【能登半島地震】輪島・黒島の海 「今」を伝える

能登半島地震の発生から1年9カ月。Civic Force(シビックフォース)は、被災地での中長期的な復興をサポートする「NPOパートナー協働事業」を、地震被害を受けた各地で進めています。
そのうちの一つ、被災地の石川県輪島市門前町の黒島地区で活動している「一般社団法人・湊(みなと)」は、地震発生後、海の調査や磯焼けの要因の一つにもなっているウニの駆除・資源化、船を出す設備整備などの活動を続けています。活動の一環として9月14日、黒島の今を知ってもらうツアーを開きました。


ツアーには富山や京都、岩手など主に県外から7人が参加しました。代表の杉野智行さんは、江戸時代の海運船「北前船」の船主集落だった歴史や、地震発生後4mから5mもの隆起が確認され歴史的な集落の景観が大きく変わったことなどを説明しました。 このあと黒島漁港に向かった参加者らは、隆起の影響で約200m沖合になった海岸線や、これまで海に沈んでいた堤防やテトラポットの下層部、岩などを目の当たりにすることになります。 改めて、地震被害の大きさと自然の脅威を知った参加者らは、防災・減災への誓いを新たにしていました。

参加者は、「黒島の町並み、海の歴史などを詳しく知ることができてよかった」、「被災した人から貴重な話を聞くことができてよかった」と話すなど、充実したツアーになったようです。

地震発生の前から奥能登の沖合では、ウニがサザエ・アワビ等の生息する藻場を食い荒らすことが大きな問題となっていて、湊はパートナー事業の活動の一つにウニを間引いて製品化することで新たな水産資源の創出などを目指しています。多くの人に現状を知ってもらおうと実際にウニを間引いてもらう体験イベントをこの夏3回計画しましたが、8月の2回目と今回の3回目がイベント前の悪天候で海が濁り中止となりました。そのため今回は、急遽、黒島の今を伝えるツアーに変更しました。
間引きの体験は参加者にとって貴重な経験となるだけではなく、黒島の海の今、歴史も「実体験」できるため、杉野さんはイベントが改めて出来ないか、今後、検討していきたいということです。



夜はバーベキューで交流を深めるなど、それぞれが充実した1日になったことは間違いありません。杉野さんは「多くの人が参加することで黒島の魅力を知ってもらい関係人口創出につながる。参加した皆さんには戻ってから周りの人たちに今回のことを伝えてほしい」と話すなど、多くの人に奥能登の今を知ってもらうきっかけとなることを願っていました。

Civic Forceは、被災を乗り越える多くの人の心の支えになるような活動を今後も続けていきます。また、支援を必要としている声にしっかり耳を傾けて、必要な支援を迅速に届けられる活動を目指します。
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