【台風19号】災害の次はコロナ‥‥それでも子どもたちにスポーツを(NPOパートナー協働事業)
東日本を中心に広範囲で甚大な被害をもたらした台風19号。あれから9カ月以上が経ちましたが、特に被害が大きかった長野県長野市では、今も浸水した自宅や建物の片付け・清掃に追われる人々がいます。
「子どもたちの日常もすっかり変わってしまいました。特に成長期の子どもたちの運動不足が心配です」と話すのは、長野市内在住の飯島美絵さん。長野市長沼地区の小学生たちが所属する長沼ミニバスケットボールチーム(通称ミニバス)の保護者で、震災後、浸水地域の復旧や子どもたちの活動再開に向けて尽力してきました。
長沼地区では、千曲川の堤防決壊で、100人弱の生徒が通う長沼小学校が床上1.4メートルまで浸水。仮設校舎が建設されましたが、体育館はまだ使えない状況です。さらに、新型コロナウイルスの影響で、3月から約3カ月間にわたり休校状態が続き、6月1日から分散登校が始まりましたが、子どもたちの心身への影響ははかりしれません。
「体育館が被災し、体育の授業や放課後、週末など気軽に運動できる場がなくなりました。地域全体が浸水した影響で生徒の登下校も徒歩ではなくバスを使うことになり、体を動かすタイミングがぐっと少なくなってしまったのです」。長沼小学校の体育館は、長沼ミニバスのほか、市民のスポーツ活動などを推進する「長野スポーツコミュニティクラブ東北(通称スポコミ東北)」に加入する多くのスポーツ団体によって活用されてきましたが、利用できなくなったことで、地域の人々が集まる場も減ってしまいました。
長沼ミニバスでは、スポーツを続けたいという子どもたちのために、コーチや保護者が浸水した体育館を自分たちで掃除して一時的に活用したり隣町の体育館を借りるなどして、なんとか子どもたちのスポーツの場を確保してきました。
また、3月15日に復興スポーツイベントの開催を企画。長野Uスタジアムに被災した子どもたちを招き、プロのサッカー試合・AC長野パルセイロVSガンバ大阪U-23の応援観戦バスツアーを実施する計画で動いていました。しかし、新型コロナウイルスの影響で延期になってしまいました。飯島さんらは「台風19号で被災し十分な環境が整わないなかでもスポーツを続けたいという子どもたちの情熱に応えたかったのですが、延期はやむを得ない判断。残念ですが、もう一度実施に向けて準備を始めています」と言います。
Civic Force(シビックフォース)の「台風19号・NPOパートナー協働事業」では、スポコミ東北やミニバスの活動を応援しています。台風後のスポーツ活動継続のための負担経費や復興イベントの開催運営費のほか、泥水に浸かり使えなくなってしまった子どもたちのミニバス・ユニフォームの購入費用などをサポートしました。
この6月、子どもたちのもとに届いたユニフォームは、青と白の計34枚。低学年から長身の高学年の小学生まで利用できる複数サイズで完成しました。新しいユニフォームづくりにあたっては、最年長の小学校6年生が中心となって、「長沼/NAGANUMA」の文字の刷新やロゴの配置、カラーコードなど詳細を話し合い、長く使い続けられるユニフォームのデザインを考えたそうです。OB・OG、コーチや保護者も一緒になってアドバイスを行いました。
なお、スポコミ東北では、新型コロナウイルスの影響で、子どもたちのスポーツ活動は一時自粛・縮小していましたが、6月8日から活動を再開しています。子どもたちがたくさん体を動かし、心身ともに健康で過ごせることを願っています。
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