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被災地を支援する

2016/09/02

【夢を応援プロジェクト】被災地の復興の"今"を知る(後編)

東日本大震災で被災した若者をサポートする「夢を応援プロジェクト」。その一環で、8月21日から25日まで、宮城県と岩手県で4泊5日の学生向け夏休み特別プログラムが実施されました。前半に続き、後半は震災後のまちづくりの話を聞いたり、海岸沿いの防潮堤を訪れるなど、被災地の復興の様子について見聞きした奨学生の様子をご紹介します。

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「そびえ立つような直立型からゆるい傾斜型、窓がある防潮堤など、今、気仙沼には海岸沿いにたくさんの防潮堤がつくられています」ーーー森は海の恋人副理事長の畠山信さんは、2日目の朝、学生たちを連れて気仙沼市内で建設中の複数の防潮堤を見に行きました。

防潮堤とは、津波や高潮の被害などを軽減するための堤防のことで、東日本大震災後、岩手・宮城・福島の被災3県では、国の「国土強靭化」の旗印のもと、総事業費8000億円にのぼる防潮堤建設計画が進められています。総延長距離は、約370km。再びやってくるかもしれない津波に備え、街を守るために防潮堤がつくられていますが、東日本大震災の被災地では防潮堤があった地域でも、津波がそれを乗り越えて被害を拡大させた事例もあります。また、巨大なコンクリートの壁が、海岸を数百メートルにもわたってそびえ立つ景観は、それまで海とともに暮らしてきた人々にとって、物理的にも精神的にも大きな障壁となります。

奨学生たちが訪れた気仙沼市でも、最大高さ15mに及ぶ防潮堤が建つ計画が浮上しています。陸と海を分断し、景観や生態系をも壊すとされる防潮堤の計画に対し、漁師町である気仙沼では困惑の声があがり、一部の地域では計画を一時停止し変更するための署名活動などが行われました。

こうした防潮堤の問題に対し、森は海の恋人は、地域の人々とともに「防潮堤を勉強する会」などを立ち上げ、住民と行政が話し合いを重ねた上で、住民の意思が反映される復興まちづくりのために尽力してきました。

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プログラムでは、畠山さんとともに、気仙沼の復興まちづくりに取り組む三浦友幸さんにも話を聞きました。

「実は震災が起きる前は、まちづくりなんて全然興味がなかった」という三浦さん。気仙沼に生まれ育ち、3月11日の東日本大震災では、市内の勤務先で被災。自宅近くの寺院が避難所になり、そこで復興対策本部の事務局長を務めることになったそうです。その後、NPOのスタッフなどとして、津波で流された地域の集会場の再建などコミュニティーを再び取り戻す活動に奔走してきました。

三浦さんは、発災直後の状況からこれまでの地域の再建に向けた道のり、思いを奨学生たちに語ってくれました。

三浦さんが生まれ育った本吉地区には、年間6万人が海水浴に訪れる「大谷海岸」があります。大谷海岸は、「快水浴場百選」に選ばれ、穏やかな波と遠浅の海、白い砂浜が美しい場所ですが、津波で砂浜や保安林が押し流されてしまいました。そんな中、2012年7月に大谷海岸の整備計画に関する市の住民説明会が実施され、災害復旧事業として砂浜をすべて埋め立て、高さ9・8m、幅40mの防潮堤が建設される計画が発表されました。計画を初めて聞いた地域の人々は驚き、連絡協議会を組織して砂浜を守るための署名活動や防潮堤のセットバック、代案として国道のかさ上げなどを市に提示。長い調査と協議の末、結果的に砂浜は守られることになりました。

震災から5年以上が経ち、5年間で25兆円を拠出する国の「復興集中期間」の期限切れまで、日が迫っています。期限が過ぎると、県や市への負担が増えることなども相まって、地域の復興は住民の意思が反映されないまま、焦って進められてきた面があります。住民の反発を受けて、国や県が柔軟な姿勢を見せた大谷海岸のような事例は、ほんの少数。実は多くの地域で住民の意思がしっかり確認されないまま、防潮堤が建設されてしまった地域もあります。

三浦さんは、「震災を経験した人にしか分からないこともあるけれど、被災地を訪れたり、被災した人の経験を聞くことで、それを次に生かしてほしい」と大学生たちにメッセージを送りました。

 

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「生まれ育った南三陸町の隣にある気仙沼の復興の様子を知りたくてプログラムに参加した」という東北文教大学2年の今野靖子さんは、「防潮堤の問題や、森と海の関係などを見聞きして、人のつながりの大切さを感じた」と言います。また、今野さんは、復興の様子を見たり聞いたりしたことで、複数の視点で物事を捉え自分の考えを深めることにつながった4泊5日だったと振り返ります。そして、「被災した地域の出身として、これからも移りゆく情報を取り入れ、地域の復興にかかわっていきたい」とこれからの目標を語ってくれました。

 

 

 

 

 

 

 

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