【インタビューVol.2】子どもたちとともに、これからも「居ばしょ食堂」中川さん
能登半島地震の発生から2年。Civic Force(シビックフォース)は被災地の復旧・復興をサポートする「NPOパートナー協働事業」を、地震の被害を受けた各地で進めています。
そのうちの一つ、被災地の石川県七尾市で活動している「一般社団法人ともえ」は、発災前から不登校やひきこもりなど様々な悩みを抱える子どもたちに向けて「居ばしょ食堂」を運営しています。発災後は「NPOパートナー事業」を活用し様々な活動を進めていて、不登校児童の居場所を提供したり、ヤングケアラーの家庭への食事の支援、地域の子ども達の交流を深める駄菓子屋、自習室の開放をしたりして支援の幅を広げています。
Civic Forceは2024年11月から、2025年10月まで、NPOパートナー協働事業を通して、居ばしょ食堂の活動をサポートしました。12月18日、居ばしょ食堂スタッフ中川さんに、事業を通した感想などをうかがいました。
――事業期間を通した感想などをお伺いできますでしょうか。
中川 居ばしょ食堂として、ずっと実現したかったことができた期間だと感じます。特にプロジェクトの一つである駄菓子屋運営は、能登半島地震の発災前から検討しており、NPOパートナー協働事業をきっかけに取り組むことができました。
また、子どもたちにとって居ばしょ食堂が落ち着いて過ごせるスペースになったのはもちろん、「居ばしょ縁日」といった子どもたちのためのイベントを開催することができました。「居ばしょ縁日」は、初めて地域の公民館を借りて実施することができました。
活動を通して、地域の方やボランティアの人との繋がりをつくることができ、子どもたちだけでなく、私たちにもプラスの取り組みが多く実施できたと思います。

――NPOパートナー事業を通して変化した現場の状況はどのようなものがありますか?
中川 七尾市の暮らしは仕事も学校も再開しています。子どもたちの遊び場である公園も修繕されていて、子どもたちの遊べる場所は元通りになってきています。
現場の変化としては、居ばしょ食堂としての活動を、地域の方々が受容してくれているとより感じられるようになりました。平日に子どもたちがお買い物の手伝いで出歩いてるのも、日常として受け入れていただいて、近所のスーパーに子ども一人で買い物に行っても、少し話して帰ってくる、といった様子です。近所の方々が、「こんな小さな子どももいるのね」と声をかけてくれるようになりました。
この一年間を通して、地域との関わりも増えて、各種イベントや日々の活動を相談しやすいネットワークができました。また、被災児童の会議などに出席して、教育委員会やその他の支援団体と顔を合わせる機会も増えています。発災前は地域との接点が少なく、居ばしょ食堂を利用する子どもたちが外で遊んでいるだけで、「うるさい」などと地域住民から苦情に近い声が寄せられることもありました。当時は、地域の大人たちが子どもたちを温かく受け入れてくれていると感じにくく、活動への印象も一部のネガティブな意見に引っ張られがちでした。
しかし、活動が進む中で多くの地域の方々と直接関わる機会が増え、子どもたちに寄り添い、寛容な姿勢を示す大人たちの存在が見えてきました。こうした交流を重ねることで、居ばしょ食堂としての地域への見方も大きく変わってきたと感じています。
――居ばしょ食堂に関わった子どもたちの様子はいかがでしょう?
中川 ある女の子は、最初は大人への不信感や人と関わることへの恐怖心から自分の殻に閉じこもりがちでしたが、居ばしょ食堂の駄菓子屋のお手伝いをする中で一人で駄菓子の会計をすることができるようになりました。また、自習室を使ってくれる子の中には、居ばしょ食堂にきて家庭での悩みを話してくれる子もいます。
学校がお休みに入る夏休みには、小学校高学年の子たちも居ばしょ食堂を利用しており、保護者の方からも「助かった」という声をいただきました。子どもたちだけでなく、保護者の方にとっても、居ばしょ食堂が「子どもが安心して生活できる環境」だと認識いただいていると思います。
また、居ばしょ食堂には、普段学校に通っていない子どもたちもいます。子どもたちの様子をみていると、そういった子たちにとって友達とのコミュニケーションの取り方を学ぶ場所になったのではないかと思います。

――子どもたちが地震に対する不安を抱えていると感じることはありますか?
中川 たまに少し震度が大きめの地震があると、地震の話しをして訓練放送に怯えている様子です。そのため、過去の経験から、どこかにずっと恐怖心は残っていると思います。
――最後に、事業期間を終えての率直なコメントと、今後の活動の展望をお聞かせください。
中川 事業実施期間は大変なことも多かったですが、同時に、やったことがないことに挑戦できる楽しい日々でした。日々課題も多かったですが、できたことを振り返ったときに、子どもたちのリアクションや、やってよかったことに気づけました。また、事業を運営していくノウハウを学ぶことができ、居ばしょ食堂として成長できる期間でもありました。
今後も駄菓子屋の運営は継続していきます。
また、自習室については、「少人数で利用できる」「秘密基地のようで落ち着く」といった声をいただき、他の自習室にはない環境が確かな需要につながっていると感じています。
一方で、地域には無料で利用できる自習スペースもあることから、より学生が利用しやすくなるよう、料金設定の見直しを検討しています。さらに、利用料の調整だけでなく、団体の活動を知ってもらい寄付を増やすなど、利用料以外の収益・財源の確保についても併せて取り組んでいきたいと考えています。
加えて、セミナー室としての開放など、その時々のニーズに応じた柔軟な運営も進めていきます。

事業期間は終了しましたが、Civic Forceは今後も居ばしょ食堂のフォローアップを継続していきます。
居ばしょ食堂は、あしながおじさん募金を通して、子ども達が利用できる「居ばしょチケット」を発行しています。「居ばしょチケット」は、駄菓子の購入や自習室の利用割引などの支援になります。
皆さまのあたたかいご支援を、よろしくお願いいたします。
<寄付先URL>
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScf8pgzJozgKXsGTmNmdkbXZmLbYxfyCma5Qadxii2sF-_TBg/viewform

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