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令和4年8月豪雨/台風14号・15号 NPOパートナー協働事業

【8月豪雨の被災地から】「復興には時間がかかる。孤軍奮闘せず周囲とつながりながら」

昨年8月、記録的な大雨で土石流などの被害を受けた新潟県村上市。Civic Forceは、断水が続く地域に給水袋や電動運搬車を届けたほか、昨年11月から今年2月、村上市でNPOパートナー協働事業を実施し、被災の影響を受ける親子の相談受付やメンタルケアを行いました。村上市のNPOパートナー、NPO法人都岐沙羅(つきさら)パートナーズセンター理事・事務局長の齋藤主税さんとNPO法人村上ohanaネット理事長の渡辺ひろみさんに、水害の影響とその後の支援活動についてお話を聞きました。 

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支援が手薄だった子育て世帯へのサポート

Q. 発災から10カ月が経ちました。発災後の状況やこれまでの活動について教えてください。

齋藤:都岐沙羅パートナーズセンターは、新潟県村上市を含む村上地域で、住民やNPO、企業、行政などの間に立ち、パートナーシップによる地域づくりを推進する中間支援組織です。発災直後、浸水した家屋や断水の影響を受ける地域で、さまざまな団体と協力して被災した人の状況を把握し、全国から寄せられた水や物資などを届けました。村上ohanaネットさんも発災前から密に連携してきた団体の一つです。

 

渡辺:村上ohanaネットは、産後ケア事業や託児サービス、親子交流会や子育て講座などのイベントや講座を通じて、子育て中の親を孤立させない環境づくりを目指して活動してきました。発災後、高齢者が多い村上地域では、道路などのインフラや農地山林の復旧のほか、高齢者のケアやサポートが行われましたが、子育て世帯への支援はほとんどありませんでした。でも、私たちのもとには、「雨が降ると怖い」「自宅の片付けや生活再建で子どもと落ち着いて向きあえない」といった声が寄せられ、親子への支援の必要性を感じていました。

 

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時間が経ってから見えてくる“心の不調”

Q. NPOパートナー協働事業では、看護師や公認心理師などの専門家が、個別相談やイベントの開催を通じて、被災した親子に寄り添う活動を行いました。

渡辺:昨年11月から今年1月までの3カ月の間、被害の大きかった荒川と山北で、交流イベントを5回、個別相談を30回実施しました。イベントは親子撮影会やクリスマスイベント、ランチ会など、親子で気軽に参加できる内容で、遊びを通して気持ちをほぐしながら、少しずつ親子の困り事や悩みを聞きました。「久しぶりに親子で大笑いできた」という感想も聞かれ、後日個別相談が寄せられることもありました。

 

Q.どんな相談が寄せられ、それらに対してどのように対応しましたか?

渡辺:個別相談では「片付けが終わり生活は安定してきたけど先行きが不安」「落ち込んで眠れない」「夫婦関係が悪化してイライラしてしまう」といった声がありました。発災直後の泥出しや片付けの作業は本当に大変ですが、被災から時間が経った後にこそ浮上する心の問題や経済不安の課題も垣間見えました。

発達障害や心の問題を持つ親や子どもからの相談多く、電話で話を聞くだけでなく、自宅で一緒に片付けをしたり、生活の補助をしたり福祉的な支援も行いました。外国籍の親子からの相談もあり、行政の福祉担当と連携しながら継続した支援を続けています。

 

Q.今年6月、村上市内の保育園がようやく完全復旧するなど、復旧・復興が進みつつありますが、地域への影響はまだまだ大きいと思います。

齋藤:大雨による住宅の損壊や浸水の被害は新潟県全体で2349棟にのぼり、村上市では仮設住宅が設置され、50世帯近くの人が今も避難生活を続けています。中でも小岩井集落では今も避難指示が解除されず、将来の見通しがたたず不安の声があるようです。

渡辺:個別相談は、被災直後よりも復旧作業の後の疲れが見え始めた頃に多く寄せられ、その意味でCivic Forceとの協働事業は、ニーズに合致したタイミングで実施できたと思います。片付けや家のリフォームが落ち着いて、少しほっとした時期にどっと疲れが出て、心身に不調が見えてくる人も多いと思います。「急にやる気がなくなってしまい、片付けも家事も何も手につかなくなってしまった」という燃え尽き症候群のような症状を訴える人もいました。非日常の時間を過ごすうちに、どうやって日常生活に戻ればいいのかわからず、それまで整理できていたことができなくなってしまう人も。

「長丁場になるから走りすぎるな」 

Q.災害の多い季節がやってきました。水害を経験した地域として、得られた教訓とメッセージをお願いします。

齋藤:村上市が被災したとき、全国各地からたくさんの支援が届きましたが、「長丁場になるから走りすぎるな」というメッセージも寄せられました。これは東北や九州などで災害を経験した人たちからのアドバイスです。発災直後は目の前の状況を打開しようと必死ですが、災害の影響は短期的な復旧作業だけでなく、後々まで大きく響きます。孤軍奮闘するのではなく、村上ohanaネットのような専門的な知見をもつ団体と協力しながら、適材適所で役割分担しながら取り組んでいくことが大切だと感じています。

 

渡辺:被災を前提として活動していたわけではありませんが、子育て支援など福祉の役割は多様で、これまで様々な状況に対処してきた経験が災害後に生かされたと思います。他方、災害を通じて、これまでつながれていなかった人々ともつながることができ、より多様な人と協力しながら、支援を続けていく意義を改めて実感しています。

 

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昨年8月の被災地支援活動についてはこちらを参照ください。

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