2013/08/13
Civic Forceは、2013年3月から東日本大震災で被災した学生を奨学金と教育プログラムを通じて支援する「夢を応援プロジェクト」を展開しています。その一環で、7月と8月の夏休み期間に、東北でともに活動してきた地元NPOと協力して、奨学生向けの体験型教育プログラムを実施。
今回は、7月29日~31日、宮城県登米市で福島の子どもたちを受け入れている「手のひらに太陽の家」(日本の森バイオマスネットワーク主催)での交流プログラムの様子を紹介します。
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「ねぇねぇ、これなーんだ」「なんだろう?? カエルだ!」――山々に囲まれた自然のなか、青々とした芝生の上で、坊主頭の高校生と小さな子どもたちが、虫をつかまえたり追いかけっこをしながら、ゆったりとした時間を過ごしています。
ここは宮城県の山間部に位置する登米市。登米市では今、福島の原発事故の影響で、自立支援を必要とする震災遺児や震災により母子・父子となった親子、放射能汚染により地域外避難を必要とする子どもたちを受け入れる「手のひらに太陽の家」プロジェクトが進行中です。
NPO法人日本の森バイオマスネットワークが運営する太陽の家では、週末や夏休み、また長期間にわたって福島の親子が滞在できる環境を整備し、2012年7月のオープン以来、これまでに150家族のべ2,658人(2013年7月現在)が滞在。福島の子どもたちが放射能を気にせず思いっきり楽しんでもらえるよう、市内外からたくさんのボランティアや協力者を受け入れ、屋内外で遊べるプログラムも提供してきました。
この日は、Civic Forceの中長期復興支援「夢を応援プロジェクト」で支援している、宮城県出身の高校生と専門学校生2人が体験滞在。2泊3日にわたって、太陽の家の子どもたちとともに寝食をともにしました。奨学生に、同じく東日本大震災で被災しながらも力強く、楽しく遊ぶ子供たちと触れ合ったり、施設の関係者や保護者たちとの対話を通して、広い視野で現在の被災の現状と復興に向けて考える場となるように、受入のNPOとともに企画をしました。
福島から来た入居者同士が安心して共生できる住環境を目指す太陽の家は、太陽光発電、太陽熱給湯、ペレットボイラーなど自然エネルギーを最大限活用した持続可能な住宅モデルを実践しています。滞在1日目、奨学生の二人は、太陽の家のスタッフから、その仕組みや設立の経緯などについて聞き、自然エネルギーや福島の人々が抱える問題への理解を深めました。また、オリエンテーションの後は、遊びたがってじゃれ合う子どもたちとすぐに打ち解け、近所の川でカエルやドジョウを採ったり、カブトムシ相撲やままごとをするなど、外で思いっきり体を動かしました。2日目・3日目も、流しそうめんやバーベキュー、草むしりなど、子どもたちやスタッフ、福島の子どもたちの母親などと交流しました。
以下は、このプログラムに参加した奨学生からのメッセージです。Civic Forceでは、引き続き、被災した奨学生たちが少しでも多くの経験をし、今後の東北の復興を担う人材になっていただくようサポートしていきます。
「日常とは異なる環境でたくさんのことを学びました」
池田千沙都さん
(東京都立北多摩看護専門学校1年、宮城県出身)
私は高校3年間ボランティア活動を続け、今夏も何かやりたいと思って、このプログラムに参加しました。将来、小児科で働くのが夢で、子どもたちと接する経験をしたいというのも、太陽の家のプログラムを選んだ理由の一つです。
初めは不安でしたが、子どもたちのほうから明るく元気に接してくれ、あっという間に仲良くなれました。子どもたちは私が想像していたよりも元気で、正直毎日へとへとでした。走り回ったり、虫を捕まえたり、ボールで遊んだり一日中動いているのに、疲れた表情を全く見せないのはスゴイ! まっすぐで素直な子どもたちの気持ちは、大人がしっかり受け止めてあげなければいけないとも思いました。
また、福島のお母さんや太陽の家の方々と一緒に食事をする中で、太陽の家の環境の良さに驚くとともに、子どもたちもみんな兄弟のように、仲良く遊んでいたのが印象的でした。
このプログラムに参加して本当に良かったです。また機会があればかかわりたいし、これからは学生主体の活動も計画してみたいです。
「新しいことに挑戦しワクワクしました」
菅原赳大さん
(盛岡第四高校3年、岩手県出身)
初日は、見知らぬ土地で、しかも初めて会う子どもたちと接することにすごく不安があったのですが、一人の子を肩車した途端にみんな群がってきて、不安は一気に解消されました。素直でいい子たちばかりでみんなかわいかったです。彼らの純粋さや適応力の高さにも驚かされました。登米の名物「油麩丼」もすごくおいしくて印象的でした。
高校では、野球ばかりしていて、部活以外の活動に参加したことがありませんでしたが、今回、新しいことを始めると今まで見えていなかったものが見えるようになって世界が広がり、わくわくできることが分かりました。
太陽の家やCivic Forceのスタッフの方と触れ合うなかで、「人と人とのつながり」も感じました。私は震災を機に奨学金を申請し、それがこの活動の参加につながっています。被災はしましたが、いろんな偶然が重なりに重なって、今回の出会いがあったことを強く感じました。
将来は理学療法士になるのが目標です。受験勉強のため、来年3月まで太陽の家への再訪問は難しそうですが、来年の春休みには良い報告を持って太陽の家に帰りたいと思います。それをモチベーションに、受験勉強、頑張ります。
次回の教育プログラムは、8月21日~23日、宮城県と岩手県で、陸や水上のサバイバル術を学ぶ講習会や牡蠣の養殖などの水産業、干潟調査の体験など美しい自然に触れながら学ぶ環境教育プログラムを実施予定です。パートナー団体は、森は海の恋人。