感染対策を徹底し「子どもの遊び場」をつくるーNPOパートナー協働事業
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県釜石市に、豊かな自然に囲まれた広大な観光施設「根浜シーサイド」があります。5月16日、敷地内の天然芝グラウンドに、20人以上の親子が集まり、縄跳びやフリスビーなどの遊びを楽しみました。
「外で遊べて嬉しかった!」と元気な笑顔を見せてくれたのは、地域の小学生たち。同行した親たちも「外で遊びづらい状況が続いていたからありがたい。こういう場があると助かる」とほっとした表情です。好評だったこの催しは、口コミで評判を呼び、毎週末、多い時には定員を超える60人以上が集まります。
5月25日、全国すべての県で緊急事態宣言が解除されましたが、人が集まるイベントの開催がこれまで通りできるようになったわけではありません。特に岩手県のように「感染者ゼロ」の地方では、感染者がいないが故に、最初のひとりにならないようにというプレッシャーが大きく、”地域の目”や批判の声も気になります。子どもたちのニーズと地域の要望などのバランスをどのように考え、どんな対策をした上で、これらのイベントを開催しているのでしょうか。
「ウイルスは怖い。でも脅威はウイルスだけではない。窮屈な状況に追いやられた子どもたちに蓄積されるストレスを考えると放ってはおけません」。こう話すのは、東日本大震災以降、子どもたちの遊び場づくりやまちづくりに携わってきた、三陸ひとつなぎ自然学校代表の伊藤聡さんです。東日本大震災の後、体調不良を訴えたり、急に泣き出したり、他者に対して攻撃的になってしまったり、様々な形で子どもたちの心身に影響があったことを思い出し、「この状況下でもできることはあるはず」と動き出しました。
伊藤さんは、釜石市でまちづくりなどに携わる7つの企業や団体と協力し、オンラインでたくさんの話し合いを重ねました。特に力を入れたのは感染症予防対策です。地域の病院や教育機関など専門家のもとを訪れ、やるべき対策を洗い出し、手洗いや咳エチケット、渡航歴や健康状態のチェック、「3密」を避けながら遊べる準備などを行いました。また、子どもたちが自主的に感染症予防対策を実践できるよう、入場口付近で手洗いやマスクの付け方などに関するクイズを出し、楽しみながら遊びに参加できるよう工夫しました。
新型コロナウイルスの影響によるイベント中止や外出自粛ムードは当面続くと見られ、伊藤さんらは、このイベントを8月まで実施する予定です。対象は釜石近隣地域の小学生以下の子どもとその家族で、毎週土日の午前10時から午後15時まで。参加は無料。
なお、三陸ひとつなぎ自然学校の活動の一部は、Civic Force(シビックフォース)の「NPOパートナー協働事業」でサポートしています。伊藤さんらからこの構想を聞いたCivic Forceは、5月、新型コロナウイルスによってさらなるダメージを受ける被災地への支援を決め、現在3県3団体とプロジェクトを実施中。他の団体の活動については追ってお知らせいたします。
新型コロナウイルス感染症支援活動にご寄付をお願いします
最新記事
カテゴリで探す