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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2012/01/31

「人には回復する能力がある」――協働パートナー紹介

前回に引き続き、Civic Forceのパートナーである全国女性シェルターネットの活動について紹介します。DV・性暴力被害を受けた女性や子どもだけでなく、外国籍の女性も安心して相談できるフリーダイヤルの運営は、被害者たちの命綱の役割を果たしています。

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震災後、被災地専用のDV・性暴力フリーダイヤル「パープル・ホットライン」を開始した全国女性シェルターネット。24時間どこからでも、人に知られずに無料で電話相談できるホットラインは、開設した4月から12月までの間に、1万3,854件もの電話相談を受け付けてきました。

この「パープル・ホットライン」は、日本人だけでなく、外国籍の女性に向けても広く門戸を開いています。東日本大震災で被災し災害救助法が適用された外国人は7万5,000人以上いると言われますが、制度や言語などの違いからなかなか支援を受けられず、中でもDV・性暴力被害の状況は実態が見えにくく、支援が後回しにされがちです。

そこで、全国女性シェルターネットは、日本語が不自由なために被害から抜け出せない外国人女性に向けて、7カ国語(タイ語、タガログ語、ハングル語、中国語、スペイン語、英語、ポルトガル語)で相談を受けられる体制を整えています。外国語での対応は日曜以外週6回実施しており、10月から12月までの間に外国人女性から受けた相談件数は209件にのぼります。

また、電話での相談だけでなく、警察や弁護事務所などへの同行通訳も可能な範囲で行っており、最近は、外国籍であるがゆえに煩雑で時間のかかる、自治体での各種手続きに関する相談も多く寄せられています。さらに、被災地における外国人女性は、永住者や日本人の配偶者など国際結婚した女性が多く、それぞれが地域社会の中で生活しており、その実態やニーズが見えにくい点が課題の一つです。そのため全国女性シェルターネットワークは、9月に被災地のキリスト教団体や外国人支援団体、国際交流協会、専門家などとともに「外国人被災者支援プロジェクト」を立ち上げ、国際結婚した女性や子どもの実態把握のための面接調査も継続して実施しています。

被害にあった女性たちが抱える問題の背後には、震災による家屋破損や家族の失業、生活困難、家族関係の悪化など深刻かつ多様な課題が広がっていますが、全国女性シェルターネットの近藤恵子事務局長は「それでも人は回復する。回復する能力がある」と強調します。

「これまで10年以上にわたる活動を通じて、どんなに辛い目にあっても、どんな精神状態に陥っても、周囲のサポートによって回復する女性たちを見てきました。被災した上にさらに暴力などの被害にあうことは、想像を絶する苦痛が伴いますが、粘り強くサポートしていきます」(近藤代表)。

震災前から続けてきた長年の活動に裏付けされる経験が今、被災地の女性たちの命綱の役割を果たしています。

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(全国女性シェルターネットワークは毎年シンポジウムを実施しています)