2013/04/15
宮城県気仙沼市街から車で約20分、曲がりくねった山道の途中に、大小の丸太がたくさん積まれた木材集積場があります。入口付近に立てられたのぼりには「間伐材買取り実施中」の文字。旧温泉地だった土地を利用して、2012年12月から毎月数回、市民を対象にバイオマス燃料用の間伐材を買い取り、2013年4月末には、これまでで最も多い89トンが、この集積所に搬入されました。
これは、気仙沼市の「震災復興計画再生エネルギー導入プロジェクト」の一環として、気仙沼地域エネルギー開発株式会社が実施する「間伐材買い取り」の一場面。このプロジェクトは、持ち山などから木を切り出して収入を得る個人の林業者を育成するとともに、建材にならない間伐材などを加工したバイオマス燃料を普及させることで、エネルギーを持続的に確保すするとともに、新たな雇用・就業の場を生み、持続可能な社会を目指す取り組みです。
シビックフォースは地域のこうした挑戦を、中長期復興支援事業「緑の環プロジェクト~持続可能な林業と木質バイオマス活用を通じた地域活性化」の枠組みで応援しています。山林の所有者や副業として林業を始めようとする住民向けの講習会の開催、「木材集積場」の運営などが主なサポートの一つです。
切り出した木を集めるこの集積場では、間伐材は1トンあたり3,000円+地域通貨「リネリア」3,000円分で買い取られます。リネリアは、山から出る利益を地域内で循環させるために生み出されたもので、市内の復興商店街など約180店舗で使えます。
また、集められた木材は、薪やチップなど木質バイオマス燃料に加工され「地産地消」のエネルギーとして活用予定。現在、高台への集団移転に向けた話し合いが進む気仙沼市内一集落の公共スペースに、薪ボイラーなどの設置を検討しており、自然エネルギーの供給ポテンシャルなどに関する調査を実施中です。
この「緑の環プロジェクト」は、パートナー協働事業で連携した実績があるNPOなど、自然エネルギーの普及と林業の再生に取り組む多くの企業・団体と協力して実施しており、宮城県登米市でも進められています。
今まで利用されていなかった森林資源を有効活用するとともに、地域の外へお金が流出するのを防ぐ仕組みをつくることで、地域活性化につながる被災地発の復興モデルとして期待されています。