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2012/02/21

養殖用いかだづくりをサポート――社員ボランティア派遣プログラム (前編)

宮城県気仙沼のフェリーポートから約20分、震災で壊滅的な被害を受けた観光と漁業の島「大島」で、2012年2月、社員ボランティア派遣プログラムの第2期が始まりました。地元漁師さんと一緒に、牡蠣やホタテの養殖用いかだづくりを行い、島の漁業復旧を目指した支援活動を行っています。

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resizeYUKIDSC03818.jpg雪がちらつく宮城県気仙沼の有人離島「大島」。2012年2月17日、海岸沿いの一角で、トラックの荷台に積み上げられた竹を黙々と船に運び込む男性陣がいました。「社員ボランティア派遣プログラム」に参加した企業の社員たちです。

大型トラックに積まれた竹は、当日の朝早くに栃木県から運ばれ、地元の漁師さんたちが使う牡蠣やホタテの養殖用いかだの材料となります。

「震災前は、各家庭それぞれが独自に竹や丸太などを手配していかだをつくっていましたが、今回の津波で流され、地域共同で使ういかだをイチから作り直さなければならなくなりました」と話すのは、長年、大島で漁業を営んできた漁師の男性。「ボランティアの方々はいかだを見るのが初めてという人も多いですが、1枚につき直径5~20cm、長さ約10mの竹を30本以上も組むいかだづくりの作業は島の人だけでは到底追いつきません。ゆっくりでも外から来た人に手伝ってもらえてありがたい」と言います。

「社員ボランティア派遣プログラム」は、そうした地元の人々のニーズに基づく支援活動を、企業の組織力を生かして実施しようと、2011年7月に始まりました。もともとは、Civic Forceが災害発生直後からカーフェリー支援などを続けてきた大島で、富士ゼロックスと連携して、同社の新入社員ががれき撤去や家屋の片付け、写真洗浄などのボランティア活動を行ったことがはじまりです。その後JSR株式会社やグローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)の協力を得て、富士ゼロックスも参加するGC-JN加入企業に呼びかけ、9月から11月までの約3カ月間で計9社のべ284人が、各社のボランティア休暇制度などを利用して参加しました。

こうした同プログラム参加者を含む全国からのボランティアによって、2011年末には、島内の瓦礫の大半が片付きました。しかし、漁業や観光の復旧、高台移転など島にはまだまだ深刻な課題が山積みです。そこで、同プログラムの第2期では、漁業の復旧・復興を目指して、社員のボランティア活動を継続することとなりました。具体的には、水曜から日曜の4泊5日の日程で、月2回、牡蠣の養殖いかだや漁具の仕分け作業、土嚢づくりなどの作業を行います。

resizeいかだ組みDSC03753.jpg2月15日からのプログラムでは、富士ゼロックス、JSR、武田薬品工業、横浜ゴムの4社16人の社員が参加しました。初日は、男性ボランティア全員でトラックに積まれた竹を降ろして並べ、その後、いかだを海に固定させるための土嚢をつくるグループ、船に乗って養殖用の貝を海に沈めるグループ、いかだの材料となる杉の伐採現場で丸太を運ぶグループなど複数のグループに分かれて作業をしました。

参加した人の多くは、「そもそもどうやっていかだを組むのか、ロープをどうやって結ぶのか、素人には分からない作業が多くて戸惑いましたが、地元の漁師さんに教えてもらいながら、何とかお手伝いできました」と話しています。普段はデスクワークの仕事をしているという男性は、「慣れない作業をして筋肉痛が心配ですが、体を動かして気持ちよかった」と感想を述べていました。

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第1期では、瓦礫撤去や写真洗浄など参加者の作業はほぼ同じ内容でしたが、第2期では、より多様化する島のニーズに応えるため、複数のグループに分かれてそれぞれ異なる作業を行います。そのため、毎夕食後に参加者全員が集まって、担当した作業の内容について説明したり、作業の注意点や感想などを話し合う場が設けられました。竹や杉を運ぶ作業に参加した男性は、「作業に慣れてくるとどんどんスピードが上がって少しきついと感じるときもあった」「夢中になって足を滑らせてしまった」「明日は、みんなで声を掛け合いながらやったほうがいい」などと話していました。

また、作業内容の多くは力仕事が中心ですが、女性が参加しやすい活動も用意されています。今回参加した3人の女性社員は、地元の人々の作業を手伝う形で、島内にまだ残る細かいがれきの撤去や、支援物資として福岡県から届いた米の配布作業などを行いました。参加者の一人は「数カ月にわたって堆積した土を掘り起こす作業は、結構大変で、島をもとの状態に戻すには相当な時間がかかると感じた」と言います。

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次回は、プログラム参加者と島の人々との交流の様子について紹介します。

 

※「社員ボランティア派遣プログラム」のこれまでの活動についてはこちら

http://www.civic-force.org/activity/activity-718.php

http://www.civic-force.org/activity/activity-681.php

http://www.civic-force.org/activity/activity-677.php