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2011/06/03

6月2日(木) 「いつ同じ海になるか誰もわからない」-養殖の海は今

昨日の活動報告の中でお伝えしたように、気仙沼・大島は観光と漁業が主な産業の島でした。この2つは、採れたての海産物を島内の旅館や民宿で提供したり、観光客や修学旅行の子どもたち向けに漁業体験が行われたりと相互に関連して大島の魅力、特色となっていました。

三陸沖は、北から寒流の千島海流(親潮)、南から暖流の日本海流(黒潮)、さらに津軽海峡から対馬海流の分岐流である津島暖流が交錯して複雑な潮境を形成しており、豊富な漁場となっています。また、沈降地形の入り組んだリアス式海岸には、水深が深い入り江が多く、波が少ない天然の良港で行われる養殖も盛んです。

大島では、この豊かな海で行われる、ワカメ、カキ、ホヤ、ホタテ、アワビなどの養殖業が特に盛んでしたが、今回の津波により壊滅的な被害を受けました。
漁協の大島出張所の方に伺ったところ、今回の津波で約9割の漁船が流されたり、使用できなくなりました。また、いかだや採苗施設などの養殖関連施設も甚大な被害を被りました。

漁協によると、大島の漁協組合員総数は733名、そのうち375名が正組合員(年90日以上漁業に従事している組合員)、358名が准組合員(年90日未満)。人口約3200人の島で、多くの島民が専業や兼業で漁業に関わってきました。

島の大島中学校の生徒たちも「総合的な学習の時間」の中で、中学校在学中の3年間を通してホタテの養殖に携わり、地域の環境・産業について学んでいました。中学校1年生の時から地元の漁師さんの指導の下にホタテの稚貝を一つずつ養殖用のネットに入れることころから学び、「大島ホタテ」して出荷、販売されていましたが、このホタテのイカダも津波により消失してしまいました。

島の多くの方々が関わっていた漁業は今、マイナスからの再スタートを余儀なくされています。「いつ同じ海になるか誰もわからない。何もなくなって一からならまだしも、片付けから、マイナスからやらなくてはならない」とご自身の壊れた養殖施設や沈んだ漁船を前に、島の漁師さんはその胸の内を打ち明けてくださいました。
昨年2月のチリ地震で修復したばかりの養殖施設が今度は壊滅的な状態となり、他の仕事の選択肢もある人の中には、漁業をあきらめるか非常に悩んでいる方もいらっしゃいます。

その中で、なんとか漁業の復興に向けて進みはじめたいと、海に流れた漁具をみなで引き上げたり、壊れた漁船を修理に出したり、模索しながら一歩を踏み出す漁師さんたちも出てきました。
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「同じ海」に戻るまでには時間を要しますが、Civic Forceでは、漁業の再生・復興を行っていこうとする漁師さんたちを後押しできるように、どのような支援の在り方が効果的かつ公平か、今日も現地の関係者と話し合いや調査を行いながら検討を進めています。

※大島の様子については、動画(You Tube)でもご覧いただけます。

 


さて、Civic Forceのトラック定期便は、今日は大島に保存食にもなるスイートコーン缶を、南三陸町のベイサイドアリーナには飲料水をお届けしました。

Civic Forceでは3月23日より、現地で必要とされる支援物資を効率よく調達し、タイムリーに配送するチャータートラック定期便の運行をほぼ毎日行ってきました。
5月末までに、被災地に届けた物資は、4トントラック約160台、約540品目、計約380トンにおよびます(うち食料約88万食分、衣料約18万点含む)。

被災地では、いまだ多くの方が一次避難所にて集団避難をされている異常事態が続いています。一方で、生活再建、産業復興に向けた前向きな努力が芽生えていることも事実であり、各種商店も営業を再開してきています。
Civic Forceでは、この被災地の変化に対応して、大規模な支援物資の調達・配送事業を5月末で終了し、以降は特別なニーズごとに対応する体制に変更しました。

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