2013/11/25
小雨が降り肌寒さを感じる11月23日朝、台風で甚大な被害を受けたフィリピン・レイテ島で、物資の配給活動を実施しました。今回の配布先は、島の北部にあるアランアラン市の6地域840世帯。6地域ではいずれも、被災した方々が早朝から列を作り、物資が届くのを並んで待っていました。
配布物資は、フィリピン最大の災害支援団体「CDRC(Citizens' Disaster Response Center)」やボランティアと協力しながら、マニラなどで調達・パッキングしておいた米や乾燥魚、毛布などが入った支援物資のパッケージ(1世帯6人あたり1週間相当)。配布先の選定や、配布作業に当たっては、CDRCの地域支部の一つ「レイテ開発センター(LCDE)」と連携しました。
各地区で物資を配布したCivic Forceプログラムコーディネーターの中川ふみによれば、「LCDEの事務所から配給ポイントまでの道幅は、トラック1台通るのがギリギリで、スムーズな移動がとても困難だった」と言います。台風の影響で倒れた電信柱が道路をふさいだり、電線がたゆんでトラックの屋根にひっかかり、被災者に物資を届けることが一筋縄ではいかない状況が続いています。
物資を受け取ったアランアランの被災者の中には、発災から2週間以上経ったにもかかわらず、これまでに食糧配給を一度しか受けていない人も多くいました。被災者の方々の声をお届けします。
「ビニールシートで家をつくります」
クララ・ブリソさん(62歳)
米農家として生計を立てていましたが、11月8日の台風で、収穫した米はすべて損失してしまいました。次にまく種も失ってしまい、これからどうやって生活していけばいいのか全く分かりません。
家もなくなり将来がとても心配ですが、当面は、配給してもらったビニールシートでテントをつくり、家族と住もうと思っています。
「11月15日以来、初めて手にした食糧支援物資」
ロメル・ルイネイさん(42歳、写真左)
物資の配給場所から20km離れたタバンゴハイ地域からバイクで来ました。幹線道路から奥に入った地域に住んでいるため、支援物資はほとんど届かず、11月15日にヘリコプターから落とされた食糧が、発災後初めて手にした支援物資で、地域の人たちと分けて食べました。Civic Forceからの配給はそれ以来2回目で、本当に困っていた中でありがたいです。
「買えなかったマットを届けてもらってありがたい」
へレンベラーデさん(55歳) 写真左
家が全壊し、学校で避難生活を続けています。昨日、スリーピングマットを買おうとしたら、被災前は250ペソ(約580円)だった値段が550ペソ(約1,274円)に値上がりしていました。高過ぎて買えなかったので、Civic Forceから届けてもらったマットは本当にありがたい。ほうきを作る内職の仕事をしていますが、震災前より安い値段で売り、少しでも被災した人たちの手助けになればと思っています。自分が被災者だからといって、被災者いじめのような値段の吊り上げはやりたくないのです。
「揚げ物をつくって食べたい」 ロエナ・シンコさん(43歳) 写真左から2番目
アラン・アラン市では今、何もかも値段が上がっていて、生活するのが大変です。1Lの料理用油が以前は15ペソだったのに、今は50ペソもしますが、Civic Forceの支援物資の中に油が入っていて、とても嬉しかったです。これで揚げ物を作って食べられます。
「学校で避難生活を続けています」 アニリカ・パビリオさん(28歳) 写真左から3番目
私も家が全壊し、学校で避難生活を送っていますが、避難している学校の屋根もほとんどない状態なので、かろうじて吹き飛ばなかった屋根の残骸の下で生活しています。
「東日本大震災で被災した日本から駆け付けてくれて感謝」 マリア・モラドスさん(58歳) 写真右
家も壊れ、この台風で何もかもを失ってしまったけれど、それは神様が0(ゼロ)から再スタートを切るチャンスをくれたと思っています。東日本大震災で被災した日本から、こうやって支援に駆けつけてくれて、本当に感謝しています。