【石川県能登地方地震】生活再建を支える「NPOパートナー恊働事業」START
Civic Forceが参画する空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の緊急支援チームは、発災翌日の2023年5月6日からこれまで、特に被害が大きいと予想される石川県珠洲市内で物資支援や避難所整備、保健医療調整本部(正式名称:珠洲生活サポート部会)の立ち上げ支援、在宅で避難生活を送る高齢者の見守りサポートなどの活動を行いました。
また、7月からはCivic Forceの独自復興支援プログラム「NPOパートナー恊働事業」がスタートしました。高齢化率が50%を超える珠州市では、被災した多くの高齢世帯が複雑な被災者支援制度を使いこなせず、再建の選択肢を知らないまま早期に諦めてしまう方がいます。そのため本事業では、被災者の生活再建の取り組みを支えるため、7月から過去に能登地方で支援の経験がある被災地NGO恊働センターと連携して「NPOパートナー協働事業」を開始。住まい修復相談会や勉強会、足湯、お茶会などの実施を通じて、地域の居場所づくりなどコミュニティ支援を実施します。
以下は、被災地NGO恊働センター顧問、村井雅清さんの現地レポートです(被災地NGO恊働センターのブログより転載)。
能登地震被災者支援活動レポート2(7/10)
石川県能登地方を襲った地震発生から、先日5日で2ヶ月が過ぎた。7月3日には珠洲市は災害対策本部を解散し、新たに珠洲市震災復旧・復興本部が設置された。6月24日付けNHK金沢放送局のweb・newsによると、この地震での住宅被害は約1,300棟を数え、内訳は全壊36棟、半壊253棟、一部損壊1,011棟だ。
珠洲市は人口13,000人と過疎化が進み、高齢化率は52・8%。加えて「市内全世帯の2割弱にあたる1229戸が空き家」(朝日新聞、2023・5・12より)という状況から推測すると、今回の地震で、人口流出に歯止めが効かないということになるだろう。ますます、これから復興に入る現実を考えると厳しいものがある。
さて、災害による被害に遭い、その後の住宅再建を初め、さまざまな支援を受けるためには、「罹災証明書」の取得が必須のようなものだが、そのことを知らない、聞いたこともないという被災者が多い。中にはそもそも山間部に住む方は、その書類を取得するために市役所まで行けない。(ネットでダウンロードできるが)その上、申請書を貰ったものの、どのように書けばいいのか?誰に相談すればいいのか?・・・・・とわからないことばかりで、不安が尽きない。
これからの大きな心配事は、被害に遭った住まいをどのように再建するのかが、最大の課題となる。被災者宅に訪問させて頂いた時に痛感したのは、建物が再建されると全ての課題が解決するというものではないということ。予期せぬ災害に遭うと、再建のための費用のこと、細々ながら商いをされていた場合の今後、それまで離れて暮らしていた子どもたちとのこと、また災害前から家族内にすでに施設に入っていたという事情などが一気に押し寄せてくる。加えて、地域には空き家が多く、独居世帯も少なくないという深刻な事態の中での地域コミュニティの立て直しなどと大きな課題も待ち受けている。
他方、被害家屋の公費解体が進んでいる今、期限のある課題には焦りがジワジワと押し寄せてくる。こうして“災難”が津波のように襲ってくるのが災害後の現実である。
珠洲市は、災害直後に健康増進センターを拠点に「保健医療福祉調整会議」(珠洲市生活サポート部会)を始動させた。同会議には、県からの応援はじめ、医療・介護・保健の専門家(発災から約1週間後には1218世帯の巡回訪問を完了)や建築士、災害時の支援制度について相談を受ける弁護士などの専門家および地元はもちろん近隣の社会福祉協議会や県外からのNPO/NGOも加わり、何度も会議がもたれ、都度の課題に迅速に対応されてきた。こうしたネットワークとこの間の実績が、今後の復興途上における被災者の暮らしの再建にも活かされるだろう。
これまで災害の度に被災地に入って被災者と話していると、この時期に最も必要なことは、「被災者には、これからのことを決めるための“期限なしの時間”が必要」ということだ。
決して国、県や市の都合に合わせるのではなく、あくまでも被災者を主体として復興を考えなければならない、つまり「人間復興」を優先することを強調したい。
(顧問 村井雅清)
*ブログはこちら→http://ngo-kyodo.org/noto2023
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*お手数ですが、備考欄に「2023年能登地震」と記入して下さい。
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