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【連載 災害に備える】Vol.4 避難生活を少しでも心穏やかに過ごすために

今日11日は東日本大震災の月命日。NPOパートナー協働事業チームの小野寺幸恵が暮らす宮城県気仙沼市では、11日を「防災を考える日」とし、防災無線などで「家族で防災について考えよう」と呼びかけています。

全国各地で災害が増えるなか、一人でも多くの方に災害に備える大切さや具体的な防災情報をお伝えしたく、7月から毎月11日前後に、連載「災害に備える」をお届けします。第4回目は、「避難生活を少しでも心穏やかに過ごすためにをテーマにお伝えします。

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東日本大震災での私の経験は初回の投稿でお伝えした通りですが、私は宮城県気仙沼で被災し、電気も水もない生活を1カ月近く経験しました。

気仙沼は重油タンクの流失により重油が広範囲に流れ、火災が発生するなど、街全体が重油の臭いに包まれていました。その重油が揮発し髪に付着したのか、震災発生後に初めてお湯で髪を洗った時は水が真っ黒になりました。沢から汲んできた水をやかんで沸かし、少量のお湯で2週間ぶりに洗いましたが、あの時、スーッと心が軽くなったことを今でもよく覚えています。

命が助かったことを思えば、髪を洗うことなど大したことないと思いがちかもしれません。でも、こうした小さなストレスの積み重ねが体に異変をもたらすことがあります。私は不正出血を経験し、そのとき初めて自分の体がどれほどのストレスを受けていたか、気付きました。当時、カバンにナプキンを入れていたので事なきを得ましたが、災害時、女性の方はカバンにナプキン1つでも持っておくことをおすすめします。避難所になりうる場所にも、生理用品の備蓄は不可欠で、Civic Forceでは現在、災害時や平時の生理用品の提供など女性への支援にも力を入れています(詳しくはこちら)。

また、水が出ない環境下では洗濯がなかなかできません。入浴はおろか、着替えもできないこともあります。そのような場合に備え、パンティライナーを活用するのもよいと思います。私も震災時にはパンティライナーが大活躍しました。もし保管スペースがあれば、おとな用のおしり拭きも常備するようにしておくと洗濯や入浴が難しい時やウェットティッシュやふきん代わりにも使えて、とても便利です。

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また、それまでの日常生活とはかけ離れた震災後の暮らしの中で、私を癒してくれたのは、「香り」でした。

一歩外に出れば、重油の臭いや腐敗臭が漂うような状況で、当初はその強烈な臭いで頭痛や吐き気がしましたが、だんだん慣れていく自分に驚きもしました。でも、こういった小さなことが積み重なり、心が麻痺していくのも感じました。

そんな生活の中でささやかな楽しみ・贅沢は、良い香りのするものでした。例えばハンドクリームやボディーローションなど、好きな香りを身にまとう瞬間は、心が癒されリラックスできました。この「香りによるリラクゼーション」は、東北へご支援くださっているロクシタンジャポン様も被災地支援として避難所をまわり、良い香りのするハンドクリームを使ったハンドマッサージをレクチャーする活動をされました。私もハンドクリームの良い香りに癒されたひとりです。

好きな「香り」は、場所や状況に関係なく癒しをもたらしてくれます。非日常の極みとも言える災害発生時には、好きな香りを近くに置いて、リラックスする時間を持つことも大切ですので、非常用のろうそくをアロマキャンドルにしてみるのも良いでしょう。

また、香りだけでなく、小さなお子さんなどはお気に入りのタオルやぬいぐるみなどがあると思います。避難する際にはそういったものを必ずひとつは持つことを心がけましょう。

もちろん、命を守るためのものが最優先ではありますが、こういった視点を持った備えや工夫が、災害時に自分や大切な人の心の健康を守ることに繋がるかもしれません。

「連載 災害に備える」のバックナンバーはこちら

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