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活動報告

被災地を支援する

西日本豪雨支援事業

2019/07/14

【西日本豪雨】被災地をつなぐスタディツアー〜NPOパートナー協働事業

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2018年7月の西日本豪雨から1年以上が経ちました。「平成最悪の大水害」といわれた西日本豪雨は、岡山県や広島県だけでなく、愛媛県宇和島市にも甚大な被害を及ぼし、各被災地は今も復興の途上にあります。こうしたなか、宇和島市内で活動する支援団体などを対象に、5月14日から16日、「被災地から学ぶスタディツアー」が実施され、約30人が参加しました。

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ツアーの行き先は、2017年7月に「九州北部豪雨」の被害を受けた大分県日田市や福岡県朝倉市・東峰村などの被災地です。企画した「ひちくボランティアセンター(現NPO法人リエラ)」は、この2017年豪雨をきっかけに大分県日田市で立ち上がった団体で、発災直後の復旧支援にはじまり、現在はみなし仮設住宅向けの交流会などを開催しています。宇和島市では、その経験を生かし、地元自治体や地域住民と協力しながら、長期的な視点で被災者支援を続けています。リエラ代表の松永鎌矢さんは、ツアー開催の目的について「宇和島市の皆さんに、今も復興の途上にある大分や福岡の経験・教訓を学ぶ機会を提供し、復興期を見据えた次の取り組みにつなげてほしい。そして、被災地支援に携わる人同士が交流し、助け合いの土壌づくりや息抜きの機会としてほしい」と話しています。

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複数の支援団体の拠点「杷木ベース」ー福岡県朝倉市

 

3日間のツアーの初日に訪れた福岡県朝倉市杷木地域は、2017年の豪雨の際、筑後川の4支川などが氾濫し、多数の斜面崩壊で大量の土砂と流木が流れ込んだ場所。ツアー参加者は、災害を機に立ち上がった「杷木復興支援ベース」の拠点を訪れ、発災から2年が経過した今も「帰りたくても帰れない状況」にある人が60世帯以上いて、行政の支援だけでは解決できない個別の悩みが増えている現状を聞きました。懇親会には地域住民の皆さんも多く参加し、発災直後のことや今の暮らしなどについて聞き、誰もが気軽に顔を合わせて話し合える場の重要性を学びました。

急仮設住宅の見守り交流活動ー福岡県東峰村

次に訪れた福岡県東峰村は、山あいにあり、発災直後は道路が土砂でふさがり、一部住民が3日間孤立状態になりました。ツアーでは、小学校のグラウンドに整備された応急仮設住宅「東峰村団地」を訪れ、22世帯46人の入居者の見守りや交流会などを開催する住民代表の方に話を聞きました。

 

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みなし仮設住宅への戸別訪問支援ー大分県日田市

福岡県との県境にある大分県日田市では、今なおJR九州日田彦山線の一部区間で不通状態が続き、被災の爪痕がいたるところに見られます。1804年創業の井上酒造(大鶴地区)では、仕込み蔵や貯蔵タンクの一部が浸水し、酒瓶なども被害を受けましたが、被災直前に植えた酒米「若水」が奇跡的に成長し、酒づくりを再開。ツアーでは、被災にめげることなく続ける新酒づくりへの思いを聞きました。

また、鈴連町の住民グループによって運営される古民家カフェも訪れ、ひちくボランティアセンターが宇和島市で続けてきたみなし仮設住宅への戸別訪問に関する現状を説明し、日田市のみなし仮設住宅の住民にも、みなし仮設での困りごとや生活状況について聞きました。参加者からは「みなし仮設住宅住民の個別の事情や本音を直接聞くよい機会になった」との声もあり、家電物資の提供などと合わせながら生活者の気持ちに配慮した支援の重要性が確認されました。

 

やるべきことが明確になった

ツアー参加者のうち、宇和島市で被災者間の交流会などを開催している民間団体「うわじまグランマ」の代表は、「先輩団体の経験を聞き、自分たちがやることが明確になった」と話しています。このほか、「仮設住宅の自治会長から入居者への配慮や工夫について聞き、被災者への接待のような支援をしていたことに気がついた」「地域住民を巻き込みながら進めていくやり方を学んだ」など、宇和島で取り組んでいたことを振り返り、改善点を発見する大きな一歩となりました。宇和島市に戻って早速、地域の人々に呼びかけて、複数回にわたって「市民会議」を開催した地域もあります。

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ひちくボランティアセンター × Civic ForceNPOパートナー協働事業

Civic Forceの「NPOパートナー協働事業」は、移り変わる被災地のニーズに応え続けるため、災害支援専門のNPOや被災地発の団体などとともに、復旧・復興を後押しするプログラムです。東日本大震災をきっかけにスタートし、西日本豪雨の被災地では、2018年7月から2019年7月までに、6団体と述べ8プロジェクトを展開してきました。http://www.civic-force.org/emergency/nishinihon/partner/

ひちくボランティアセンターは、大分県日田市社会福祉協議会運営の災害ボランティアセンターが、発災2カ月後に閉鎖することになったのを受け、それを引き継ぐ形で立ち上がったネットワーク組織。Civic Forceとひちくボランティアセンターの連携は、2017年の九州北部豪雨支援をきっかけに始まり、2018年7月には東日本大震災で被災した学生が日田市の被災地でボランティア活動を行うプログラムにも協力いただきました。Civic Forceの「西日本豪雨・NPOパートナー協働事業」では、ひちくボランティアセンターの宇和島市での活動を、2018年8月から今年5月までサポートしました。なお、同センターは、2019年5月をもって解散し、応急仮設住宅の見守りなど一部の活動はNPO法人リエラが引き継いでいます。