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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2011/08/22

人手でしか解決できない問題―協働パートナー紹介

Civic Forceは4月から、NPOや任意団体などと「パートナー協働事業」を展開しています。Civic Forceの第一期パートナーとして、宮城県石巻市を中心に支援活動を展開してきた国際NGO「ピースボート(東京都新宿区)」とは4月から協働してきましたが、6月末をもって予定の期間を終了しました。終了時のモニタリングに訪問をした際の様子をお届けします。

なお、終了時の評価レポートは、寄付者の皆さまに報告するため、後日Civic Forceのホームページ上で公開する予定です。

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石巻市へ大規模にボランティアを送り込み、ガレキ撤去や炊き出しを展開してきたピースボート。大規模かつスピーディーに活動を展開できたのは地元の方々と関係を構築できたおかげだと、代表の山本隆さんは被災地に入った当初を振り返ります。3月25日から東京からバスを走らせ1週間のボランティアを派遣。何から手を付ければいいのか、被災地でも混乱が続いていましたが、物資配給やガレキ撤去など人手が必要と思われる場所に人を配置して活動を始めました。

通常であれば、まず先に被災地が何を必要としているのかというニーズ調査が重要だと言われますが、今回はその通念を一蹴。「あれこれ何が必要か聞いたところで何もしなかったら、ボランティアに対して不信感を募らせてしまう。だからニーズ調査はせずに、想定できることをどんどんやってみた。すると、地元の方々に口コミで広がり、活動の幅はどんどん広がった」。被害が大きくピースボートが被災地に入った段階では、とにかく人手が必要でした。そのうえで、「地元の方たちとの信頼関係は、実行によってしかできない」と言い切ります。

ボランティア本人たちも自覚を持って地元の方と接することができたことが信頼関係の構築に大きく貢献したと言います。ボランティアの質を担保できたのは、東京などで行った説明会。3月23日の第一回説明会には、熱意を持った参加希望者が約300人も集まりました。風呂もトイレもないテント生活で、重さ15キロの荷物を持って8時間作業などの厳しい条件を踏まえて参加したボランティアたち。山本さんは、参加したボランティアの自律心が高かったおかげで、大規模に支援活動を展開できたと振り返ります。「ボランティアはまだ不要だと言われた時期に、被災地へ大規模にボランティアを送り込んだことはチャレンジングだった。もし、問題が起きたらボランティアそのもののイメージダウンにつながりかねないことだったから。しかし、人が来ることでしか解決できないことが被災地にはたくさんあった」。ピースボートではこれまでに、海外約50カ国からのインターナショナル・ボランティアや約60の企業・大学ボランティアなどを含む、のべ4,500以上(1日平均200人 、のべ活動人数は約3万人)のボランティアを受け入れました。現在でも60人の長期ボランティアを含む、250人のボランティアが日々活動しています。

地元との関係がより深化したのは、7月31日~8月1日に開かれた「石巻川開き祭り」です。がれき撤去をきっかけに石巻市中央の寿町商店街の店主たちと関係を構築。店舗再生を手伝い、祭りでは商店街にて、被災地の牡鹿地区から譲り受けた漁具の一つであるガラス玉をオブジェに、硯で有名な雄勝地区でガレキと化した硯の原石をペンダントに加工して販売、大変好評だったと言います。もともと32店舗あった寿町商店街では、今も店舗再生、産業復興に向けてボランティアが活動しています。

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(寿商店街の音楽店の店舗再生に、外国人ボランティアが活動)

ピースボートに参加したボランティアの主たる活動であったガレキ撤去と炊き出し。在宅避難者向けに、毎日約1,000食の炊き出しを続ける一方で、ガレキ撤去や泥かいなどの活動は石巻市街地でほぼ収束しました。支援の現状について、山本さんいわく「難しい段階」に来ているといいます。「阪神淡路大震災の時の神戸は、大阪や明石など近隣に仕事できる場所があったから、仮設住宅に入ることが支援のゴールだった。しかし、漁業が中心産業だった石巻には仕事を失った人への新しい職が見つからない状況。仮設住宅への入居は一つの通過点に過ぎない」。石巻市もほかの被災地同様、震災前から地元の商店街は苦しい事情を抱えていました。石巻災害復興支援協議会の主要メンバーであり、行政などとも太いパイプを持つピースボートでも、街全体の復興までは長い道のりであるとの認識を持っています。そのなかで山本さんは「せめて、今回の活動でつながった人々が安心して暮らせるように、そして将来に希望を持って生活できるようになってほしい」と考えます。

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(お盆前には、ボランティアがお墓の清掃なども行った)

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(石巻市中央の寿商店街。ピースボートが中心となりガレキ撤去を行った)