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令和5年 大雨 物資支援

【インタビュー】発災後わずか1週間で外来診療を開始ー福岡・田主丸中央病院

7月に九州北部で発生した豪雨から5カ月。家屋や施設の復旧が少しずつ進んでいますが、被災者の生活再建や心のケア、農地の復旧などはこれからが正念場です。

今回お伝えするのは、緊急支援の“その後”について。Civic Forceは発災直後、空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"のメンバーとして、浸水した福岡県久留米市の田主丸中央病院へ支援に入りましたが、その際、病院スタッフの皆さんが外からの支援を積極的に受け入れ、支援を有効的に活用されていたのが印象的でした。なぜ発災直後の混乱の中、いち早く支援の受け入れ体制を整えることができたのか、現場で対応にあたった病院スタッフの皆さんに伺いました。

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(2023年8月 病院スタッフの方々とシビックフォーススタッフ)

1階が床上数十センチまで浸水、入院患者約50人が垂直避難

8月末、貸与していた物資を引き取りに訪問した田主丸中央病院は、通常の運営に戻ってはいたものの、施設の一部はまだ復旧途中でした。

発災当時、降り続く大雨のため、久留米市内は各地で浸水被害や土砂災害が相次ぎ、当日勤務のスタッフはほとんどが出勤困難となり、前日からの夜勤者が引き続き業務を継続して医療を提供する状況でした。300人近い入院患者やスタッフがいた病院も1階全体が浸水。
しかし1階にいた入院患者約50人を垂直避難させ、人的被害はありませんでした。的確なタイミングで避難開始の判断ができたのは、過去の大雨の際に病院駐車場が浸水し対応に追われた経験があったから。また、雨雲レーダーをもとに前日から病院で備えていた点も良かったとスタッフの方は話していました。

停電の中、自家発電機だけでは水道やエアコンを動かす電力が足らず、タンクにためた水と備蓄食を利用。1階の機器も全て浸水し、透析患者への対応にはDMAT(災害派遣医療チーム)が入りました。

夏場に空調設備が使用できない影響は大きく、外部から支援された大型の扇風機や発電機、延長コードなどが役に立ったといいます。

被災2日後にボランティアの受け入れを開始

外部からの支援受け入れに関しては、発災当日の7月10日にDMATが派遣され、その支援を受けながら病院機能の復旧を開始。2日後の12日には独自にボランティアの受け入れを始めました。病院や周辺の医療機関の関係者などボランティアを受け入れたことにより、院内の清掃や片付けが進みました。慣れない受け入れを手探りで行い、参加者のアンケートや病院内での反省会を通じて日々改善を重ねたそうです。

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(当時の田主丸中央病院のホームページに掲載された記事)

ホームページやメディアを通じた情報発信

病院は7月10日からメディアの取材に対応し、積極的に情報発信を行いました。ボランティアの募集情報をはじめ、ホームページに必要な物資リストを掲載し、随時更新。支援の重複や問合せ対応による混乱を少なくし、より効果的に復旧作業ができるよう調整を重ねていました。

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(2023年7月 Civic Forceも病院のニーズをヒアリングできたことで、非常用トレイやブルーシートなどを届けた)

「積極的な情報発信が復旧活動への大きな手助けになった」と病院スタッフの方は当時を振り返ります。情報発信が的確に行えていたのは、院長を始めとした病院スタッフがその重要性を認識していたこと、またホームページなどの情報発信ツールを院内スタッフが直接操作できるようにしていたことが大きかったそうです。

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(2023年7月 Civic Forceが貸与した台車:病院からは「混乱の中、どこに連絡すればいいかわからない貸与品などもある中、Civic Forceさんにお借りした台車などには、貸与物品に返却の要否や返却連絡先が記載され、ありがたかった」と御礼の言葉をいただいた)

今後に向けて

今回の災害対応に関して、スタッフの方々は「総じて、対策本部の中心にいた院長や役職者の判断で、タイムリーに的確な対応ができたことが良かったのではないか」と振り返っていらっしゃいました。スタッフ同士の連絡も日常的に使用していたLINE WORKSを使用してスムーズに行えたそうです。一方で、防災マニュアルやBCP(事業継続計画)を活用する余裕がなかったことなどの課題もあげられ、対策マニュアルの見直しや現場で的確な采配ができる人材の育成に力を入れていく予定です。

病院スタッフの方々からは支援に対して「本当に助かりました」とお礼の言葉をいただきました。Civic Forceでは引き続き、支援活動の中でも今後の支援に活かすことのできる知見を蓄積し、情報発信を行っていきます。

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