2013/12/02
死者・行方不明者7,200人以上に及ぶ甚大な被害が発生しているフィリピンに対し、Civic Forceは、11月15日からスタッフを派遣。発災直後から支援活動を開始したフィリピン最大規模の災害支援団体「CDRC(Citizens' Disaster Response Center)」や地元ボランティアの方々と協力し、緊急支援物資の調達・配布活動を続けています。
配布先は、CDRCやその地域支部の調査に基づき比較的政府の手が届いていない地域を中心に選定しています。「配布先の会場まで徒歩2時間かけて来た」という被災者もおり、発災からこれまで政府による米2kgの配給だけで何とか耐えてきたという人々が列を作って待っていました。
一方で、オルモック市やアルブエラ市の中心部では、まだ電気や水が満足に回復していないにもかかわらず、再開した商店や食堂があります。こうした状況下では、緊急物資支援から次のフェーズへの移行を見据えた支援が必要となってきます。大量に支援物資が流入し続ければ、ローカルマーケットの需要を奪ってしまうことにつながりかねません。
このような問題意識から、人道支援の現場では緊急フェーズにおいて、“Emergency Market Mapping and Analysis (EMMA)”という手法を用い、ローカルマーケットのサプライチェーンを分析することで、次の段階でどういうお金の流し方をすれば、被災地の自律的かつ持続的な復興に繋げられるかという試行錯誤も始まっています。緊急時の物資支援から、ただモノや資金を提供するだけではない「キャッシュ・フォー・ワーク」※といったアプローチへの移行は、東日本大震災の復興プロセスでも見られた事例です。
Civic Forceは、CDRCやレイテ島における連携団体「LCDE (Leyte Center for Development)」とともに、現地ニーズに即した次のフェーズの支援のあり方の調査・検討を始めています。特にニーズが高いと考えられているのは、学校や地域のコミュニティスペースが破壊されてしまった子どもやお年寄りへの心理的ケアや、漁業や農業を主な生活の糧としていた多くの島民への生業支援などで、そのためのリハビリテーションプログラムなどが候補に上がっています。
※「キャッシュ・フォー・ワーク」:大規模災害などの被災地において、復旧・復興事業に被災者を一時的に雇用し、賃金を支払うことで地域経済の復興や被災者の自立を支える手法。
写真:CDRCスタッフのMikhail Valle氏。主にセブ側での調達やロジ管理を担当しており、今後は中長期を見据えたリハビリテーションプログラムの調査・検討も行う
本事業は、皆さまからのご寄付と、一部ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成金で実施しています。フィリピンでは、現地のNGOや市民ボランティアなどと協力し、できるかぎり効率的にたくさんの緊急物資を届けるために尽力し、また次のフェーズに向けた支援内容の検討を同時並行で進めています。長期化が予想される緊急・復旧支援活動に対し、引き続き皆様のご協力をいただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。