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【災害シンポ開催レポート(後編)】民間の力を活用したこれからの避難生活のあり方とは

より良い避難生活のために

第1部に続き、第2部のパネル発表では、NPO、自治体、企業の立場から3人が登壇しました。

「避難生活の環境改善アセスメント」と題して発表を行った被災地NGO恊働センターの頼政良太代表は、これまで数々の国内の災害被災地で避難所の環境改善に携わってきた経験をもとに、「避難生活の環境を見る」「被災者の声を聴く」という2つの視点を紹介。避難所の環境を改善するためのポイントとして12項目を掲げ、被災者一人一人の健康状態に合わせた食事の提供や寝床の配置、トイレの衛生管理、施設管理者とのコミュニケーションなど、具体的な改善方法について語りました。頼政さんは「被災して避難してきた人は大変な状況にあるが、全員がかわいそうで何もできない人ではない。力を引き出す支援が重要」と強調し、そのために一人ひとりとどのように向き合うか、支援者の寄り添い方にも言及しました。

次に、佐賀県武雄市総務部 防災・減災課の石丸博幸課長は「在宅避難者支援の課題と企業の貢献」と題して発表。2019年と2021年に相次いで豪雨災害に見舞われた武雄市の資産活用課の課長として受援窓口を担当した当時の状況を振り返り、災害救助法の対象外となった在宅避難者の支援の難しさについて言及しました。石丸さんは、「自治体の”公助”は公平・公正が原則で迅速さに欠けるが、臨機応変に対応できる企業や民間団体などと連携することで克服できる課題もある。これからも一緒に災害に立ち向かいたい」と語りました。

最後に、「被災地支援における民間力の活用」をテーマに、ヤフー株式会社SR推進統括本部災害支援推進室の安田 健志室長が登壇。インターネットメディアとして、また企業として、防災減災・災害支援に取り組む背景や理由を語り、Civic Forceとともに立ち上げた「緊急災害対応アライアンス SEMA(シーマ)」の成果を紹介しました。災害発生時に被災地のニーズに応じて支援物資を届けるSEMAは、当初17社の加盟企業とともに始まり、2023年3月現在は企業74社、市民団体6団体が参画しています。安田さんは、「民間の力を最大限に活用し、自然災害が日本社会に与えるインパクトを最小限に抑える」がSEMAの目的であり、コロナやウクライナの避難民支援にも、SEMAの仕組みが生かされた事例を紹介しました。

仲間を増やし、防災力の底上げを

第3部のパネルディスカッションは、「民間の力を活用したこれからの避難生活のあり方とは」と題し、岡野谷さんと頼政さん、石丸さん、安田さんの4人が登壇。シビックフォースの根木がモデレーターを務め、関東大震災から100年を経て、現代の避難所のあり方や有効な支援の方法について意見を交わしました。

岡谷野さんは、頼政さんの発表を受けて「人の声を聴く大切さ」を改めて考えようと呼びかけるとともに、「皆さんがやってきたことはすでにスフィアに書かれていて、頭を整理したい時にも使えるツール」と言います。また、頼政さんは、お年寄りから子どもまで地域の人が主体的に運営を担った避難所や障害者を受け入れた大学の避難所などの事例を紹介しながら、ダイバーシティの視点の重要性について言及しました。

石丸さんは、佐賀県が誘致したNPOや自治体など多様な組織が参画する「佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)」の取り組みに触れ、自治体の受援力の大切さについて強調しました。それを受けて、「自治体の職員も民間人。立場を超えて、みんなで仲間を増やしていくことが、防災力の底上げにつながる」と話したのは、ヤフーの安田さん。SEMAの加盟企業を増やし、これまで以上に被災地のニーズに応えていきたい、と今後の展望を語りました。


会場からは「コロナ禍でオンライン診療が進んでいるが、避難所とつなぐ可能性は?」「SEMAの加盟企業には地方中小企業も含まれている。どのように参加企業を増やしているのか」などさまざまな質問が寄せられました。また、「民間力の活用で尊厳のある生活の権利をサポートできることがわかった」などと語ってくださる方もいました。

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