トヨタ財団助成プログラムの成果報告会に参加
公益財団法人トヨタ財団主催のプロジェクト成果報告会が2025年2月1日、東京都内で開催され、Civic Forceのスタッフが参加しました。
報告会には、トヨタ財団の「2021年度国内助成プログラム」に採択された団体が参加。2021年度国内助成プログラムは「新常態における新たな着想に基づく自治型社会の推進」をテーマとし、新型コロナウイルス感染症を含め歴史的な転機に直面する日本の現況を踏まえて、既存のシステムや手法、発想に縛られない取り組みを通じた新たな価値観や仕組み、持続可能性や発展可能性のある日本社会/地域社会の実現に向けたプロジェクトが重視されました。応募件数64件のうち4件が採択され、Civic Forceは採択団体の一つとしてこれまでの成果を報告しました。詳細は以下の通り。
題目:企業のものとサービスが支援団体とつながる ― デジタルプラットフォームサービスの創出
助成金額:1,600万円
助成期間:2021年10月1日~2024年9月30日(3 年間)
企業が廃棄する日用品や衣類など、活用されていない社会資源がある一方で、激甚化・頻発化する災害、新型コロナウイルスや物価高騰によって支援を必要とする人々は増加しています。
日本では日用品の1~2割、衣類の約5割にあたる15億着が1年間を通じて廃棄されていると言われますが、こうした企業のモノやサービス、社会貢献の意識をNPOなどの支援団体とつなげることで、民間の資源を活用した“支え合いの仕組み”を創出することを目指し、オンライン支援マッチングプラットフォーム「Good Links」を整備しました。
目的:民間の資源を活用した支え合う仕組みの創出
実施計画: 企業のモノとサービスが支援団体とつながる仕組みづくり
① 助成1年目 デジタルプラットフォーム「Good Links」の整備
② 助成2年目 NPO、企業等の「Good Links」への参加促進
③ 助成3年目 「Good Links」を通じた支援の実施
① デジタルプラットフォーム「Good Links」の整備
企業が提供可能な物資をオンライン上で紹介し、支援団体が必要に応じて申し込むマッチングプラットフォーム「Good Links」を開発し、2022年7月からサービスの提供を開始 https://goodlinks.civic-force.org/
Microsoft Power Apps使用 開発期間6カ月(2022年1月~6月)
② Good Links上でのNPO/NGO、企業が連携する包括的支援プラットフォームの構築
Good Links加盟団体(2024年9月末時点)70団体(企業11、NPO/NGO54、社協5)
加盟団体の活動分野:災害救援、子どもや青少年の支援、生活困窮者支援、在日外国人・留学生の支援、障がい者の支援、高齢者の支援、地域・まちづくりなど
③ Good Linksを通じた支援の実施
2022年7月のリリースから2024年9月までに353件、 1万2,000点以上(平時:222件、8,279点、災害時:131件、3,916点)のマッチングと取引をサポート
災害対応実績:2022年8月新潟豪雨、2023年9月台風13号(福島)、2023年7月豪雨(福岡、佐賀)、2024年能登半島地震、2024年7月 山形・秋田豪雨、2024年9月能登半島豪雨
①Good Linksプラットフォームの整備:災害支援や社会貢献、廃棄商材の有効活用などの目的で提供される民間の支援リソースの可視化と活用の促進
2024年8月に実施したアンケート*では、回答したNPOのうち、9割近くが満足と回答。「大変満足」(57%)または「おおむね満足」(30.8%)
*8月時点のNPO会員55団体のうち26団体が回答
②支援リソースの循環:NPOなどの支援団体へ社会資源(支援リソース)が循環することで、支援を必要とする人とのつながりを創出・強化。
「Good Links活用前、または1年前と比較して、支援対象者や災害時要配慮者とのつながり(接触の機会、コミュニケーションなど)が創出または強化されたと感じますか?」という質問に対し、63.7%のNPOが「非常にそう思う」(36.4%)または「ややそう思う」(27.3%)と回答
③応用可能なプラットフォームの構築:分野や地域を超えた平時からのつながりをもって、大規模災害時や物価高などの社会的・経済的危機にも応用できるプラットフォームの構築
「団体の支援リソースが増えた」6団体(24%)、「既存支援対象者への支援が充実した」11団体(44%)、「新たな活動を開始するきっかけができた」2団体(8%)と回答。支援団体へのヒアリングから、平時および災害時において物資を通じて、支援が必要な人とのつながりが創出できたという声が聞かれた。
④企業と支援団体の協力:支援リソースの獲得に苦慮するNPOに対し企業が自社で扱う製品を提供することで、社会貢献に関心を持つ企業と専門性を持つNPOが相互の強みを活かして協力し、支援が必要な人に対して効果的な支援を提供することができた。
行政や避難所には多くの救援物資が届く一方で、被災者一人一人のニーズに合った支援を届けることが依然難しい現場もあります。
Good Linksは被災地の周辺で活動するなど地域の事情に精通する支援団体を通じて、在宅避難者や車中泊、ペット連れ、障がい者など支援が届きにくい人に支援を提供することができています。支援団体からは「物資があることで支援が必要な方とつながれる」という声も聞かれました。
就労支援施設やクリニックなどの民間施設の復旧は、社会福祉協議会が派遣する災害ボランティア活動の対象外となるケースが多く見られますが、Good Linksでは地域の復旧において重要な役割を果たす施設などに対し、ショベルなどの資機材や掃除道具を提供し、地域やその協力者の力で復旧・復興を進めることができました。また協力者を巻き込むことで、コミュニティの結束力が高まり、災害に対するレジリエンス(回復力)の向上が期待できるという副次的な効果もありました。
Good Linksが日本社会に広く浸透し、社会資源(民間の支援リソース)の活用が一層進んでいくよう、引き続き尽力します。毎年のように起こる災害に際し、Good Linksを通じて、いち早く民間の支援を必要な地域や団体とマッチングできる体制を整えます。
また、協賛金やクラウドファンディングを通じてGood Linksを維持管理するための安定的な財源の確保に努めます。
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