のお風呂に設置しました。蛇口をひねるだけでお湯を出すことができるようになったうえ、シャワーも新たに設置して快適にご利用いただけるようになりました。

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(設置した給湯器とシャワー) 

Civic Forceでは6つのお風呂が「地元の皆さんが作り、運営する私たちのお風呂」になるよう、引き続き、引き継ぎ作業を続けていきます。