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東日本大震災 3 11を忘れない その他

【Message from3.11】大船渡の山林火災に想う

岩手県大船渡市の山林火災で多くの人が避難生活を余儀なくされました。市の調査の結果、210棟以上の建物で被害が確認されました。被災した地域の復旧・復興はまさにこれからです。

今から14年前の2011年3月11日、大船渡市の隣県、宮城県気仙沼市で被災したCivic Forceスタッフの小野寺幸恵より皆様へメッセージをお届けします。

東北は今、東日本大震災から14年を迎えようとしています。その日を目前に、岩手県大船渡市で発生した未曾有の山火事により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

この火災が発生してから、私の住む宮城県気仙沼市では上空をヘリコプターが頻繁に行き交い、そして遠方から駆け付けた応援の消防車のサイレンの音が響き渡るようになりました。夜中に鳴り響くサイレンの音を聞いた私の脳裏に浮かんだのは、2011年3月11日の夜に見た暗闇の中に広がる火の海と、聞いたことがないほどの大きな爆発音でした。余震なのか爆発による振動なのかもわからず、迫りくる火の手に最悪の事態を覚悟したあの夜が、14年近い歳月を経て再び鮮明によみがえった瞬間でした。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)を克服できたと思っていた私でさえフラッシュバックが起きたのですから、多くの消防車がサイレンを鳴らして駆け回った大船渡で暮らす人の中には、私以上の強烈なフラッシュバックを経験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。何をやっても手につかない、集中できない、夜も眠れないなどといった状態が続いている方もいらっしゃるかもしれません。「火事で大変な思いをしている人がたくさんいるのに、今さら震災のことを思い出して辛くなったとは言えない」などと自分の中にため込んでしまう方も多いかもしれません。

「こころの傷は時間が経てば癒える」。そんな言葉もありますが、私は周囲の人の理解と寄り添いがあって、はじめて癒えていくものだと自分自身が身をもって学びました。

14年前に被災した東北の一部の地域では、インフラが整備され、きれいな建物が立ち並び、時間の経過とともにある程度まちのにぎわいが戻りました。しかし、これは表面的な「復興」に過ぎないのかもしれません。今回の山火事のような大きな災害に直面すると、震災の心の傷が再び蘇り立ちすくんでしまう人がいます。自分だけが立ち止まっている、前に進めずにいると自分を責めたり、震災の風化で社会から置き去りにされてしまったと感じたり。これは東北に限った話ではなく、どの災害においても起きうることです。ただ、心の中は誰にも見えず、その人がどのような心持ちかを想像するのはとても難しいことだと思います。だからこそ、立ちすくんでいるその人に理由を問い詰めたり叱責するのではなく、どうすれば一緒に前に進めるかを考える「寄り添う」姿勢が大切です。いくらまちがきれいに整っても、そのまちを創る人の“心”が元気でなければ、前には進めないからです。

近年の顕著な異常気象による大雨や超大型台風の襲来、大雪、そして南海トラフ地震や首都直下型地震発生の確率が高まる中、誰もが「被災者」になる可能性があり、今起きている災害は決して他人事ではありません。「過去の災害から学び備えることは自分や大切な人の命を守ること」、そう思って被災地に目を向けると、多くの気づきがあるはずです。

被災地では、様々な復興のロールモデルがつくられています。その活動を支えることは、誰かの命を守ったり、まちを再生させたりすることにつながる、そんな思いで私たちは支援活動にあたっています。

自然災害が頻発する今、災害はもはや「他人事ではなく自分事」という意識を持ち、災害に直面していない人も含めた社会全体で被災地に寄り添い続けることが重要です。そのためにも、私たちはこれからも被災地に寄り添い、支えながら、被災地の「今」を発信していきます。

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