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活動報告

被災地を支援する

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2011/06/15

産業復興に向けてのさまざまな課題

今回の災害では多くの産業が被害を受けました。宮城県では漁港施設の被害総額約4167億円、漁船で同1129億円、養殖施設で同487億円、水産物の流出で同332億円など(6月15日段階、http://www.pref.miyagi.jp/nosui/110311top.html)、宮城県内の水産業関連で約6528億円の被害額が計上されています。農林水産省では、東日本大震災による漁船・漁港施設など水産関連の被害額が1兆664億円に達したと13日に発表。全容把握には時間がかかり、被害総額はさらに膨らむ見通しです。

5月中旬には、宮城県漁業協同組合に加入している漁師の3割近くが廃業を予定しているという報道もありました。ガレキなどの撤去費用がかさみ、復興再建までにはマイナスからの出発となる現実は大変厳しいものがありますが、震災から3か月を過ぎ、気仙沼市の中では、養殖漁業者や水産加工会社などが、再建に向けて歩み始めています。

しかし、せっかくやる気を持って活動を始めても、思うように再建が進まないという声が聞こえてきます。

今回被害のあった漁港近くには、たくさんの水産加工工場が集積していました。津波被害により、ほとんどの企業が操業停止に追いやられています。水産加工の場合、工場は建屋のほか、加工機械が多数並んでいました。それらの機械の多くは特別設計の特注品。中小企業の工場でも設備投資には少なくとも数千万、中には数億円することも珍しくありません。大手加工会社となれば複数の工場への設備投資額は数十億~百億円を優に超えます。それらの工場が一瞬にして流されてしまったのです。

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(気仙沼市フェリー乗り場近辺の様子。浜町地区にはたくさんの加工会社があったが、その多くが被災している)

企業の再生には中小企業基盤整備機構などが、支援策を打ち出しています。自分たちで工場を再建しようとしても、現実には建築資材の調達が難しく、着手できない状態です。中小機構の支援策では市町村から貸与された用地を使い、中小機構が仮設施設を整備。中小機構が市町村に対して一括貸与し、市町村で入居条件や入居事業者を決める仕組みです。工期は約2か月とスピード重視の内容で、入居見込みの事業者は設備投資の費用は不要、賃料も原則無料となる予定です。

中小機構では仮設工場・店舗により多くの事業者が入居できるよう、一つの施設に複数の事業者が入居することを求めています。ただ、現実には将来の先行きが見えない中、再建を目指そうという企業は決して多くはありません。共に入居できるパートナー探しは難しく、再建を急ぐ企業はその調整に時間と労力がとられるという現象も起きています。

産業復興に向けて、国や地方自治体、金融機関ではたくさんの支援メニューを用意しています。ただ、それでも公的機関や既存の金融機関の支援が行き届かない事業者があるとすれば、Civic Forceとして何か支援ができないか―。Civic Forceでは資金提供に限らず、販路拡大など営業活動の側面支援も一つの手段として検討を進めています。