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活動報告

被災地を支援する

2013/05/01

「生きてくのって大変」―奨学生たちからのメッセージ1

東日本大震災で被災した東北3県の学生を、奨学金制度とサポートプログラムで支援する「夢を応援プロジェクト」。2011年9月から、1人あたり月額3万円の奨学金を支給しています。奨学生に、2012年度を振り返って「最も印象に残ったこと」「学んだこと」「力を入れたこと」「来年チャレンジしたいこと」「今、伝えたいこと」などをテーマに課題作文を書いてもらいました。今月から不定期で、その一部を抜粋して紹介していきます。(※学年の記載は2013年3月時点、県名は出身県を記載しています)

「夢を応援プロジェクト」の詳細はこちら

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【この1年で最も印象に残ったできごと】

山形の海で ――高校2年生・男性・宮城県

この一年間でもっとも印象に残っている出来事は、昨年の春に山形県でマダイ釣りをしたことです。僕の家では、父が釣り船をしていますが、福島第一原発から漏れた放射線セシウムの影響が徐々に宮城県の魚などに出て、出荷自粛になる海産物が年々増えてきました。宮城県の海で釣り船を続けていくのは困難なため、いずれは他県への移動を余儀なくされます。もしも宮城県で釣り船を続けていくのが難しくなったとき、僕の家では、放射性セシウムの影響が少ない隣の山形県に移動しようと考えています。何も知識のない状態で山形に行くのは抵抗がありますが、今回山形に行き、初めてのマダイ釣りにも挑戦して、マダイの引きの強さに驚きとても楽しかったです。山形の海の知識を覚えて、いつか移住する日のために備えたいと思っています。
 

【この1年間で最も力を入れたこと】

福島の高校に戻って資格を取得 ――高校2年生・男性・福島県

僕は、東日本大震災の原発事故により埼玉県へ避難をし、埼玉の高校へ転入しました。慣れない環境の中、学校生活を続けていましたが、2012年8月に福島県の母校から連絡があり、今後の学習に影響を及ぼすため、福島の高校に戻るなら二学期までと言われ、母と話し合いました。母は反対しましたが、僕は福島の高校に戻り建設関係の学習や実習を学ぶことにしました。9月から福島の祖父の家から高校へ通うなか、最も力を入れたことは、資格の取得です。僕は、二学期から学び始めたため、皆より遅れていたので一生懸命学習や実習に励みました。その結果、去年12月には小型建設機械の免許を取得し、また1月にはフォークリフトの免許を取得しました。今年1年も頑張って将来の職業に役に立つ免許をできるだけたくさん取得したいと思っています。          
 

【この1年間で私が出会った最も印象に残る人物】

北海道の老人と始まった文通 中学3年生・女性・岩手県

中学3年生の時、震災で感じた思いや避難所生活で実感したことを書いた作文が、日本語大賞という作文コンクールで最優秀賞に選ばれました。新聞に作文の記事が報道され、それをきっかけに一人の老人が手紙をくれ、そこから私たちの文通が始まりました。ある時、この老人が岩手に来ると言うので、会う約束をし、その日、元気なお爺ちゃんが私が住んでいる仮設住宅に来ました。そして一緒に写真を撮り、私が前に住んでいた町や家があった場所を案内しました。その老人は、私の家があった場所のがれきを袋いっぱいに詰めて「北海道に帰ったら家の庭に埋める」と言って、私は感動しました。それからたくさん話をして、たくさんたくさん元気をもらいました。震災が起きたおかげ、というのはおかしいけれど、このような新しい出会いがあり感謝しています。私たちの文通は今も続いていて、いつも元気をもらっています。


【来年チャレンジしたいこと】

放射線技術の資格を取るために ――高校2年生・女性・福島県

来年、大学受験を控えています。第一志望は、医学部保健学科などの放射線技術を用いた医療的検査技術を学べる大学です。大学卒業後は国家試験を受けて放射線技師の資格を取得したいと考えています。医療的な放射線技術といえばレントゲン、エックス線などに始まり、死因究明のAi(死亡時画像診断)など活躍の幅が広がっています。私が初めて放射線に興味をもったのは福島原子力発電所の爆発事故がきっかけです。情報を知るほどにテレビやラジオ、新聞のメディアで流されるマイナスイメージとは裏腹に私たちの生活に欠かせない要素であることを知り、もっと専門的に大学で学び、ゆくゆくはそこで得た知識と技術を仕事にして社会に還元できればと思うようになりました。また大学では、人間関係もうまくいくようにしたいです。全国規模の広範囲から人が集まる大学では、自分とは大きく異なるイデオロギーをもつ人がたくさんいるでしょう。社会に出ることを考えたらなおさら。私が将来医療に関わる仕事につけたなら、そこで求められるチームプレイは必要不可欠だと思います。

 

【この1年間で学んだこと】

生きていくのは大変なこと ――高校3年生・男性・宮城県

私は、この春定時制の高校を卒業し、将来自動車整備の仕事に就くため、4月から石巻高等技術専門校の自動車整備科に入学します。高校4年目になる直前に父を病で亡くし、一人暮らしをしながら、昼間はアルバイトをし夜は夜間の高校に通いました。ガソリンスタンドでのアルバイトでは、アルバイトリーダーを務め毎日お客さんとの会話を大切にしたり新人教育にも力を入れて、洗車や作業など信頼されるよう努力し頑張っています。学校では、生徒会に所属しているのでアルバイトが休みの日には、少し早めに学校に行き生徒会行事の文化祭や体育祭の準備や、クラスの代議員を務めています。この1年で、生きていくことはすごく大変だと思いました。たった1年間ですが一人で生活し、アルバイトで得た給料とローソンの「夢を応援基金」の支援で学校に通うことができ、お金の大切さを知りました。父を亡くし、担任の先生、夜間の先生、私のことをしたってくれる仲間、夢を応援基金のプロジェクトに携わる方々など、たくさんの支えのありがたさを知り、卒業にあたって本当に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。そして、4月から専門学校入学にあたって、これからもよろしくお願いします。