災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

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2011/06/02

6月1日(水) 気仙沼・大島の今

今回はCivic Forceの活動拠点の一つ、気仙沼・大島の今を2回にわたって紹介いたします。
気仙沼・大島は、宮城県北東部の気仙沼湾内に位置する周囲24km、人口約3200人の東北最大級の離島です。気仙沼港から大島の浦の浜港までは、航路距離が約7.5km(所要約40分)、現在、Civic Forceが仲介して実現した大型カーフェリーが毎日9便就航しています。


今回の震災では、大津波が島を襲い、一時は波が島を乗り越えて、浦の浜と田中浜の間が浸水し、島が二分されました。
(写真:津波による大島の浸水域の地図)

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また、地震と津波の直後、火災も島を襲いました。3/11の夜に気仙沼湾周辺から燃えだした火災が引き潮とともに燃え移り、島の北部にそびえる大島のシンボル「亀山」にも延焼したのです。島の災害対策本部長のお話によると、山火事が集落に燃え広がるのをくい止めるために、島の方々は団結してがれきなどを集めて「防火帯」をつくり、必死の消火作業を行ったそうです。また、貯水槽の水がなくなった後は、消防車が使えなくなるのを覚悟の上で、海水も使用して消火活動を続けたそうです。火は最終的には数日後に雨が降って鎮火しました。

島内でこの震災によって亡くなられた方は23名、行方不明の方は8名と報告されています。
また、気仙沼市の取りまとめによると、この震災による大島内の全壊家屋は769件、大規模半壊は102件、半壊62件、一部損壊162件とされています。この家屋には作業小屋なども含まれているので、民家の全壊は200件くらいであろうと見込まれています。
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大島では現在、一時避難所となっている開発総合センターに36名、旅館などの二次避難所に184名の方々が避難されています。
仮設住宅は大島中学校の校庭など計3か所に86戸分の建設を行っており、まず6/3に36戸分の第一次入居抽選が行われる予定です。
病気のご高齢の方がいらっしゃる家族や、本土に通学・通勤されている方々の中には、利便性の観点から島内ではなく、気仙沼市本土の仮設住宅を希望する方もいらっしゃり、この震災を契機に島を離れてしまう住民が増えてしまうのではないかと懸念されています。


大島は観光と漁業が二大産業でした。

観光では、リアス式海岸が一望できる景観や美しい白砂青松の海岸を求めて、年間約32万人の観光客が訪れていましたが、多くの観光施設や観光資源が今回の震災によって被害を受けました。

例えば、前述の火災が起きた亀山には山頂へのリフトがあり、春から秋にかけては、山の自然や展望台からの風景を楽しむ人たちでにぎわっていましたが、津波により陸に押し上げられた大型船舶がこのリフト乗り場に衝突したため、このリフトは使用できなくなってしまいました。

また、毎年4月の第3週目には、「気仙沼つばきマラソン」というマラソン大会が行われ、島外、県外からも多くのランナーが集まり、島の大きなイベントとなっていましたが、現在、島を一周するマラソンコースの道は、津波により海沿いの一部分で断絶してしまっています。(マラソン大会の名称ともなっている「つばき」ですが、島には多くのつばきが自生しており、4月の下旬頃に見ごろを迎えます。「椿油」は大島の特産品でもあります。)
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さらに、大島は、南北180kmに及ぶ陸中海岸国立公園の南端に位置し、「十八鳴浜(くぐなりはま)」や「小田の浜(こだのはま)海水浴場」といった美しい砂浜がありますが、現在は、津波による甚大な被害を受けて防潮林の松はなぎ倒され、一面にガレキが山積しています。
これらの砂浜は、豊かな海の自然を生かした子どもたちの体験学習の場として人気があり、県内や東京、北海道などの県外から体験学習や修学旅行で多くの子どもたちが訪れ(平成22年度実績:42校、3760人)、磯釣りや無人島体験などさまざまなメニューが行われていました。

この大島の砂浜については、震災後に一つ明るいニュースがありました。
歩くと「クックッ」と鳴る「鳴り砂」で知られる気仙沼市の「十八鳴浜(くぐなりはま)」と「九九鳴き浜(くくなきはま)」が、国の天然記念物に指定されることになったのです。
津波による砂の流出が心配されましたが、津波に耐えて「鳴り浜」が残り、今回天然記念物となることは、島の方々の復興に向けた力になりました。

島内には、旅館や民宿などが50件ほどありましたが、津波の被害を受けて、現在、残っているのは旅館7件と民宿9件です。このうち、二次避難所となっていない2件で現在営業を行っており、建築関係者や支援団体、ボランティアの方々などが主に利用しています。

残った旅館等はいずれも営業再開の意思を表明しています。また、ボランティアの方々などの力も借りて砂浜などをきれいに戻し、大島の観光復興を図りたいと考えている方々もいらっしゃいます。Civic Forceでは、大島の復興に向けた島の人々の思いを後押しできるような支援を、現在、島の方々と具体的に話し合いながら検討しているところです。

明日は、大島のもう一つの産業、漁業(特に養殖業)などについてお伝えします。

※大島の様子については、動画(You Tube)でもご覧いただけます。