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【オンライン勉強会開催レポート】企業×NPO  連携の可能性について考える

Civic Force(シビックフォース)は、2022年9月1日、企業とNPOの連携に関するオンライン勉強会「いま、NPOに求められる役割とは? 企業担当者に聞く本音トーク 〜企業×NPOの協業事例」を開催しました。ゲストに、ロクシタンジャポン(株)ロクシタン基金日本代表の中原奈都子さんと(株)バリューブックスの西山卓郎さんをお迎えし、Civic ForceのNPOパートナー団体を中心に約30人が参加しました。

 



ロクシタン「6つの約束」と2025年までの数値目標

今回ゲストにお迎えしたのは、Civic Forceの災害支援事業などでつながりのある2つの企業。SDGsや企業の社会貢献活動に注目が集まる中、国内外のNPOと連携しながら本業の理念に通じる先進的な取り組みを続けています。

最初に登壇した中原奈都子さんは、南仏プロヴァンスで生まれた自然派化粧品ブランド・ロクシタンが設立したロクシタンファウンデーション(基金)の日本代表として、ブランドが掲げる「6つの約束」について紹介しました。6つの約束とは、植物の多様性保護をはじめ、生産者のサポート、3R(リサイクル、リデュース、リアクト)の実現、女性の自立や視覚障がいへの取り組み、伝統的技術の継承など、自然と人への“リスペクト”を表した創設以来変わらない哲学です。それぞれ具体的な数値とともに「2025年までの目標」を掲げ、その実現に向けて国内外のパートナーと連携して多様なプロジェクトを展開しています(参考:https://jp.loccitane.com/more-than-a-brand

多岐にわたる社会貢献活動を、他の業務と並行して続けてきた中原さんですが、「ロクシタンの社会貢献活動には“CSR”と“基金”の2種類がある」と説明します。前者は、ビジネスに紐づいた活動で、後者は利益に関係なく社会に貢献する取り組みです。

例えば、ブランドを象徴する人気製品であるハンドクリームの原材料であるシアバターは、アフリカ貧困国の一つであるブルキナファソの女性たちが手がけていますが、フェアトレード契約による原材料調達というの事業継続を通じて彼らの社会的・経済的な自立を支援しています。

また、日本でも複数のNPO団体と協働し、東日本大震災ではCivic Forceが宮城県気仙沼市で実施した起業家育成プロジェクトを支援。コロナ禍では全国のNPO団体に消毒液を寄贈いただきました。2021年からは、岩手県釜石市根浜海岸の景観を取り戻すための植樹プロジェクトをサポートいただくなど、本業のコンセプトに合致する事業にご支援いただきました。(参考:https://www.youtube.com/watch?v=taOxQiLOHhM&t=11s

中原さんは「ロクシタングループはSDGs投資はサステナブルな事業継続のために欠かせない重要な柱であり、企業として売上の1%を寄付に回すという目標を立てている。そのために、これからも社会の課題に取り組むたくさんのNPOと出会いたいし、寄り添いたい。NPOにしかできないことがあり、今後も連携の可能性を探っていきたい」とNPOへの期待を込めて語りました。



チャリボンの累計寄付総額6億円、そして「輝沌さん」

続いて、長野県上田市を拠点とするバリューブックスは、「日本および世界中の人々が本を自由に読み、学び、楽しむ環境を整える」というミッションのもと、本の買取販売事業を基盤としながら、本の買取金額をNPOなどに寄付するcharibon(チャリボン)」や、学校などに本を寄贈する「ブックギフトプロジェクト」を運営しています。

西山さんが責任者を務めるチャリボンの寄付先は、NPOや大学、自治体など170団体以上に及び、累計寄付総額はこれまでに6億円にのぼります(2021年8月時点)。また、西山さんはNPOに支援するだけでなく、地域のNPOの運営にも携わっています。

企業とNPO両方を知る立場から、西山さんは「営利と非営利の境目」に着目し、今後パートナーシップの一環で、お互いに足りない部分を補うような場面も増えてくるかもしれないが、「企業の目的は利益の追求、NPOの目的は課題解決」という点を双方が理解しながら、お互いのメリットをきちんとつくる必要性を強調しました。

また、バリューブックスは今年6月、社会や環境に配慮した企業に対する国際的な認証制度「B Corp(B Corporation)」に関する本の日本語版を出版(参考:https://publishing.valuebooks.jp/b-corp-handbook)。B Corp認証を目指す企業としても注目されています。西山さんは企業の最近の動向として、「SDGsやESG、B Corpなど“いい会社”とは何か、定量的・客観的な言葉・指標で定義され、それにあてはまることが企業活動の必須になりつつある。単にCSR活動だけでは不十分で、より踏み込んだ事業や企業にならないと、採用や融資、事業活動に制約が出てきている」と語ります。



一方、合理化や言語化、可視化が進むことは良いことなのか?という疑問を呈し、中国の古典『荘子』に出てくる3人の神様の一つ「輝沌さん」の事例を挙げ、特定の秩序やルールを押し付けた結果、図らずも命を奪ってしまった物語を紹介しました。

NPOと企業、連携のその先を見据えて

後半の質疑応答の時間では「グローバル企業にとって、NPOと連携する指標として英語での報告書提出や発信は必須か」「NPOの活動は数値で結果を示せない部分もあるが、団体運営のロジックモデルを導入する動きについてどう考えるか」「連携先のNPOを選ぶ時、プロジェクトの規模は重要か」など多種多様な質問が出ました。

こうした問いに対して、10年以上にわたってさまざまなNPOとの協働を模索してきた中原さんは「連携先を選ぶ時、プロジェクトの大小ではなく、何をしているかが重要だが、託した資金がどんなふうに活用されたか伝えることも大切。グローバル企業にとって英語での報告書の存在は重要で、間違っていてもいいから翻訳ソフトを使うなどチャレンジする気持ちを忘れないでほしい」とエールを送りました。

また、西山さんは、「数字を出すことも大切かもしれないが、重要なのはそこではない。小さくて見えにくくても、なくてはならない素晴らしい活動をしている団体もたくさんある。日本の非営利セクター全体を底上げしていく仕組みがとても大事だと思う」と語りました。




Close up! 「NPOパートナー協働事業」と企業連携

Civic Forceの「NPOパートナー協働事業」では、2011年から2022年までに約100団体とさまざまなプロジェクトを実施してきました。災害直後の復旧作業から地域の将来を見据えたまちづくりまで、その内容は多岐にわたりますが、いずれも「困っている人のために何かできれば」という思いから始まっています。他方、なんとかしたいという気持ちだけでは、真に地域の課題を解決することは難しく、地域内外の人と連携しながら組織運営を継続させていくことも大切です。今回の勉強会はNPOを支援する企業の担当者にお話を聞くことで、NPOの存在意義や企業との連携の可能性について探る一歩として、主にパートナー団体向けに実施しましたが、今後はまた違ったテーマや対象を広げるなどして継続して勉強会を開催できればと考えています。引き続きご関心をお寄せください。

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