【川柳コンテスト受賞インタビューVol.2】ただいまを 言える幸せ 噛み締める
東日本大震災から13年となる今年3月、Civic Forceは災害や防災・減災をテーマにした「3.11川柳コンテスト」を開催。1,361人の方から3,155作品をお寄せいただきました。先回に続き、「小・中・高・大学生の部」で優秀賞を受賞した大学3年生の鈴木陽菜さんに聞きました。
───受賞おめでとうございます。まずは「3.11川柳コンテスト」に応募したきっかけと感想を聞かせてください。
エッセイや作文などの創作が好きで、「登竜門」というサイトで見つけて応募しました。川柳はあまり馴染みがありませんでしたが、春休みで時間があり新しいジャンルに挑戦しようと出品しました。
「災害」をテーマにしたコンテストと聞いて、まず思い浮かんだのは父のことです。父は消防士で、火事や災害が起きると、夜中であってもすぐ現場にかけつけます。この川柳を通じて、そんなふうに支援にいく人やその家族のことを知ってもらえれば嬉しいです。
───受賞された川柳「ただいまを 言える幸せ 噛み締める」は、どんな思いでつくられたのでしょうか?
2011年3月11日の東日本大震災のとき、私は小学校低学年でした。母も共働きで忙しく、一人っ子。父が緊急援助隊として被災地に向かう可能性があると聞いたとき、ひとりぼっちになってしまうのではないかととても不安を感じました。
父の仕事の現場は危険を伴うため、「いってらっしゃい」と見送って、それが最後になることだってありえます。だからこそ、「おかえり」「ただいま」と言い合える瞬間は当たり前ではなく、とても幸せなこと。そう思って、この川柳をつくりました。
───今はお父さんの仕事について、どう思っていますか?
小学生のころ、父は学校行事に来られなかったり旅行に行けなかっりすることも多く、「他の家の子とは違う」と思うようにしていました。「父の普通が家族の普通」であり、人命優先、自分が優先されることはないという覚悟も持っていました。
父は今、以前ほど現場に行く機会は減りましたが、大きな火事があるとやはり夜中でも家を出ていきます。そんなとき、今は素直に「がんばって」「
人の命を救う父の仕事は私の誇りです。
───これからの目標は?
震災から時間が経つにつれて、3.11を忘れていく人も増えると思いますが、コンテストをきっかけに一人でも多くの人が思い出してくれたらと願っています。
川柳を父に見せたところ「これは自分のこと?」と言って、うれしそうでした。母も「たしかにそうだね」と言ってくれました。家族の中では暗黙の了解だった父の仕事のことを改めて話す機会にもなりました。
今後も創作活動を続けたいと考えています。つくったものがたくさんの人の心に残ってくれたら嬉しいです。
2011年3月に緊急支援活動を開始して以降、東北での被災地支援活動を続けてきたCivic Force(シビックフォース)は現在、独自の復興支援プログラム「NPOパートナー協働事業」を通じて、地域の復興の動きを後押ししています。支援にあたっては「まちづくり」「福島と原発」「記憶の伝承」という3つのテーマを軸に、被災した地域で活動する地元NPO団体の取り組みをサポートしていますが、中でも「記憶の伝承」の一環として、3.11の記憶を振り返り教訓を後世に伝えていく活動に力を入れています。詳しくはこちら
本コンテストは「東日本大震災 (新・夢を応援プロジェクト)支援事業」の一環として実施するものです。
東日本大震災支援活動にご寄付をお願いします
最新記事
カテゴリで探す