【令和3年7月豪雨】被災から約1年5ヵ月、変わっていく伊豆山
2021年7月、静岡県熱海市伊豆山で大規模な土石流災害が起きました。今も立入の制限される警戒区域が残り、避難生活を続ける人々がいます。
その伊豆山でNPO法人テンカラセンは、地元の若手有志が中心となって被災直後から地域住民のサポートを始め、現在も活動を継続しています。
被災後しばらくは、自分たちが率先して支援物資の配布や被災住民の交流会、コミュニティカフェ「あいぞめ珈琲店」のオープンなどを行ってきましたが、被災から1年以上が経ち、活動も変化してきました。
これからの復興やまちづくりの中心になるのは住民ひとりひとり。
(あいぞめ珈琲店で開催された尺八演奏会)
被災後の新たな環境で生活を始めなければいけない人々も多い中、住民同士の交流をサポートし、住民自身が活動の主体となるように、地域で行うイベントの形も工夫を重ねています。
昨年から継続してきた被災者の悩みや困りごとを話す「今を話そう会」を継続し、災害時には支援側に回る消防団や社会福祉協議会、町内会とも対話を重ねてきました。
それだけではなく、被災により人も行事も減った地域に住む高齢者や引っ越し等でまだ地域に馴染めない被災者は、用事がなければ外には出ずらく、人に会う機会も減っています。まずは外に出て人と話すきっかけづくりをしなければ、と体操教室やカフェでのイベントを開催しています。
そうしたイベントの最中や終了後に雑談する中で、今の困りごとや今後の防災に対する不安など住民の本音が見えてきました。災害の時のことは知り合いにも聞きづらい、と感じていたほか地域の住民と被災した住民の交流も生まれました。
今年9月には被災直後から支援を続けてくれた支援団体のイベントにメンバーと40~50代の地域住民が参加。自宅や身内の被災などを経験した住民自らが当時の避難状況や今の生活について、支援者に向けて話すことができました。参加した地域住民は「ニュースなどで報道しなくなり、風化していると感じていたがこれだけの人が聞く耳を持ってくれているのがすごく嬉しいし、励まされた」などの感想がメンバーには寄せられました。
また地域内でも交流ができるようにと、伊豆山を訪れた人が誰でも木製コースターに想いやメッセージを書いて残しておける小屋も設置しました。
4月にオープンしたあいぞめ珈琲店も地域内外の様々な人が訪れ、テンカラセンに気軽に声をかけてくれる住民も増えました。時にはそっと遺族の方が立ち寄ることもあります。
(あいぞめ珈琲店で開催されたタイダイ染め体験)
また自分たちだけではなく、地域住民にも地域内の現状や各団体の活動を伝えたいと「テンカラ新聞」を発行しました。ネットでの情報が得にくい住民からも好評で、カフェでは外からきた観光客が手に取る姿も見られました。今は第2弾の発行を準備中です。
活動の幅を広げるためにNPO法人化もし、活動は順調に見えますが、今後どんな活動をしていくか、どうすれば住民と一緒に活動が継続していけるのか、活動資金の確保などやるべきことは多くあります。
新しくオンラインショップも今年はオープンしたテンカラセン。
伊豆山だけではなく、9月に静岡県内で台風被害が発生した際には現地に支援にも駆けつけました。
伊豆山の復興はまだ始まったばかり。
それでも前を向いて、テンカラセンの試行錯誤は続きます。
※Civic Forceは2021年11月から2022年9月までNPOパートナー協働事業を通じて、テンカラセンの活動をサポートしました。詳しくは下記から。
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