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緊急即応体制を創る その他 3 11を忘れない

【連載 災害に備える】Vol.6 足元をもう一度見直そう!私たちの”備え”

今日11日は東日本大震災の月命日です。全国各地で災害が増えるなか、一人でも多くの人に災害に備える大切さを伝えるため、毎月11日、連載「災害に備える」をお届けしています。第6回目のテーマは「マイ防災ボトル(リュック)の中身を考えよう」。

Civic Forceと姉妹団体のアジアパシフィック アライアンス(A-PAD)のスタッフ7人がオンライン上で集まり、普段どんな備えをしているか、話し合いました。

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普段の“備え” どうしてる?

「今年も災害が多くて忙しかったけれど、そもそも自分たちの備えってできてるかな?」

スタッフのそんな一声で始まった今回の企画。Civic Forceでは、各地で働くスタッフの情報共有や交流の場として、オンラインで集う「シェア会」を不定期で開催しています。今回のシェア会に参加したのは、宮城、東京、佐賀、長野、そしてインドネシアで暮らすスタッフ7人。海や川、山の近くで暮らしていたり、通勤手段が電車や車だったり、それぞれ異なる状況下で、どんな“備え”が大切か話し合いました。

会の口火を切ったのは、宮城県気仙沼市を拠点に働く小野寺です。防災士の資格をもち、今年7月からCivic Forceのホームページで連載「災害に備える」の執筆を担当しています。2011年3月11日の東日本大震災で被災した自身の経験などを踏まえ、先回の記事でいつもバッグに入れている「マイ防災ボトル」の中身を披露しました。

マイ防災ボトルとは、外出中にできる備えの一つで、柔らかいポーチではなく、プラスチック製のボトルを活用することで、「水に強い」「中身がつぶれない」といった利点があります。小野寺のボトルの中身は、マスクやばんそうこう、ボールペン・メモ用紙、ビニール袋&手袋、非常食、緊急時連絡先、圧縮タオル、薬、乾電池など厳選の10アイテムです。「意外と重宝したのはビニール袋。311のとき、避難所には着の身着のままずぶ濡れで逃れてきた人が多くて玄関はぐちゃぐちゃ。靴をなくしたという人が多くいたけれど、ビニール袋があれば自分の靴を気兼ねなく屋内に持っていける」と振り返ります。避難所にはビニール袋が用意されているところもありますが、「あって当たり前ではない」と言います。

また、Civic Forceが事務所を置く佐賀県で備蓄物資の整備などを担当する後藤は、「防災ボトルではないけれど、いつも使うカバンのミニポーチに薬や絆創膏、爪きり、イヤホンなど非常時にないと困るものを入れている。出張先での災害リスクに備えて、東京へ行く時などは水とモバイルバッテリー、雨具や防寒具は必須。スナックや飴など口に入れられるものも含めている」と言います。

バッテリーといえば、「最近、スマホ用のソーラーバッテリーを導入した」という長野在住の新海は、「電気代節約のために使い始めたけれど、停電時にも使えて災害時に必ず役立つアイテム」と推奨。東日本大震災をきっかけに、原発に代わるエネルギーとして、自然エネルギーの活用が進んでいますが、「防災とエコをセットで考えながらできる”備え”もありそう」と言います。

空腹は我慢できても、排泄は我慢できない

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Civic Forceでは自宅などを拠点に遠隔で働くスタッフもいます。佐賀の自宅を拠点に、週に数回、事務所に通う岸川は「“在宅避難”の状況を想定し、自宅の備えをしたいけれど、みんなはどうしてる?」と問いかけました。

同じく佐賀在住の菅名は、豪雨の際に自宅が浸水した経験から、家に必ず常備しているものがあると言います。「東日本大震災で被災し佐賀に逃れてきた頃はいつも家族分の防災リュックを用意していたけれど、今は備えが万全とはいえない状態・・・。でもトイレだけは備えている。現在の居住地域は水害が多く、そのたびに水があがってきてトイレが使えなくなるため、風呂にはいつも水を貯め、簡易トイレ1週間分を備蓄している。備蓄というと水や食料に目がいきがちだけれど、災害時に最も困るのがトイレだと思う」と強調します。

今年7月の豪雨水害の際、福岡県の病院にCivic Forceの備蓄簡易トイレを届けた井上も「トイレは本当に大切。普段何気なく使っているものが使えなくなる状況を想定して過ごしたい」と言います。

避難所における トイレの確保・管理ガイドライン                    平成28年4月 内閣府(防災担当) 

東日本大震災では、避難所に仮設トイレが設置されるまでに4日以上かかった地域が半数以上もあった、というデータもあり、トイレが使えない状況を想定した備えも重要です。また災害時は極度のストレスで体調を崩し、下痢やおう吐などの体調不良の可能性も予想できますが、トイレが使えないと、よりストレスがかかり悪化してしまうことも考えられます。

簡易トイレには「便器で使えるトイレ」「携帯トイレ」などさまざまな種類が販売されていますが、洋式タイプの便器で使える簡易トイレは、自宅や避難所のトイレの便器に汚物袋をセットして使用します。また、携帯タイプは片手で持ちながら直接排泄するタイプの商品で、サイズが小さく場所を選ばず使用できます。便器がない場所でも用が足せるため、車の中やアウトドアなど緊急性の高いときに便利です。

東京で子育て中の石野は「自宅で過ごす時間が多い中、トイレの大切さについて理解が深まった。今の暮らしの中では災害時は停電が起きる可能性が高い。普段から少し多めに食材や加工品を買って使ったら買い足すローリングストックを心がけているが、買い足しを忘れることもある」と話していました。

「防災関連の商品が多すぎて何を買えばいいのか迷うこともある」という声に対し、小野寺は「備えについて考え始めると気負ってしまう人もいるかもしれないけれど、お金をかけずにできることがたくさんある。まずは始めて、続けることが大切」と強調します。

インドネシアのキャッシュレス事情と防災

災害の多い日本では、備える大切さについて少しずつ認知が広がってきていますが、海外ではどうでしょうか? 

地震や津波、土砂災害などの災害が多いインドネシアで働く富澤は、「インドネシアではまだ“備える意識”は低いと思う」と言います。「2018年のロンボク島地震の被災者の人に話を聞いた時、避難するためのロジは整ってきたけれど、物資などの備えはまだまだ進まないと話していた。また、昨年西ジャワ州で起きたチアンジュール地震ではトイレの衛生面やプライバシーの面で大きな課題を感じた」(富澤)。


他方、インドネシアの都市部ではバーコード(QR)決済が進んでいて、普段の買い物だけでなく、災害時にスマートフォンの個人情報を読み込んで必要な物資を受け取る仕組みを利用した支援も普及し始めている。

富澤は「スマホさえあればなんとかなる場面が多いけれど、大きな災害が起きた時は電波障害などが起こってスマホが使えなくなる可能性も。そのときのことを考えた備えも必要かもしれない」と語ります。

Civic Forceの“備え”について

今回の座談会では個々の備えについて話し合いましたが、Civic Forceではいざというとき、いち早く的確な支援を展開できるよう、普段から企業や自治体、NPOなど多様なセクターの皆様と連携し、防災・減災の仕組みづくりに取り組んでいます。

今年も緊急支援の合間をぬって、全国各地で防災講座や講演を行い、一人一人の自助・共助の力を高めていく取り組みに力を入れました(詳しくはこちら

また、企業と連携して防災グッズを開発したり、備蓄物資の選定に協力したり、災害に強い社会に向けてさまざまな取り組みを進める皆さんと連携しています。

「備えるプロジェクト」について:https://www.civic-force.org/project/index.html

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