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アジアに展開する

2014/05/21

【アジアパシフィックアライアンス】国際シンポジウム「災害時の真のリーダーシップとは―東日本大震災・アジアの経験から」開催のご報告(前編)

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Civic Forceは5月13日(火)、国連大学エリザベス・ローズ会議場で一般社団法人アジアパシフィック アライアンスと共催し、国際シンポジウム「災害時の真のリーダーシップとは―東日本大震災・アジアの経験から―」を開催しました。シンポジウムでは東日本大震災を経験した行政、民間企業、NPOの立場から、それぞれが果たした役割やセクターの垣根を越えた協働の成果を振り返るとともに、頻発する災害において、どうようなリーダーシップが必要とされるか各組織のリーダーと議論を展開しました。

今シンポジウムにはアジアパシフィックアライアンス加盟国である日本、フィリピン、インドネシア、スリランカのほか、オブザーバーとしてミャンマー、ブルネイ、バングラデシュから国内外の災害支援のリーダーが集結。また来日中のアセアン防災人道支援センター(AHAセンター)の研修生13人も参加しました。AHAセンターはASEAN地域の災害対応や緊急支援に関して協力・調整を図ることを目的にアセアン加盟10カ国によって設立された政府間組織で、日本政府からの拠出金に基づく日・ASEAN統合基金を活用し、同加盟国の防災担当部局担当官に対する研修プログラム(AHAセンター・エグゼクティブ・プログラム)を実施しています。研修生は研修の一環でこのシンポジウムに参加したり、東北の被災地訪問や関係機関との意見交換等を通じて、日本の復興への取り組みやどのようなリーダーシップを目指すべきか知識を深めました。

 

1.オープニング

 

IMG_0353.JPG塩崎恭久衆議院議員 yasuhisa shiozaki.JPG石兼公博 kimihiro ishikane.JPGIMG_0074.JPG

      大西氏            塩崎氏            石兼氏           ファイザル氏

大西健丞おおにしけんすけ アジアパシフィック アライアンス(APADM)CEO/ シビックフォース代表理事

「たくさんの方にお集まりいただき感謝いたします。アライアンスだけではなく、市民社会、企業の皆さまとともに今後も継続して協力することで、それぞれが持つ情報、知識、リソースを集約し、効果的な支援を展開することができると信じています」

塩崎しおざき恭久やすひさ 衆議院議員

「災害に立ち向かう皆さまがここにお集まりいただきうれしく思います。行政、民間企業、NGO・NPOで連携し、迅速な支援が達成でき、アジアの良き友人となるべく、このシンポジウムが意義深い会となることを祈念します」

石兼いしがねきみひろ 外務省国際協力局長

「アライアンスは防災ネットワークであり、さらに強力な事業体としての役割を果たすことができます。次の災害に備えるため、より緊密なネットワークを構築することも重要です。シンポジウムを通して将来の災害に備え何ができるかともに考えていきたいと思います」
 
サイド・ファイザル アセアン防災人道支援調整センター(AHAセンター)所長

「アセアン諸国はこれまでも災害により深刻な被害を受けてきました。日本のように多大な支援を表明している〝友人″の協力を得て、災害対応を主導するAHAセンターを2年半前に設立し、各国間での情報共有を可能にしました。今回、AHAセンターより13人の研修生が災害管理の能力を向上させる目的で参加しています。災害時におけるリーダーシップについて理解を深めることを期待しています」

2.セッション1:「3.11東日本大震災からの学び」

 

session1.JPG                  (写真右から)塩崎氏、太田氏、根木氏、岡本氏、桑名氏

①「各セクターの協働を振り返る」

岡本おかもと全勝まさかつ 復興庁統括官

岡本復興庁統括官は、東日本大震災発生時の政府の対応について報告しました。発災直後に現地への緊急部隊の投入(救助、救出)、避難所での被災者の生活支援、地方自治体への職員の応援や民間企業と協力し、インフラの復旧、サービス(通信、郵便、病院、銀行など)の再開を支援したことを紹介しました。またNPOやボランティアとも協力し、食品の提供、仮設住宅支援などを展開し、「半年間で約77万人が支援に駆けつけてくれた」と感謝を伝えていました。

根木ねき佳織かおり シビックフォース事務局長

根木事務局長は東日本大震災発災翌日から緊急支援を開始し、企業の協力を得て、380㌧の支援物資を提供したことを紹介しました。「これまでに600社以上の企業と5万人の支援者からのサポートを受け、多岐にわたる活動を展開しました」とこれまでの成果を報告しました。

③「東日本大震災でのビジネスセクターの貢献」

太田おおた至計よしかず 株式会社ハート・インターナショナル代表取締役社長                   

1990年に設立され全国に31の支店を持つハート・インターナショナル。太田代表取締役社長は、東日本大震災でシビックフォースの依頼を受け、トラック、人員、倉庫を確保し、被災地への支援物資搬送に尽力したことを報告しました。太田社長は「私たちのように大きな会社でなくても、助けるために何かを実践することは可能だということを他の会社にも気付いてほしい」と強調していました。

④「福島原子力発電所事故からの学び」

塩崎しおざきあきひさ 福島原発事故独立検証委員会ワーキンググループメンバー

塩崎氏からは福島第一原子力発電所の事故後の対応、連絡体制の在り方などについて報告されました。原発事故の情報が遠く離れた内閣総理大臣官邸に届くまでにはいくつもの階層を経て情報が送られるため、情報の共有が大幅に遅れていたことを説明しました。また積極的に情報を提供することで信頼を得ることができると強調し、「私たちの経験はアジアの友人たちに共有し、次の災害に備えることが必要です」と話していました。

◆ディスカッション 「災害が起こる前に信頼関係の構築が不可欠」

立命館大学の桑名恵准教授をモデレーターに迎え、他セクターとの協働の事例、パートナーシップの継続などの論点で議論が展開されました。岡本復興庁統括官は政府間、他セクターとの情報共有の重要性を強調しました。シビックフォースの根木事務局長は「信頼関係の構築が不可欠で緊急時にはそれぞれが協働することでより迅速に支援活動を展開することができます」と力強く訴えていました。
 
また株式会社ハート・インターナショナルの太田代表は「人を助けたいという意思は誰もが持っていると思いますが、どうやって助けるのか、その方法を知っている人は少ない。今回の震災で、多くの人がボランティアとして参加して頂いたこと、またシビックフォースが私たちと協働して頂き、被災地に多くの物資を運ぶことができとても感謝しています」と述べました。塩崎氏は他セクターとの協働、有事を想定した訓練の重要性を説明し、「災害が発生する前から事前に関係を確立しておく必要がある」と話していました。

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後編ではセッション2の様子を紹介します。