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被災地を支援する

2017/09/09

【熊本×東北×韓国】「また来たくなる町がここにある」ーー観光復興応援ツアー(後編)

熊本地震の被災地を訪れる「観光復興応援ボランティアツアー」では、8月31日から3つのグループに分かれ、それぞれ南阿蘇村と山都町、熊本市を訪問しました。熊本の魅力を見つけ広く発信することを目的に、地域の人々へのインタビューや撮影を試みた学生たち。今回は、山都町チームと熊本市チームの取り組みを紹介します。

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農業を営む人々の暮らしに触れて ーー山都町チーム

田の神に感謝し収穫の目安を立てる日とされる八朔(旧暦8月1日)の日に、五穀豊穣と商売繁盛を願う八朔祭。この秋、全国各地でさまざまな八朔祭が実施されていますが、今回のプログラムの舞台となった山都町(熊本県上益城郡)の八朔祭は、木の皮や実など野山の自然素材を使った大きな「造り物」が名物です。

山都町チームが訪れた9月2、3日、偶然にも町では八朔祭が開催されており、地元住民の方々の配慮で、学生も俵の神輿をかつぐことができました。また、山都町チームは、今年2月に地域の若手農業従事者らによって設立された会社「山都でしか」のメンバーが営む畑で、野菜の収穫やホームステイも経験。熊本地震で被災した日本最大級の石造りアーチ水路橋「通潤橋(つうじゅんきょう)」の修繕の様子を視察し、山都町の被害の状況や地域を活性化させるための多用な取り組みについて聞きました。

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現役の農業用水として活用されてきた通潤橋は、農業を営む町の人々の生活を支えてきましたが、今回の地震の影響で水を通す石管の接合部が破損。放水できなくなり、町の農業や観光、経済に大きな打撃を与え、以前から課題となっていた少子高齢化と過疎化に追い打ちをかけています。そこで、山都でしかのメンバーは、地域活性化を目指して、ジビエ料理の開発やグリーンツーリズム、新規就農者の受け入れ、野菜のブランド化、酒米でつくる日本酒生産などを計画しています。また、地元野菜の町内流通を促進させるほか、将来的にはレストランやカフェの出店なども目指しています。

「大地の恵からできる農産物、それらを使った飲食店、まちのなかに循環がある。ここで耳にしたすべてのストーリーに大きな価値がある」と話すのは、韓国のミンジュさん。もともと農業に関心があり、山都町で農業を営む人々の暮らしや考え方を知り、感銘を受けました。「また会いに来たいと思う人たちと出会えた。今回のプログラムのミッションである熊本の観光PRとして、観光スポットの紹介ではなく、ここで農業を営む人たちに焦点をあてる動画やエッセイをつくりたい」と目を輝かせています。

 

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城下町の街並みを歩く ーー熊本市チーム

熊本城や水前寺成趣園など熊本を代表する観光スポットが集まる熊本市内。熊本市チームは、まずそれぞれの場所を見て、城下町の魅力が伝わる写真や動画を撮影したほか、市内を訪れていた韓国人観光客や地域の人々へのインタビューを試みました。

訪れた場所のうち、熊本城の南側にある城下町「新町・古町」は、熊本城の武家屋敷と町人屋敷が混在する全国でも珍しいエリア。戦前まで熊本経済の中心的や役割を果たし、今も100年以上の歴史ある町屋があります。しかし、熊本地震で382軒あった町屋のうち75軒が消滅してしまったそうです。チームは、そんな町の風景を残そうと立ち上がった「新町古町復興プロジェクト」を取材。「地震の前より元気で楽しい町にしたい」と魅力あるまちづくりに奔走する人々に話を聞きました。

また、熊本地震で被災し、解体を余儀なくされた建物やがれきなどを活用した「モバイルハウス」のプロジェクト担当者にも話を聞きました。

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韓国の学生たちの目標は、「1人1万人の観光客を熊本に呼び込むこと」。帰国後、撮りためた写真や動画を整理してまとめ、広く発信していくほか、年内にはエッセイ集の出版も企画しています。

また東北の学生たちにとって、今回のプログラムは、被災地としての熊本だけでなく、豊かな自然のなかで地域の魅力を発見する機会となったようです。「国際交流」と「復興支援」がセットになった、アツい夏の旅となりました。