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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2012/01/12

在宅被災者がつくる「ミサンガプロジェクト」――協働パートナー事業

 

刻一刻と変化する被災地のニーズに対し、迅速かつ的確に応えることを目標に、4月から続けてきたCivic Forceの「NPOパートナー協働事業」は、現在、第3期目に入っています。地域復興のためのコミュニティ支援などに力を入れる第3期では、特に地元の人々の主体性を重視した事業を続けています。今回は、気仙沼の在宅被災者をサポートする地元団体「気仙沼ボランティアネットワーク聖敬会」の活動を紹介します。
 
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2011年3月11日の東日本大震災発生から10カ月、被災地に散在していた瓦礫は少しずつ減り、仮設住宅での生活も落ち着きを取り戻したように見えます。しかし、働く場所や住居が減り、人と人とが集まるコミュニティ形成の場も失われつつあります。子育て中の母親や体が不自由な高齢者など、外で働くことが困難な在宅被災者の孤立化も課題となっています。
 
そうした中、職のない在宅被災者の孤立化を防ぎ、家庭にいながら収益を得られるプログラムを構築しよう、と活動しているのが、震災を機に設立された「気仙沼ボランティアネットワーク聖敬会」です。
 
聖敬会は、東日本大震災直後、被災しつつも親戚縁者を頼るなどして、かろうじて避難所生活に至らなかった在宅被災者が集まって立ち上げられました。メンバーのほとんどは、震災直後、気仙沼市宛に届いた物資の仕分けを手伝っていた市民ボランティアで、現在計8人、平均32歳の若いスタッフで運営しています。
 
設立当初は、在宅被災者を訪問し、人々のニーズを聞く「傾聴活動」から開始しました。その中で、主要事業の一つとなっていったのが、在宅被災者が“ミサンガ”をつくって販売する「気仙沼ミサンガプロジェクト」です。これは、多くの被災者が自宅や職場を失い、生活の拠点を新天地に求める中、新しい土地ではお互いに面識がないため、聖敬会がミサンガなどのアクセサリー作成を通して新しいコミュニティづくりを支援しようと始めたものです。具体的には、聖敬会のスタッフが定期的に被災者を訪問してミサンガの作成を指導するほか、地元の公民館や仮設住宅の集会場などでミサンガの作成会を実施し、作成者同士の交流を深めています。ミサンガプロジェクトにかかわる生産者は、昨年8月から2012年1月までで約80人。
 
販売したミサンガの数は、約4,500本・種類、全体の売上は225万円にのぼり、多い人では月に12万円ほどの収益を上げています。製作者の一人は、「同じ仮設住宅で気を落としている若い友だちにすすめたらすごくがんばっている様子。みんなで声をかけあって、売り上げをのばし、元気になっていくきっかけになっている」と話しています。
 
「このプロジェクトの特徴は、材料費以外のすべての収益を、被災者である製作者に還元すること」と話すのは、聖敬会事務局長の平田洋子さん。「売り上げの約18%を材料費にあて、残りの82%は生産者のもとに届けています。活動を続ける中で、この趣旨に賛同してくれた方から材料を支援いただけるようにもなり、工賃が96%を超えることもあります」と言います。
 
ミサンガプロジェクトでもう一つ重視しているのは、「生産者は内職ではなく“個人事業主”としてプロジェクトにかかわる」という視点です。材料の仕入れは一括購入などで聖敬会がサポートする場合もありますが、基本的には被災者である製作者が売り上げの中から材料を仕入れる仕組みを構築。そうすることで、デザインを工夫するなど一人一人が商品開発を意識した、より質の高い製品づくりを目指しています。
 
他方、作成したミサンガは、震災後に気仙沼を訪れプロジェクトに賛同してくれた協力者や、ブログなどからの問い合わせを通じて、全国各地のイベントなどで展示・販売されています。
 
「作り手の方には、販売会場や販売してくれるボランティアさんのこと、購入者層、売れ筋などの情報を定期的に伝えており、それを加味してミサンガを作っていただいています」と平田さん。被災者が自身の力で立ち上がり復興への意欲を応援するプロジェクトとして、これからも継続して実施していく予定です。
 
このほか聖敬会では、被災した企業や、取引先の被災により売上が大幅に減少した企業・団体・個人事業主の売上アップのサポートも行っており、これまでに“被災地復興祈願クッキー”などの開発なども手掛けています。次回は、ミサンガプロジェクトにとどまらない、様々な活動を手掛ける聖敬会の取り組みを紹介します。
 
resize聖敬会1.jpg
(一つ一つ丁寧に編まれるミサンガ)
 
聖敬会2.JPG
(ミサンガの多様なデザイン。一つとして同じものはありません)