熱海活動視察② 「熱海キコリーズ」と「くすのき」へ
熱海活動視察①はこちら
続いて訪れたのは、地元有志が集まり森林の保全活動などを行う「NPO法人熱海キコリーズ」が修繕を進める逢初(あいぞめ)地蔵堂。伊豆山の浜地区で住民に親しまれてきたお堂ですが、土石流災害によって半壊しました。
災害ボランティアセンターによる復旧作業は住宅などが優先されるため、修繕のスキルをもった熱海キコリーズが同じく地元NPOのatamistaと連携し、清掃や復旧作業を進めてきました。(事業開始時の活動はこちら)
熱海キコリーズ代表の能勢友歌さんと逢初地蔵堂を管理する伊豆山浜生協会の中田正さん、小磯日出夫さんとともに、復旧が進んだお堂内部の状況を確認しました。
この日は5月後半。清掃や復旧作業が進み、6月末の完成に向けて畳を入れ、床材を貼り、屋根や壁面の塗装を行うところでした。できる限りもともとお堂にあった資材等を活用しながら修繕が進められています。新たに必要とする木材は、森林保全活動を行う熱海キコリーズが熱海で間伐・加工製材したものを活用します。地元の木材を活用しながら、お堂の復旧に取り組んでいるのです。
また、お堂の完成が近づいてきたこともあり、逢初地蔵尊をはじめ、お堂に戻す物品の確認もすすめています。お堂にあった掛け軸や布などは、土石流の後、地域の人々の手によってお堂から近い浜会館に移され、丁寧に保管されていますが、1年を経てようやく元の場所に戻される予定です。
熱海キコリーズでは「できるだけ元の姿に近い状態で戻したい」と、被災前の写真や資料の確認を続けています。
浜会館内にある温泉「走り湯」の管理を行う中田さんたちは、「被災によって地域の人々の生活が変わって様々な問題が浮上し、今もその対応に追われていて、お堂の復旧は後回しになってしまっていた。そんな中、地域の拠り所であるお堂を直してもらえて、本当にありがたい」と話していました。
お堂の復旧が終わり、7月には毎月恒例だったお堂での行事が再開される予定です。ただ、お堂は今も警戒区域内にあるため、地域行事を再開するためには行政に申請しなければなりませんが、地域の人々はその日を心待ちにしています。
最後に訪問したのは、熱海市内で猫の保護活動を行うNPOくすのき。被災当時は猫や犬など動物を他団体とも連携しながら150匹以上を救出し、現在も50匹以上の被災した猫の保護を続けています。熱海市内の譲渡も可能な店舗、ほか3ヶ所のシェルターでスタッフとボランティアが日々、猫のお世話に奔走しています。
「団体を立ち上げてから今が一番、保護している数は多いと思う」と代表の那須みかさんが話す通り、全体の保護数は現在200頭を超えました。月に1~2回は東京の譲渡会にも参加していますが、まだ人馴れしていなかったり、病気だったりとすぐに譲渡できない猫もいます。近隣地域から保護の依頼も多く、頭数だけではなく病気の猫も多いため、クラウドファンディングやSNSで日々、寄付を呼びかけて活動は継続しています。
また、被災当時から重要性を訴え続けてきたペットを連れて避難する「同行避難」について、那須さんは現在もメディアなどで話し続けています。
2021年7月の土石流発生からもうすぐ1年。
被災した地域の暮らしは、一見落ち着いたように見えますが、実際には地域の復旧・復興はまだまだこれからです。Civic Forceでは災害直後の支援だけではなく、中長期的な被災地の支援をこれからも続けていきます。
熱海キコリーズ https://atami-kicollys.org/
NPOくすのき https://npo-kusunoki.life/
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