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東日本大震災 NPOパートナー協働事業

「失意の中、セカンドハウスに救われました」

前回に続き、Civic Force(シビックフォース)東日本大震災支援事業のパートナー「311受入全国協議会」の取り組みを紹介します。

311受入全国協議会に加盟する「YWCA活動スペース カーロふくしま」(公益財団法人日本YWCAの東日本大震災支援拠点、福島市)では、横浜と神戸、函館、名古屋の全国4カ所(名古屋は2019年度まで)で、「セカンドハウス」と呼ばれる家族滞在型の保養プログラムを通年で続けています。放射線の心配から離れ、家族単位でゆっくりとした時間を過ごせるプログラムが特徴で、2019年度には計23家族・73人が利用しました。カーロふくしまの佐藤純子さんから届いた報告書(2019年度版)には、福島で悩み、戦いながら生きている親子の葛藤と、セカンドハウスのような保養活動の意義を深く理解できます。セカンドハウス参加者の声をご紹介します(一部抜粋・編集しています)。

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あの時何が? 後になって気づいて保養へ

「震災当時、原発の知識がなく、避難もせず福島にいましたが、後になって、どんなに恐ろしいことが起きていたか、だんだんわかってきて後悔の日々です。子どもの健康が心配です。でも家の事情や金銭的な問題で二重生活や移住はできません。福島では『この食材は大丈夫か』『ここは線量が低め』などいつも放射能のことが頭にありますが、セカンドハウスでは母子3人思いっきりリフレッシュできました。戻ってまたがんばろうと思えました」(横浜セカンドハウス参加者)

「これからも保養は必要です」

「原発事故のとき、息子は3歳。今は元気ですが、これから10年先、20年先も大丈夫か、不安があります。国も県も復興にばかり力を入れ、保養へのサポートをしてくれません。放射線量の高いところで生活しているからこそ保養は必要です。それを理解してもらえない環境になっていて、『保養は復興の妨げ』という方もいます。セカンドハウスを利用できて本当に私たちは幸運です。これからも継続してほしいです」(神戸セカンドハウス参加者)

太陽の光はあたたかい

「セカンドハウスに5泊6日滞在中、久しぶりに洗濯物を外に干しました。福島では部屋干しですが、乾いた洗濯物が太陽の光であたたかくなっていて、外干しってこんなに気持ちよかったんだ、と思い出しました。息子はよく話し、よく食べ、よく笑いました」(名古屋セカンドハウス参加者)

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子どもたちの尿からセシウム

「保養でお世話になった皆さんの明るさに助けていただきました。『おいで』と言ってくださり嬉しかったです。放射能との戦いはもう8年になりますが、子どもを連れて移住したい気持ちはずっと変わりません。2019年から子どもの給食における地産地消を増やすことになりました。福島の農家を応援する目的ですが、子どもたちの尿からはセシウムが検出されています。チェルノブイリの被害者へ医療支援をしてきた医師は、セシウム心筋症という病気があると伝えています。私のまわりでは最近、中学生や知人など複数が心不全などで急に亡くなり、セカンドハウスは失意の中で、私を救ってくれました」(函館セカンドハウス参加者)
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報告書には、他にもたくさんの「声」が書かれていて、セカンドハウスの役割が今も失われない理由を理解することができます。
他方、今年は新型コロナウイルスの影響でほとんどの家族がセカンドハウスへの滞在をキャンセルしました。しかし、「やはり子どもたちが心配」と、佐藤さんらは8月から毎月2日間、福島市内で小中学生を対象とした学習サポート企画を開始しています。講師は、教職を目指す地域の大学生などで、感染対策に気をつけながら子どもたちを支援しています。
 
「福島の人は今、2度目の危機を経験していると思います。自粛の影響で、全国で家庭内暴力や虐待などが増えていますが、原発事故の被災者の間には、これまで9年以上にわたり複雑な状況が繰り返し起こってきました。ねじれた社会の上にまた危機が訪れた福島において、子どもの居場所づくりは絶対に必要です」(佐藤さん)
 
Civic Forceは、子どもたちの心身の健康を第一に考え、行動する「311受入全国協議会」の取り組みを応援しています。
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