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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2012/04/29

被災地復興のカギ握る"集団移転"――協働パートナー紹介

地震や津波の影響で破壊されてしまった町を新しく復興させるため、被災した住民の“集団移転”がまちづくりの焦点の一つとなっています。

Civic ForceのNPOパートナー協働事業を実施する宮城県気仙沼市の大沢地区は、被災地のなかでもいち早く住民が主体的に高台への移転を決めた地区の一つです。大沢地区の事例を紹介します。

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被災者の生活支援や雇用対策、被災地のインフラ復旧、がれき処理、福島第一原子力発電所事故への対応――あまりに甚大な被害をもたらした東日本大震災から1年以上が経ち、政府の各種政策も徐々に進められています。

被災して家を失い仮設住宅などで暮らす方々が今、最も注目する被災者支援事業の一つが、国土交通省の「防災集団移転促進事業」。これは、災害で被災したり今後被災する恐れのある住宅地を安全な場所に移転させるため、地方自治体が国の補助を受けて、移転先の高台などの土地を取得し、住宅を建てられるよう整備する事業で、昨年11月に可決・成立した第3次補正予算や復興特区法では、実質国の補助の上限が撤廃されました。被災者が自力で住宅を再建する場合、お金に余裕のある人は自治体から土地を購入し、余裕がなければ自治体から借りて使用料を払いますが、自宅の自力再建が難しい被災者には災害公営住宅も整備される見込みです。

「仮設住宅が撤去された後、どこに住むのか」「前と同じような生活ができるのか」――家や財産、職を失ってしまった被災者一人一人の将来に向けた意思や決定は、国や行政が決められるものではなく、より長期的な将来を見据えた“集団移転”を実現するには、対象地区住民の合意が欠かせません。しかし、被災地では、津波の危険を覚悟で元の場所に戻って暮らすことを希望する人や津波が届かない高台への移転を切望する人などさまざまな意見があり、それらをまとめることは簡単ではありません。

こうした中、一部の地区では、「自分の町のことは自分たちで考えよう」と住民が自主的に集まって、これまでの町の様子を振り返ったり新しい町の将来像について話し合いを続けている地域があります。

小さな漁港を中心に186世帯が暮らしていた宮城県気仙沼市唐桑町大沢地区は、震災後、いち早く高台移転を決めた地区の一つです。震災では、甚大な被害を受け、地区の8割近い家屋が罹災し40人が亡くなりました。しかし、6月に地元有志で「大沢地区防災集団移転促進事業期成同盟会」を立ち上げ、「帰っぺす、大沢」を合言葉に、住民が一緒に地元に戻り安全に暮らせるよう動き出しました。構成メンバーは、40代を中心に30~60代の老若男女。月に数回、役員会を開いて協議を重ね、高台移転に関する勉強会の開催や行政に対する要望書の提出、高台の地権者への交渉、市長への定期的な報告などを実現してきました。

もともと地域のつながりが強い地域である大沢地区ですが、このような住民の主体的な高台移転の動きはどのようにして生まれたのでしょうか。次回は、Civic Forceのパートナーとして、大沢地区の集団移転事業に携わる気仙沼みらい計画大沢チームの活動について紹介します。

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