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活動報告

被災地を支援する

手作り風呂設営・運営事業

2011/06/16

「風呂の大事さが分かるから、水を運ぶ大切さもわかる」―急がれる水道復旧

震災から3カ月が経ちましたが、いまだに水道が普及していない地区が多数存在します。被害が甚大だった南三陸町では、電気や水道、通信のすべてのライフラインが使用できなくなり、復旧にも時間がかかっていました。電気については、新しい電柱が立てられ、南三陸町全域において、配電盤の損傷がなく住むことが可能な家屋には、電気が供給できる体制が整いつつあります。

水道については、南三陸町の発表によると、配水が必要な2100戸に対して、約1600弱の世帯で蛇口をひねれば水が出るようになりました。率にして約75%の世帯で水道が普及しましたが、従来の水源が津波によって汚染され、飲用には適さない状況です。特に塩分濃度が水道水としての基準を超えており、多くの地区においては生活用水としてのみ使用が可能な「仮通水」の状態となっています。

ようやく回復のめどが立ってきた水道。仮通水でも避難者にとっては待望の水道の復旧です。これまでは、飲用水については日本全国から届けられた支援物資のほか、自衛隊や各自治体が給水車を手配して対応してきました。Civic Forceでも南三陸町と気仙沼市大島には、支援物資として提供いただいた飲用水約130トンを搬送してきました。

一方、生活用水の調達は現地でも困難でした。優先度の高い飲用水に対して、洗濯やお風呂などに使う水は後回し。ガソリンや車がある被災者は近郊のコインランドリーや温泉施設に、それらを持たない被災者は川などで洗濯したり、行水で我慢する日々が続きました。

Civic Forceでは、4月上旬から南三陸町内で6つのお風呂を設営してきました。お風呂施設ができても水がなければ運営はできません。当初は自衛隊の協力をいただき、お風呂を運営していました。それ以外にも、川から水をくみ上げたり、利用者が水を持参するルールを作ったお風呂もありましたが、Civic Forceが給水車と貯水タンクを導入したことで、お風呂の運営は負担が大きく軽減されました。より運営しやすくなったことで、すでに6つのお風呂は利用者の方々で自主的に運用していただいています。

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(CFが現地で雇用した給水スタッフが給水車を使い、各お風呂を巡回、給水する)

現在は、自衛隊などで水の調達をしてもらえる以外の4か所のお風呂については、Civic Forceが現地で雇用した給水スタッフが給水車で巡回、貯水タンクに水を補給しています。もともと漁師で、避難所でお風呂の運営を手伝ってくれていた給水スタッフは「被災して風呂の大事さが分かるから、水を運ぶ大切さもわかる」と仕事をこなしてくれます。中でも、荒砥地区のお風呂は避難所に組み込まれており、避難者に欠かせない存在になっています。また荒砥ではお風呂の残り湯を洗濯に使うため使用する水の量は多く、ほか3つのお風呂への給水が2日に1度なのに対して、毎日給水しています。荒砥地区で避難していた給水スタッフは「被災直後はご飯のための水確保が課題だったが、同じように生活用水の確保も大変だった。だけど今は電気も通り、水道も徐々に復旧してある程度、正常になってきた。もう少しの辛抱だ」と言います。

南三陸町では仮通水の完了を目指すとともに、塩分を除去する浄化装置を設置するほか、水質検査を実施しています。飲用に適した水道水の確保を急いでいます。