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【オンライン勉強会Vol.2】助成金の活用について考える

Civic Force(シビックフォース)は、6月16日、ファンドレイジングに関心を持つNPOなどを対象にしたオンライン勉強会を開催しました。今回は、昨年9月の開催に続く第2回目で、テーマはNPOの助成金申請について。さまざまな助成金申請で実績のある3団体の代表をゲストに招いて、助成金の戦略的な活用方法や申請のコツ、メリット・デメリットなどについて情報交換を行いました。



<講師プロフィール>
被災地NGO恊働センター代表 頼政 良太氏 阪神・淡路大震災以来、国内のさまざまな災害現場で、被災者支援を行う。災害直後だけではなく、息の長い復興支援を行うことを大切に、ニーズに合わせて柔軟に活動。
NPO法人TEDIC共同代表 鈴木 平氏 宮城県石巻市で子ども・若者支援に取り組む。「石巻圏域子ども・若者総合相談センター」をはじめ、生活・学びの支援、フリースクール運営など活動は多岐にわたる。
NPO法人リエラ代表理事 松永 鎌矢氏 2017年の九州北部豪雨をきっかけに大分県日田市で災害支援・防災活動を行う。「平時から互いに支え合い安心して暮らせる」を大切に、移住・定住支援にも取り組んでいる。


Q.助成金をどのように活用しているか

頼政:組織全体は一般の寄付で支えられていて、助成金は災害直後の救援活動のために活用することが多いです。復興フェーズの被災地では、もともとその地域にあった潜在的な課題が災害を機に見えてくることがあり、地元の団体と組みながら、孤立してしまう人をつくらないようにサポートします。地域のために活動する地元団体が現場の活動に集中できるよう、助成金の申請作業をサポートすることもあります。

鈴木:石巻市の委託を受けて子どもたちの居場所をつくる事業を展開していますが、子どもたちのニーズに合わせて委託事業だけでは賄えない場合などに助成金を合わせて活用しています。コロナ禍で子どもたちの居場所が減り、これまで以上に支援の必要性を感じていますが、外遊びが得意な団体や心のケアが専門の団体などさまざまなスキルや経験をもった団体と一緒に助成金を申請することもあります。

松永:災害をきっかけに団体を設立しましたが、今は移住や防災関連を含め複数の事業を自治体などから委託しています。助成金は、災害やウクライナ難民の受け入れなど突発的に発生する事態に対処するために活用することが多いです。委託業務は人件費を含めてある程度自由に活用できますが、助成金は具体的な活用用途が限られているものが多く、両方を掛け合わせて組織を運営しています。

Q.申請書を書くときのコツは?
 
頼政:基本的なことですが、募集要項をしっかり読み込んで、助成先の団体の目的をしっかり理解した上で、自分たちのやりたいこととマッチングするかよく検討します。また、申請書には様々な項目がありますが、背景や課題、解決方法・未来が、一つのストーリーとしてスムーズな流れになっているか、全体を俯瞰してチェックするようにしています。
 
鈴木:コツがあるとすれば、「経験」あるのみ。申請書を書く担当は、組織の代表の場合もあれば一スタッフのときもありますが、数をこなしていくと「コピペ」できる内容が増えて、いい意味で使いまわすことができます。個人や組織に経験が蓄積されていく。また、申請書を書くのが得意な人もいれば、苦手な人もいますから、向き・不向きを見極めながら申請書を書く人を決めることも大切な要素かもしれません。
 
松永:NPOの事業は成果が見えにくいものも多くありますが、できる限り裨益する人数や会の回数など具体的な数字を明確に書くようにしています。「わかりやすい」という点も重要だと思います。また、災害支援を専門にする団体として、大規模な災害が発生したらすぐに関係者に被害の状況を伝え、先んじて支援の必要性を訴える発信も大切だと考えています。



Q.助成金申請のメリット・デメリットは?
 
松永:何を目的に、どんな活動をするか、私もスタッフも、必ず紙に落とすようにしています。それがなければ伝わるものも伝わらない。その意味で、助成金申請はやりたいことを整理し、組織内外の関係者を巻き込んでいくための大事なプロセスだと捉えています。事業をみに来てもらって中身を深く知ってもらい仲間を増やしていく。それから、助成金が取れる・取れないは「縁」もあると思いますから、採択されなかったからといって「間違いだった」ととらえずに、挑戦し続けることが大切です。
 
鈴木:助成先の担当者の方との関係性によってメリットもあればデメリットもあります。過去に良い方と出会えて、組織や個々の成長につながった経験があり、自分たちがやりたいことを尊重してくれる助成先と組むことも大切な要素です。
 
頼政助成先と助成を受ける団体は対等なパートナーだと思います。お金をもらっているからと低姿勢でいたら組織は育たないし、振り回されることなく事業を進め、時には本来の目的に立ち返って考えることも大切だと思います。助成金申請については、タイミングの難しさも感じています。特に災害の分野では発災から一定期間が過ぎた後、報告業務のタイミングが一気にきて、本来やるべきことができなくなることもありますので調整が必要です。


Pick Up!
勉強会の中で共有された助成金情報の参考サイトの一部をお知らせします。
CANPAN https://fields.canpan.info/grant/
岩手連携復興センター http://www.ifc.jp/info/josei/
ひょうごボランタリープラザhttps://www.hyogo-vplaza.jp/givinginfomation/information/posted_ev_info/gr_search_list.html
大分NPO情報バンク「おんぽ」 https://www.onpo.jp 

Close up! Civic Forceの「NPOパートナー協働事業」
Civic Forceの「NPOパートナー協働事業」では、2011年から2022年までに約100団体とさまざまなプロジェクトを実施してきました。災害直後の復旧作業から地域の将来を見据えたまちづくりまで、その内容は多岐にわたりますが、いずれも「困っている人のために何かできれば」という思いから始まっています。他方、なんとかしたいという気持ちだけでは、真に地域の課題を解決することは難しく、地域内外の人と連携しながら組織運営を継続させていくことも大切です。今回の勉強会はNPOの事業や運営資金の一つである助成金をテーマに、NPOを運営する代表者にお話を聞きました。今後も継続して勉強会を開催できればと考えています。引き続きご関心をお寄せください。

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