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東日本大震災 NPOパートナー協働事業 3 11を忘れない

【3.11と伝承】「人は心で動く生き物」。福島で想う”語り継ぐ役目”ー現地スタッフレポート Vol.1

東日本大震災が起きた2011年3月11日からもうすぐ12年。
あの日被災した地域の「今」をとらえ、私たちが力を入れている「伝承」の取り組みについてお伝えするシリーズ企画「3.11と伝承」を今月からスタートします。
第一回は福島の「伝承」活動に携わるスタッフからのレポートをお届けします。

早いものでもう2月になりました。被災地は3月11日の13回忌に向け、動いています。時間は容赦なく進み、震災の記憶もだんだんと薄れ、被災地の住民の中には「自分たちだけが取り残されてしまった」と寂しさを感じている人も少なくありません。

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特に福島は、他の地域とは事情が異なることから、復興のスピードは緩やかです。実際に浪江町から富岡町までを車で走ってみると、未だ家の入口に立ち入り禁止のロープやフェンスが設置してある場所が多くあります。国道沿いにある大きな店の内部には今も商品が並んでおり、あの日のままの状態です。民家の庭の草は伸び放題、窓が割れ網戸も破れ物干しざおにはタオルが干してあるなど、そこに人の営みがあった形跡はあるものの、生活の気配は全く見えません。震災から10年以上の月日が流れた今も、まるであの日のまま時が止まったような街の光景が広がっており福島の復興はまだまだ途上にあることが痛いほどに伝わってきます

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「富岡町3.11を語る会」の語り人(かたりべ)育成プログラム

Civic Forceのパートナー団体「富岡町3.11を語る会」は、福島県双葉郡富岡町で伝承活動に取り組んでいます。避難先の郡山市の避難所で日本全国、そして世界各地から取材に来るメディアなどにあの日のことを伝える活動から始まり、現在は除染作業を行う企業向けの研修や語り部活動の他、語り人(かたりべ)の育成プログラムを作成するなど、その活動の幅を広げています。

人材育成は他の地域でも大きな課題であり、いかに地域の人、特に若い世代を巻き込んでいくかが重要です。富岡町3.11を語る会では、世代ごとにクラスを分け、それぞれの世代に合った形での育成講座を実施。講師の指導の下、表現力を磨き、語りのスキル向上に取り組みました。その成果発表の場として昨年、「伝承祭」を開催。語り人の想いのこもった語りに、胸が熱くなりました。

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語り人ひとりひとりの経験や教訓が、誰かの命を守ること、そして同じ悲しみを繰り返さないために自分にできることは何かなど、災害を自分事として考える時間につながります。人は心で動く生き物だと、私は考えています。どんなにいい話を聞いても、心が動かされなければ行動の変容にはつながりません。聞き手の心を揺さぶる、そんな語りを聞きたい方は、ぜひ「富岡町3.11を語る会」の語り人をご利用ください。現地でのツアーガイドをはじめ、オンラインでの”口演”も受け付けています。

富岡町3.11を語る会」

http://www.tomioka311.com/

https://www.facebook.com/NPO.tomioka311/

活動支援の手が少ない中、語りつぐ「伝承活動」の役目とは

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伝承活動には他者への働きかけだけでなく、被災者自身の心の傷の回復にも効果があります。
語ることを通じ、同じ経験をした人と共感しあうことで心の回復力が高まるのだそうです。そして、ひとりひとりが自分の役割や生きがいをを持つこと、すなわち「希望」を持つことが何よりも重要です。伝承活動は被災者自身の心のケアにも繋がっています。しかし伝承活動は助成金の対象とはなりづらく、コロナ禍で被災地を訪れる人が減少したこともあり、福島のみならず被災地全域の伝承活動団体が今、岐路を迎えています。
過去の教訓を未来に活かし、故郷に戻った人、そして故郷に戻りたくても戻れない人、双方の思いに寄り添いながら、Civic Forceは伝承活動をこれからも応援していきます。
福島県 伝承活動事業担当スタッフ
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